体験消費時代のマーケティングヒント

2020-03-11 09:41:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

地方に出かけたり、海外旅行に行った時、女性は地元のマルシェ(市場)を訪ねるのが大好きです。どこにどんな商品が売っているかわからなくても、細い路地を宝探し感覚で歩き回って、自分のお気に入りを見つける。お店の店主に値段交渉してみたり、テイクアウトして出来立ての名物を頬張ったり・・。それだけで女性は幸せホルモンに満たされるのだと思います。 

 

 

そんな女性が大好きなマルシェ(市場)をコンセプトにて誕生した新業態店が、ベイシアフードセンター前橋吉岡店です。ネーミングもMARche+Beisiaで「MARsia=マルシア」と名付けているところがおしゃれです。

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マルシアは、市場のように鮮度を重視した仕入れ、豊富な品揃え、活気に満ちた演出などで、これからの食品スーパーを牽引する1号店として開店。具体的には、①新鮮で安心・安全な食材を提供。②賑わい、楽しさなどのエンターテイメント性を表現。③友達や知人、家族と一緒にくつろぐ場所。等々、従来のベイシアの「より良いものをより安く」の考え方に商品や売場を通じての活力や魅力をたくさんプラス致しています。 

 

 

青果では、鮮度を重視した調達方法に改善。以前から人気の地場野菜コーナーを更に充実し有機野菜の取扱いも始めました。鮮魚では、海鮮丼の専門店「彩香路」がデビューし、自慢の海鮮丼が勢揃い。精肉では、群馬の銘柄牛「赤城牛」を品揃え。第1号店となる「デリ ヴィアンド」肉惣菜(グリル)店では、店内で焼き上げた格別なローストチキンを販売。スーパーデリカテッセンでは、豚肉の「万葉亭」、鶏肉の「千羽鶏」、海老の「寿老舗」、中華の「厨華味源」に加え、新たなジャンルとしてフレンチの「ボン・ルパ」(惣菜店)を導入しています。 

 

 

「ボン・ルパ」(惣菜店)は、今回の目玉で、「ワンコイン」以下の手頃な価格で提供するフレンチ料理。アミューズ、サラダ、オードブル、スープ、魚料理、肉料理、デザートのフルメニューを品揃えとして加えています。 

 

 

その他、人気のHanaCafeはさらに品揃えを強化。ベーカリーではフランスで人気のクロワッサンやバケットを品揃えするほか、ハンバーガーやサンドウィッチ、コッペパンなどの軽食も充実。さらにスイーツ、カットフルーツなど美味しい食材とくつろげる空間も提供。このところ話題になっている生食パンも品揃えに加えるなど、新たな食の楽しさを提供しています。 

 

 

☛今後は少子高齢化で市場が先細りし、ますます競合が激化していきます。そんな中で生き残っていくためには、他社と差別化を図り、新しい客層を開拓できる店をつくる必要があります。単身世帯や高齢世帯、共働き世帯の増加に対応した、美味しくてリーズナブルで毎日飽きさせないワクワクする総菜の開発と品揃えが、これからの食品スーパー生き残りの鍵となります。

 

2020-03-10 16:44:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

コロナウイルスの感染拡大を受けた政府のイベント自粛要請などで、百貨店やショッピングセンター、飲食店からすっかり人がいなりました。各地で予定されていた大型イベントは軒並み中止。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどの大型レジャー施設も臨時休園に追い込まれるなど、消費の現場は冷え切っています。一日も早く収束していくことを祈るばかりです。 

 

 

振返ってみると、阪神大震災では、ローンを抱えたままマンションが倒壊した人たちのニュースが、日本人の持ち家主義にブレーキを掛けました。東日本大震災では高齢者や女性のコンビニエンスストアの利用率を上げたり、被災地で採れたものや作ったものを積極的に買おうといった応援消費も芽生えました。 

 

 

