体験消費時代のマーケティングヒント

2020-05-07 16:15:00

 

みなさまこんにちは。和田康彦です。 

 

新型コロナウイルスの治療薬として注目されているアビガン。

 

1990年頃から富山化学工業がアビガンの源流となる抗ウイルス薬の研究をはじめました。その後2008年に富士フイルムホールディングスが同社を買収し、2014年には条件付きで国内で製造・販売が承認されましたが、副作用が強く、当初想定していたインフル薬としては主流になれなかったという経緯があります。 

 

それでも富士フイルムは、今すぐに役に立たなくても未来のために投資しなくてはいけないとあきらめなかったそうです。 

 

1990年の開発からおよそ30年。アビガンはようやく陽の目を見て、新型コロナウイルスの治療薬としての臨床実験が始まりました。 

 

そして厚生労働省は新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」の5月中の承認をめざし、一定の条件を付けることで承認手続きを短縮する具体策をまとめました。 

 

苦節30年。長期目線での開発姿勢が世界中の多くの人を救う手立てになろうとしています。

コロナウイルスとの付き合いも長期戦が予想されます。 

 

国も企業もそして個人も、今一度立ち止まって長期目線での戦略を練り直すことが大切ではないでしょうか。

 

 

 

2020-05-05 16:00:00

 

みなさんここんにちは。和田康彦です。

 

新型コロナウイルスの流行で世界的に巣ごもり生活を強いられています。最近は、自宅で心地よく過ごすための様々なアイデアや知恵がテレビやSNSを通して発信されていますね。

 

今日は冬が長くて家で過ごす時間も長い北欧の人たちが実践している「ヒュッゲ」という「世界一幸せなライフスタイル」実践法をご紹介します。

 

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「ヒュッゲ」はデンマーク語で、「心地良い」「幸福」という意味です。仕事を効率良くこなしながら家族や友人との時間を大切にする、必要最低限のモノでシンプルに暮らす、そんなデンマーク人のライフスタイルを指し示しています。

 

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ヒュッゲスタイルを画像で表現するとこんな感じです。暖炉があって、お気に入りの器や温かい飲み物があって、人とのつながりを通して、一瞬一瞬を大切にしながら、好きなものに囲まれて過ごす。そんなイメージを想像していただけると思います。

 

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そして、ヒュッゲ流の心地よい暮らしの基本は、シンプル、スローダウン、空気感、仲間、オーセンティックの5つのキーワードにあると言われてます。

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まず、シンプルに暮らすとは、物質的な豊かさへの執着心を少なくし、日々の暮らしの小さなあれこれを愛でる習慣を持つこと。そしてモノをため込むのではなく、家族や友人との絆を大切する。人生で記憶に残る出来事は、お金がかからないもの、という考え方を持つことがベースになっています

 

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次の、スローダウンして暮らすというのは、現代人は、不安定で情報過多の中で生きているので、一息ついて緊張を緩めたり、スローダウンすることを忘れがちである、速度を緩めることで自分を取り戻すことができるという考え方です。

 

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3つ目の空気感というのは、あたたかさや居心地のよさがにじみ出ている雰囲気のことで、安全でおおらかで、ゆったりとしていて、 人と比べたり競争したりしないことを言います。そして大切なことはすべてを楽しむことという考え方です。

 

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4つ目の仲間は、大切なのは安心して自分らしくいられる人たちと共に過ごすことであり、パートナー、隣人、同僚など、相手は一緒にいて楽しい人がいちばん。1人でもいいし、ペットが相棒なら申し分なしという考え方です。

 

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そして、最後のオーセンティックとは、自分の喜びに忠実に、自分の価値観に従って生き、誰かから言われたことではなく、自分の純粋な心に耳を傾けること。そして、自分を知ること、自分が好きなことや大切にしていることを大切にする。本当の自分でいることを重視する考え方です。

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さて、みなさんはヒュッゲ流ライフスタイルのどこに共感できたでしょうか。 

 

 

 

では、ここでヒュッゲ流ライフスタイルを実践していくための30のキーワードをご紹介します。まだまだ続きそうな巣ごもり生活。この中からお気に入りを選んで、ぜひ実践してみてくださいね

 

 

 

◇ヒュッゲ流ライフスタイルを実践していくための30のキーワード

 

 

 

1.   熱いお風呂に入る

 

2.   日の出を眺める

 

3.   旧友に連絡する

 

4.   映画を見てリラックスする

 

5.   11人で過ごし、孤独を楽しむ

 

6.   子どものころに好きだったことをやってみる

 

7.   居心地のよいカフェを見つけて、あたたかい飲み物を飲む

 

8.   読もうと思っていた本を読む

 

9.   暖炉の火(またはろうそくの灯)のそばでくつろぐ

 

10.自分をハッピーにしてくれるものをリストアップする

 

11.携帯電話の電源を切って1日を過ごす

 

12.友人との食事会を計画する

 

13.家に人を呼んでお茶とお菓子をふるまう

 

