体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
スターバックスコーヒーは今年で日本進出から25年になります。ここ数年は100店ペースの大量出店を続け、19年末までに国内店舗数は1500店を突破しました。すかいらーくの「ガスト」を超え、単一ブランドの飲食店では「マクドナルド」、牛丼店「すき家」に次ぐ国内3番手。2019年9月期の売上高は前の期比1割増の2011億円と好調ぶりを見せています。
多くの女性ファンに支えられているスターバックスですが、「あなたはなぜスターバックスを選ぶのですか?」と質問をしたら、どんな答えが返ってくるでしょうか。
「コーヒーが美味しいから」
「メニューが多彩だから」
「季節限定のメニューがあるから」
「さまざまなカスタマイズに応えてくれるから」
「完全に禁煙だから」
「インテリアが落ち着くから」
「時間を気にせずに過ごせるから」
「お店の店員さんの笑顔がすてきだから」
「お店全体の雰囲気がおしゃれだから」・・・・
他にもいろいろな答えが返ってきそうですが、いずれにしてもリピーターの心の底には「スターバックスが大好き」という感情が形成されていることは間違いなさそうです。
ではなぜスターバックスが、多くの女性から愛されるすてきなコーヒーショップであり続けられるのでしょうか。同社のHPには以下のような文章が掲載されています。
「人々の心を豊かで活力あるものにするために—
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
それが私たち、スターバックスのミッションです。
1996年8月 東京 銀座に日本1号店をオープンしてから今日まで、スターバックスは我々のミッションを大切に、一杯のコーヒーを通じて目の前にいるお客様と誠実に向き合い、言葉と心を交わしてきました。ペーパーカップやタンブラーを手に街を歩くスタイルや、家でも職場でもない「サードプレイス」の提案など、時代ごとの空気をつぶさに感じ取りながら、新たな価値を生み出し、文化を育んできました。
これからも、お客様一人ひとりの暮らしに溶け込んだ、心あたたまるひとときをお届けすると共に、コミュニティ(地域社会)へポジティブな影響を与え、人間らしさを大切にしながら更なる挑戦を続けてまいります。
つまり、スターバックスは、人びとの心を豊かで活力のあるものにするためにコーヒーを売っているのであって、決してお金儲けのために売っているのではない、ということだと思います。
すてきなミッションが従業員に浸透し、それによって店内の心地よい雰囲気や美味しいコーヒーが生まれ、スターバックスらしさが形成されているのですね。
ブランドが持つ○○らしさとは、すてきな理念や志があって初めて生まれます。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
ファッション業界においても、環境問題やサステイナビリティへの意識が高まる中、フランスでは、売れ残り商品の廃棄を禁止する新たな法律 “Projet de loi relatif à la lutte contre le gaspillage et à l’économie circulaire(廃棄物と循環型経済への戦いに関する法案)”が2020年2月10日に施行されました。
内容は、製造業者、輸入業者、代理店、「Amazon(アマゾン)」を含むeコマースサイトに対し、売れ残りの洋服や非飲食品の廃棄を禁止し、チャリティーなどへの寄付を推進していくというもの。また、この法令に違反した場合、15,000ユーロ(約178万円)という多額な罰金が課せられます。
フランスでは年間10億ユーロ(約1180億円)相当の商品が廃棄されています。日本でも、アパレル業界から廃棄される衣類の量が年間で100万トンに及ぶとされています。その中には、新品のまま焼却処分される衣類もあります。現在消費されている衣服はおよそ13億点なのに対し、供給されている衣服は27億点近く。つまり、売れ残る余剰在庫は14億点にも上っていることが予測されます。