また今や月間アクティブユーザー数が8200万人という国民的SNS「LINE」は、東日本大震災で身近な人と連絡が取りあえなかったという教訓を生かして震災後すぐに誕生。今では私たちの生活を支える貴重なコミュニケーションインフラになっています。 

 

 

このように、大きな社会環境の変化をきっかけに私たちの生活スタイルも大きく変わっていくことが予測されます。例えば、新型コロナの影響でアウトドア活動に注目が集まっていたり、一人で楽しむソロキャンプも人気だそうです。 

 

 

消費者が企業を見る目も変わっていきそうです。マスクやトイレットペーパーの高額な販売や転売を放置した大手ネット通販企業は消費者の反感を買いました。一方、トイレットペーパーを山積みして「高額転売を沈静化させた」イオンは、消費者から絶賛の声が上がっています。 

 

 

社会の先行きが不透明になっていけばいくほど、今の消費者は自分に寄り添い、支えてくれる企業やブランドを支持するのは当然の流れになっていくでしょう。 

 

 

さて今回の外出、イベント、集会や宴会の自粛は、私たちの今後の生活スタイルをどのように変えていくのでしょうか。例えば、人の少ない地方に住んで自然と調和して過ごしたいという流れが加速したり、旅行は大人数のパックではなく気の置けない少人数で行きたいといった人が増えたり、屋内ではなく野外でのコンサートやイベントが人気になるかもしれません。いずれにせよ今回の新型コロナは、安全・安心できる環環境の保持や生き方の大切さを私たちに身をもって教えてくれました。またグローバルなサプライチェーンのもろさも露呈しました。今後、私たちは、消費者の価値観の変化をきちんとウオッチングし、そこから生まれる新しいライフスタイル潮流に合わせた顧客価値を提供していくことが大切です。

 

2020-03-10 08:36:00

 みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

 

女性に洋服選びの悩みを聞くと、「モデルが着るように、ステキに着こなせない」「試着する前に、諦めてしまうことがある」「体形が近いモデルを参考にしたい」などといった声が聞かれます。 

 

 

YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」がブランドメッセージのジーユーは、2020 年3月9日(月)に、バーチャルヒューマン「YU(ユウ)」を公開しました。

 

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YU(ユウ)」は「身長158cm。彼女が、もっと、ファッションを自由にする。」というコンセプトのもと誕生した、バーチャルヒューマン。「モデルが着るように、ステキに着こなせない」「試着する前に、諦めてしまうことがある」など、トレンドの服を着たいが似合うものが見つけられないという女性顧客の声に耳を傾け、様々な商品やコーディネートを、リアルなスタイルで提案するために開発したものです。 

 

 

理想のモデル体型でなくても、あらゆる人々に似合う商品や着こなしがあることを伝えるべく、第一弾の取り組みとして、ランダムにセレクトした女性 200名の身体を計測し、その平均データを参考に作成。名前も、英語の「YOU(あなた)」が由来となっており、あらゆる人々に親近感をもってもらいたい、また、あなたの意見から誕生したバーチャルヒューマンである、という想いを込めて「YU(ユウ)」とネーミング。  

 

 

まずは2020 年春夏シーズンの新商品を着こなす「YU(ユウ)」を公開。その後着こなしを提案するだけでなく、様々な体型に変化しながら、そのカラダに合った商品や着こなしを提案していく予定です。

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☛モノが売れない時代、消費者目線に立ったサービスの提供や商品開発がますます重要になってきています。ファッション業界も見た目のカッコよさだけでなく、ひとりひとりの顧客にピッタリのサイズやコーディネイトを提案するパーソナルスタイリストの概念を経営に取り入れていきましょう。

 

2020-02-27 08:33:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

花王は、第32回日経企業イメージ調査の「扱っている製品・サービスが良い」という項目で、一般個人の評価で1位を獲得しました。前回の7位から一気に上昇。心を込めた「よきモノづくり」を通して、人びとの豊かな生活文化実現に貢献することを理念とし、高い技術力と発想力に基づき、多種多様な製品を送り出しています。 

 

 