14.15分間瞑想する

 

15.丸一日予定を入れない

 

16.ふかふかのスリッパを履く

 

17.くつろげる服装で散歩に出かける

 

18.会いたいと思う人に手紙を書く

 

19.パンかお菓子を焼く

 

20.手料理をつくる

 

21.アロマキャンドルを灯す

 

22.フェイシャルパックをする

 

23.夕日を眺める

 

24.身の回りの電子機器を片付ける

 

25.ヨガのレッスンを受ける

 

26.仲のよい人に手づくりのプレゼントを贈る

 

27.花を摘んで、花瓶に生ける

 

28.癒しの音楽をかける

 

29.ペットや愛する人をハグする

 

30.かなえたい夢を日記に書きだす

 

 

 

2020-05-04 16:43:00

なさんここんにちは。和田康彦です。

 

早速ですが「世界幸福度ランキング」という言葉を聞いたことがありますか。 

 

世界幸福度ランキングとは、国連が2012年より150ヵ国以上を対象に行っている幸福度調査のことです。 

 

調査は、各国の国民に「どれくらい幸せと感じているか」を10段階で評価してもらった調査に加えて、(1)人口あたりGDP(2)社会的支援(困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)、(5)寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)、(6)腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)という6つの要素を元に幸福度を測っています。 

 

各国で1000人を対象に調査し、調査対象者が各自の幸福度を010の中で評価して回答した平均値をとっています。これから発表する2020年ランキングの調査対象は153ヵ国でした。 

 

みなさんは、1位はどこの国だと思いますか?日本は何位だと思いますか? 

 

こちらが、今年の3月に発表された、世界幸福度ランキング2020の結果です。1位は3年連続でフィンランド、2位はデンマーク3位はスイス、以下アイスランド、ノルウェー、オランダ、スウェーデン、ニュージランド、オーストリア、ルクセンブルクと続きます。

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れらの上位の国を見ていくと、北欧をはじめとした欧州地域の幸福度が高いことがわかります。一方で日本はというと、2016年から年々順位を落とし、今年は62位という結果になりました。

 

それでは北欧諸国がなぜこれほどまでに幸福度が高いのかという理由を見てきましょう。   

まず、ワークライフバランスが取れていること、家族の優先度が高いことがあげられます。週37時間労働に加えて、年に最低5週間の休暇があるというのですから羨ましい限りですね。 

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また、医療費や学費が無料という充実した育児休暇制度や医療制度があげられます。 

 

さらに、男女平等の浸透や低失業率、政治的自由度、低い犯罪率、政治家の汚職が少ない、あふれる自然環境などがあげられます。ただし税率は高いという現実もあります。 

 

ところで、北欧といえば、イケアやレゴ、マリメッコやロイヤルコペンハーゲン、ムーミンといった世界中で愛されているブランドを数多く生み出していることでも有名です。

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 また数年前からは、幸福度が高い北欧風のライフスタイルが世界中で注目されていて、様々な書籍が出版されています。それらの書籍に共通するキーワードは「ヒュッゲ」という言葉です。

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次回は、幸福度が高い北欧風のライフスタイル「Hygge(ヒュッゲ)について見ていきましょう。

 

 

2020-05-03 16:51:00

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

今日(2020年5月3日)の日本経済新聞では、日経POS(販売時点情報管理)の321日から429日までのデータを分析した販売動向が掲載されていました。日経POSデータは全国約460のスーパーの販売金額などを税別価格で収集しているものです。 

 

記事によると、販売が伸びているのが菓子類。最も多く買われる週末の土曜日でみると、418日のスナック菓子の販売額は前年と比べ89%増。25日も同73%増と、1カ月前の伸び率(39%増)を大きく上回っています。せんべいも同じ傾向のようです。 

 

外出自粛で家にいる時間は長くなり、在宅勤務の合間などにつまむ機会が増えていることが想像できます。 

 

家族で一緒に調理できる商品も売れています。週末の425日のギョーザの皮と春巻きの皮の販売は前年の2.6倍になり、そのまま焼いて食べるチルドギョーザ(54%増)を大きく上回っています。 

 

またお好み焼き粉やホットケーキミックスの販売も好調で一部欠品も。外出できず、家族で調理を楽しむ様子がうかがえます。 

 

私も妻から頼まれてベーキングパウダーを買いに行きましたが、近くの3店すべて売り切れ。入荷の予定も立っていないとのことでした。 

 

一方で、乾パスタや冷凍食品など保存性の高い商品の伸びは鈍ってきています。一時期の買いだめの混乱は収まり、最近は家族団らんや嗜好性食品へのニーズが高まってきていることがわかります。 

 

必需品から心を潤す商品へ。おうち生活が長引くことで消費者ニーズも日々変化しています。

 

 

 

2020-05-01 17:07:00

 

みなさまこんにちは。和田康彦です。 

 

429日付の日本経済新聞にユニクロの全面広告が掲載されていました。

 