フランスでは今回の法案以外にも、マイクロプラスチックごみが川から海に直接流れ込むのを食い止めるため、洗濯機にフィルターを付けることを義務付けることを推進。また、フランスで販売される全ての衣料に、環境や社会的な問題への影響に関する情報が含まれているタグを付けるよう、現在急ピッチで開発を進めているようです。
ファッション先進国フランスの取り組みは、日本のファッション業界にも大いに参考になりそうです。人びとに夢を売るファッション産業だからこそ、持続可能な社会を目指して、消費者にワクワク・ドキドキを永遠に届けられる仕組みを作らなければいけません。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
株式会社ファーストリテイリング傘下のユニクロとジーユーは4月1日(水)から、国内全店舗でショッピングバッグを有料化し、1枚一律10円(税抜)で販売することを発表しました。
同社は、環境負荷を低減し、お客様に安心して購入していただける製品とサービスの提供に向けた取り組みを推進。プラスチックごみによる環境汚染への懸念が世界的に増大する中、2019年7月には、お客様の手に渡る使い捨てプラスチックを2020年中にグループ全体で2018年実績から85%(約7,800トン)削減する目標を設定しています。
この取り組みの一環として2019年9月から、プラスチック製ショッピングバッグを順次、FSC認証(森林認証)を受けた紙または再生紙を使用した環境配慮型の紙製へと切り替えを進めてきました。
同時に、ユニクロ、ジーユーの全店舗でオリジナルのエコバッグを販売し、マイバッグとして持参を呼びかけています。今回ユニクロとジーユーの国内全店舗に紙製ショッピングバッグが導入されるのに合わせ、ショッピングバッグの有料販売を開始し、さらにマイバッグの利用促進と、ショッピングバッグ全体の使用量削減に努めていく計画です。
同時に商品パッケージについても、プラスチック製パッケージの撤廃およびFSC認証(森林認証)を受けた紙などを使った代替パッケージへの切り替えを順次推進。
2019年秋冬シーズンから、ユニクロのルームシューズでプラスチック製パッケージを廃止したほか、2020年春夏シーズンのエアリズム一部商品などでも、紙製ヘッダータイプのパッケージを導入しています。2020年秋冬シーズンからは、ユニクロのヒートテックや、ジーユーの一部インナー商品でも順次代替素材パッケージへの切り替えを進めていく予定です。
ファーストリテイリングは、「環境への配慮」をサステナビリティ活動における重点領域のひとつに掲げ、あらゆる無駄をなくし地球環境への影響を最小限にする事業の構築を推進。 今後も、サプライチェーン全体で使い捨てプラスチックなど廃棄物の削減と、リサイクル素材などの活用による資源の循環利用に向けた取り組みを進めていきます。
また「無印良品」を手掛ける良品計画も、20年3月以降順次プラスチック製ショッピングバッグの廃止を進め、6月末までに国内全店で紙製ショッピングバッグに切り替えると発表。商品の陳列用パッケージも、19年春夏物から一部で再生紙を使用した紙製を導入、20年2月から、カフェ業態で提供するストローも現状の紙製から竹繊維を使用したものへと順次変更していく計画です。
プラスチック製のショッピングバッグから紙製バッグへ切り替え、有料化する動きは18年12月からH&Mジャパン(1枚20円で販売)、19年5月からストライプインターナショナル(1枚20円で販売)も推進しています。
サスティナブルな取り組みは今や当たり前。消費者の意識もどんどん変化しています。この大きな時流に取り残されないよう、どんな些細なことでも良いので、できることから実行していきましょう。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
株式会社アーバンリサーチと、株式会社ファミリーマートは、フランチャイズ契約を締結し、両社のコラボレーション店舗として「アーバン・ファミマ!!虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー店」を、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」2階に2020年2月12日(水)に開店しました。