2019年には衣料用洗剤「アタック」ブランドから、洗浄力を高めた「アタックZERO」を新発売。新開発の洗浄基剤を主成分として落ちにくい汚れゼロ、生乾き臭ゼロ、洗剤残りゼロ、という3つのゼロを実現しています。 

 

 

また、掃除用品の「クイックル」シリーズから発売された「クイックルJoan」も好評。天然成分由来の「発酵乳酸」を配合し、除菌・抗菌性能と、肌が敏感な人など安心感を両立しました。 

 

 

一方で、企業理念をベースとしたESG活動「Kirei Action」を推進。ESGをコストでなく投資と捉え、2018年に社長直轄のESG部門を新設。同年にプラスチック包装容器宣言、翌年にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、ESG経営に大きく舵を切っています。 

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例えば、イノベーションで生まれたプラスチックは、今はプラスチックごみと言うマイナス面での問題が表面化していますが、同社ではいち早くこの問題に取り組み、プラボトルレス化を加速しています。 

 

 

そして「社会が変化し、人の思考が変わる現代は企業自らも変わらなければ取り残される」との考え方のもと、商品設計の段階からESG視点を取り入れて、製品の廃棄まで責任を持つことにもチャレンジしています。 

 

 

花王の澤田社長は、「経営のやり方を抜本的に変えて、新たな視点で突き抜けるような覚悟が必要」「ESG本質研究に基づ『「Kireiイノベーション」を起こし、人、社会、地球に大きなインパクトを与えていく。」

 

 

「ESGの取り組みは、最終的には利益に結びつけ循環型にしないと持続しない」「花王はこれまで以上に企業価値を重視する会社に大転換した生きたい」と語っています。 

 

 

企業が長く事業活動を続けるには、消費者はもちろん地球環境との良好な関係構築を目指した経営が不可欠になってきました。サスティナブル先進企業「花王」から学べる点は多くあります。

 

2020-02-26 11:01:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

ーストラリアでは、「女性専用のシェアサービスが広がりつつある」と、今日の日本経済新聞が報じていました。  

運転手も利用者も女性に限定するライドシェア「シバー」は深夜の帰宅や子どもの送迎などの需要を取り込み、急成長。また子どもを持つ母親らを対象にした女性向けシェアオフィスもシドニーで開業を控えています。消費者としてだけでなく、働き手として女性が安心できる仕組みをつくることで、新たな経済圏が生まれつつあるようです。 

 

 

現在、ライドシェアの「シバー」には約2千人の女性運転手が登録。創業者で最高経営責任者(CEO)も女性であり、「柔軟な働き方を望む女性は多いが、ライドシェアの運転手は9割が男性」。そんな気付きが起業につながったそうです。また、多くの友人が『娘が夜、電車やバスに乗るのを怖がって習い事をやめた』と話してくれたことも成功への確信につながりました。自宅を売却して資金を集め、専用アプリを開発。2017年にスタートしたビジネスは豪州全土に広がり、今や利用者は約19万人にも上るそうです。 

 

 

一方、シドニーでは「女性による女性のため」のシェアオフィス「フランクリー・コー」の準備が進んでいます。ターゲットは、フリーランスや会社以外の場所で働く女性。カフェや託児所、ジムも併設することで、女性が「働いて、運動して、くつろげる場所」を目指しています。 

 

 

こうしたサービスは、働き手としても利用者としても女性が支えています。豪統計局によると、201月時点で女性の就業者は約616万人と、10年前から24%増加。育児などでフルタイムで働けなくても、限られた時間を有効に活用し、快適に働きたい。そんな女性たちのニーズが新たなビジネスを生み出しているようです。 

 

 

日本でも女性(1564歳)の就業率はここ9年間上昇し続けています。2018年は69.6%09年(59.8%)に比べ9.8ポイント上昇。196月には女性の就業者数が初めて3000万人を超えました。出産・子育て期の30代でも就業率は上がっており、安心して利用できる女性向けシェアサービスを求める潜在ニーズは大きいのではないかと思います。