「今日も変わらず、必要な服をお届けでしるように」というタイトルのもと、現在のユニクロの営業状況や感染防止への取り組み、医療現場へのマスクの寄付といった内容を伝えています。ユニクロの企業姿勢が伝わってくる好感の持てる広告でした。

 

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一方、ファッション業界誌WWDのウエブ版430日号では、ファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正さんのロングインタビューが掲載されていました。 

 

今や世界第2位のアパレル企業にまで成長させた柳井氏の一言一言にはこれからのアパレル産業のみならず日本の産業界が目指すべきヒントが凝縮されています。 

 

今日はインタビュー記事の中から、ぜひみなさんと共有しておきたいメッセージを引用させていただきます。 

 

すごい危機感があるが、世界が変わる転換期だと考えたらいい 

 

☛グローバル化とデジタル化は止めようがない 

 

☛せっかくグローバル化やデジタル化などで世界中の人々や企業にチャンスがあるのに、萎縮してチャンスを逸しないでほしい。 

 

世界各国はもっと協力しないといけない。 

 

事業活動自体がサステナビリティに通じ、売るものは本当にお客さまの生活を豊かにして社会の持続的発展に寄与するようでないと駄目だ。 

 

マイケル・ポーター(Michael Porter)が言うCSVCreating Shared Value:共有価値の創造)と同様に、事業の目的自体が社会にとってプラスになり、事業活動そのもので価値を生み、その価値に賛同して人が集まって企業をつくるというのがこれから一番成長していく企業だと思う。 

 

この業界の一番の問題は、商品が供給過剰で、売れるか売れないかにかかわらず作っていること。それをやめないといけない。無駄だ。 

 

単に奇をてらった商品や、象徴として発表するだけで本当は着られないような服は全部やめないといけない 

 

お客さまが欲しいものを作るということ。着ることや選ぶことにおいてお客さまに楽しいなと感じていただくこと。それがないといけないと思う。 

 

お客さまの文句や不平不満を一番の問題として捉え、日常の商売を通じて応えていくところから出発する。 

 

声を全部集めて、それを毎日、経営者が自分で見て、自分でやることを決めて実行する。チームが必要だったらそこでチームを作る。どういう商品が本当に求められているのか、より満足してもらうためにどういった商品を作るべきなのか、自分たちの頭で考えて実行しなきゃいけない。 

 

今、デジタルとかコンピューター、人工知能(AI)、クラウド、ビッグデータなどさまざまな技術が進歩し、データを集めることは容易になったが、本人にそれをする気がなかったら、そんな技術を使っても駄目なのよ。 

 

データの分析よりも前にお客さまの反応をきちんと見ないと。商品がいいか悪いかとか。データだけを分析してもそれは微差だ。「デジタル化したら全部解決する」みたいな勘違いをしている人が多いが、デジタルをやっても何にも解決しないよ。それは手段だ。 

 

「服屋は服屋に返れ」と言っている。本当に理想的な服屋とはどういう服屋なのか。それを追求して、デジタル技術を使ってお客さまの要望をより簡単に捉えて、お応えしていくことが大事。要望を捉えてそれを分析するだけでは意味がない。 

 

重要なのは、自ら問いを持つことだ。「コンピューターは質問があることにしか答えない」、そして、「質問は自分からしなければいけない」。仕事も一緒ね。何が問題かを自分で考えて、それが問題や課題だったら自分で解決する。課題を解決することが仕事だ。 

 

売れる要素が何かってことを、自分の頭を使って考えたほうがいい。みんなデジタルに頼り過ぎ。デジタルは何も解決してくれない。当たり前だよ、そんなこと。 

 

僕はあらゆることは計画と準備だと思っている。成功するかしないかは、計画と準備があるかないか。失敗した人のほとんどは、計画とか準備なしに、行けると思って行ったら崖からポンっと落ちたっていう。 

 

企業、あるいはブランドに対してロイヤルティーがないと駄目。そのためにはいいブランドじゃないといけないよね。だから、いいブランド、いい企業にいい人が集まり、いい成果が出て、いい循環を生むことになるんじゃないか。悪いのはその反対になること。古今東西、変わらぬ鉄則だ。 

 

経営者は会社に対してどのような成果を出したかで評価すべき。それと、チームが作れる人であること。各リーダーがリーダーシップを発揮することが大切だ。だから、スターは必要ないよね。 

 

服は主観的なものと客観的なものがあって、生活必需品なんだけど嗜好品という、非常に難しいものだ。 

 

H&M」も「ZARA」も一気に成長した。それは何に起因したのか、現在なら何なのか、独自のやり方を考えないといけない。僕らはそれを、その国だけじゃなしに世界中でやろうとしている。そのためには、グローバルで通用することと、デジタルの技術、それをやり遂げる人やリーダーの信念と情熱と実行力がカギを握る。 

 

いかがでしたか。含蓄のある一言一言をあなたの会社の経営にも取り入れて、新しい時代を生き抜いていきましょう。