同店は、「サスティナビリティ」をキーワードに都市型ワーカーへ持続可能なライフスタイルを提案する新世代のコンビニエンスストアをコンセプトに、両社が持つノウハウを融合させ、都市型ワーカーに向けた新たなライフスタイル提案型リアル店舗です。
店内什器などに再生、再利用素材を使うなど、環境に配慮した素材を用いた“サスティナブルデザイン”を採用。
例えば、余分な湿気を吸収する卵の殻を再利用したエッグウォール(壁紙)やエッグペイント(塗料)、火力発電所で発生する石炭灰の他、使用済みのコーヒー豆など多岐にわたる廃棄物を利用したリサイクル内装ボードなども採用「。全体の70%にサスティナビリティな要素(仕上げ・什器)を取り入れ、環境に配慮した店舗作りになっており、 都会のインフラの中で、未来の資源を考えるきっかけづくりも提案しています。
■大型イートインを境に、アーバンリサーチエリアとファミマ!!エリアを設置
店内は大型イートインスペースを境に、“PERSONAL LIFE SUPPORT”をコンセプトとした「アーバンリサーチエリア」と、より働く時間を支援“WORK TIME SUPPORT”をコンセプトとした「ファミマ!!エリア」に分かれています。
「アーバンリサーチエリア」では、サスティナブルなライフスタイルとファッション(廃棄衣料をアップサイクルするサスティナブルマテリアル・プロダクト「commpost(コンポスト)」やトラックのタープ(幌)をリサイクルしたスイス発ブランド「FREITAG(フライターグ)」のバッグをはじめ、エシカルなファッションを推進する「かぐれ」のオーガニックコスメ、別注や人気商品を中心としたアパレルラインなど)、リラックス&レジャー(インナーウエア、ソックス、アウトドア用品など)、そしてレスキュー需要やギフト、日用品(ハンカチ、タオル、食料品など)をコンセプトとした売場づくりを展開。
目玉として、第七回環境省グッドライフアワードにて「環境と福祉賞」を受賞した廃棄衣料をアップサイクルするサスティナブルマテリアル・プロダクト「commpost(コンポスト)」のすべての商品や、「アーバン・ファミマ!!」コラボ商品のオーガニックコットンとリサイクルポリエステルを混紡した肌触りの良いタオルハンカチも品揃えしています。
「ファミマ!!エリア」では、食の充実(中食の充実)、利便性の向上(導入サービスの拡張)、憩いの時(イートイン・café・Book)、お土産(オフィスワーカーに向けて多様なビジネスシーンに対応できる商品選定)をコンセプトとした売場づくりを展開。
大型イートインスペースでは、大型のサイネージを配置し、“アーバンリサーチ””ファミマ!!”のコンテンツを提供したり、ヨガのワークショップやオフィスワーカー同士のネットワーキングを目的とした各種イベントなど、都心のワーカーコミュニティのハブステーションとしての役割を果たします。
「アーバン・ファミマ!!」が提供するのは、「サスティナブル」な店づくりや品揃えとイートインやワークショップといった「顧客体験」価値です。コンビニ飽和時代と言われる中、これまでの画一的な店づくりから、地域特性に合わせた、顧客が「ワクワク・ドキドキ」する店づくりが求められています。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
日本マクドナルドホールディングスは2019年12月期の決算を発表し、本業のもうけを示す営業利益は1年前と比べて11.9%増の280億円となり、4年連続で増益を達成。11年12月期以来、9年ぶりの営業最高益を見込みます。
商品面では、バーガーやサイドメニューを低価格で提供する「おてごろマック」や秋の定番商品「月見バーガー」シリーズなどが伸長。消費者の節約志向を捉えたお得感や季節限定のワクワク感を提供して売上を伸ばしました。
また店舗では、接客に特化した従業員、「おもてなしリーダー」を配置。客を席まで案内するなどサービスを充実させて、顧客の「店舗体験」向上にも取り組んでいます。
さらに、スマホアプリを使って注文・決済ができる「モバイルオーダー」を導入。待ち時間やをレジでの時間を減らすことで、忙しい消費者の利便性を高めました。
14年の鶏肉偽装問題で業績が大幅に悪化した同社ですが、顧客視点に立った「ワクワク・ドキドキ」価値の提供で、再びファンのすそ野を広げています。