体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは、和田康彦です。
8月に入り、まさに夏真っ盛り。
夏といえば冷たい生ビールが思い浮かぶのは、今や私のようなおじさん世代だけなのかもしれません。
というのも、ビールの販売量はこの10年で約4割も減っているからです。背景には、チューハイやハイボールなど消費者の選択肢が増えたほか、新型コロナウィルスの感染拡大で、飲食店の利用が激減したことがあります。
そのような中、いまクラフトビール市場が急伸しています。
クラフトビール(地ビール)は、規模の小さい醸造所がつくる個性的なビールのことですが、このところ醸造所が急増。全国で600ヵ所にも上り、10年前の2.5倍にもなっています。
キリンビールの調べによると、2021年のクラフトビール市場は前年比約1.6倍に伸長しており、ビール類市場における構成比は初めて1%を突破して約1.5%に成長。2026年には3%台に迫るとの調査結果もあります。
アメリカでは、ビール販売量に占めるクラフトビールの割合は、2019年で13.6%といいますから、日本市場もまだまだ伸びしろがあるのではないでしょうか。
規模の小さな醸造所が個性的な味を競うクラフトビール業界ですが、最大手のビールメーカーキリンもクラフトビール業界をけん引しています。
2021年のクラフトビール市場の増加分の約8割を2021年3月に発売したクラフトビールブランド「SPRING VALLEY 豊潤<496>」が占めるなど、キリンビールはクラフトビール市場で存在感を高めています。
この好調を受けて2022年9月13日、クラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」から「SPRING VALLEY シルクエール<白>」の缶商品(350ml税別248円、500ml330円、アルコール分5.5%)を発売します。
「SPRING VALLEY シルクエール<白>」は、白ワインのようなかぐわしい香りを演出する飲みやすいビールで、白ビールらしさが伝わりやすい液色に仕上げたのが特徴。すっきりした味わい、クリーミーな泡が楽しめるそうです。
同社は、クラフトビールを「おいしさにこだわった造り手の感性と創造性が楽しめるビール」とポジショニング。 ビールの新しい美味しさを広げ、日常の食卓を豊かにできるカテゴリーという位置づけで、家飲みのプチ贅沢需要にこたえていく考えです。
ふだんは第三のビールを飲んでいる人でも、週末は頑張った自分にご褒美をあげたいという気持ちから、クラフトビールを楽しんでいる人も多いと思います。
必要なモノは満たされ、これといって欲しいものは見当たらない現代の消費者ですが、「日常の生活を充実させて心豊かな毎日を送りたい」という欲求は、ストレス社会の中で年々大きくなっています。
お客様の日常生活をちょっとでも楽しく豊かにしていくお手伝いこそ、これからの小売業や飲食・サービス業に求められているミッションです。
あなたの会社でも、お客様が日常生活を充実させ、心豊かな毎日を過ごせるよう商品、サービス、接客、コミュニケーションで応援していきましょう。

みなさんこんにちは、和田康彦です。
このところ毎日のようにメタバースという言葉を目にするようになりました。今日2022年8月1日付の日本経済新聞でも、住友不動産がメタバースで住宅販売をスタートするという記事が掲載されていました。
ところで、最近よく見たり、耳にする「メタバース」という言葉、みなさんは具体的に説明することができますか。
今日は、超入門編ということで、「メタバース」とは何ぞや?ということをわかりやすく説明していきたいと思います。
▪メタバースの語源とは。
メタバース(metaverse)という言葉は、meta(メタ/超越、高次の)とuniveres(ユニバース/宇宙)を組み合わせた造語です。
1992年に登場したSF小説が起源といわれており、2000年代に登場した「セカンドライフ」がメタバースの走りとされています。
また、フェイスブックが2021年社名を「メタ」に変更したことから、一躍メジャーワードの仲間入りをするようになりました。
▪メタバースでできること。
まだまだ実験段階にあるメタバースですが、今後は、今リアルでしていることがどんどんメタバースに置き換わっていくかもしれません。
例えば、エンタテインメント分野では、SDゲームや映画、音楽ライブやテーマパークをメタバース上で楽しめるようになります。
また、ふだんの暮らしの中では、不動産の売り買いや家具の購入、ニュースや広告を見ることがメタバース上でできるようになりそうです。
ショッピングもメタバース上で、アバターの服や靴を購入したり、リアル商品を購入することもできます。
そして、仮想空間で会議をしたり、NFT(非代替性トークン)を活用して、デジタルでつくったアートを売買できるようにもなります。
このようにメタバースは、インターネットの仮想空間でいろいろなことができるようになる仕組みといえます。
▪ヘッドマウントディスプレイとアバター。
メタバースを楽しむためには、多くがヘッドマウントディスプレイ(HDM)という装置を頭に着けて、自分自身のキャラクター=アバターで仮想空間に入り込みます。アバターは、オンラインゲームなどの仮想空間で、自分の「分身」として動くキャラクターを指します。親しみやすいように、マンガ風にデフォルメされたイラスト調の絵柄にすることが多く、現実世界と同じように、出会う人と会話をしたり、物を渡したりすることができます。
アバターはコントローラで動かし、他のアバターと音声で会話し、コミュニケーションをとることができます。
▪バーチャル店舗でのお買い物。
自分のアバターが客としてお店に入ると、アバターに扮したお店のスタッフが迎えてくれます。実はこのアバターは、お店のスタッフが操作しているんですね。
スタッフのアバターは、リアル店舗で扱っているファッションを着て接客してくれるので、客のアバターはコンピューターグラフィックスで再現された商品を手に取り、いろいろな角度から見ることができます。
そして気に入ったら、オンラインショップの画面に行き、商品を購入することができます。
バーチャル店舗では、離れたところにいる友達と一緒に買い物することもできます。都合の良い日時を決めてお店に行き、アバターでお互いにおしゃべりしながら商品を見ていると、まるでお店にいるかのような感覚で買い物することができます。
商業施設を再現する動きでは、三越伊勢丹ホールディングスや大丸松坂屋百貨店が衣料品や化粧品を販売するなど、小売りでの取り組みが相次いでいます。
▪メタバースは街もつくりだす。
街づくりでは、「バーチャル渋谷」が良く知られていますね。渋谷の象徴にもなっているスクランブル交差点などをリアルに再現。たくさんの人がアバターになって街歩きを楽しむことができます。ハロウィンには、イベント等も開催されて、仮想空間で渋谷の街を堪能することができます。
▪音楽ライブに参加する。
大勢の観客一人ひとりがアバターでライブに参加できます。バーチャル空間の中で拍手をしたり、飛び跳ねたりと思い思いのカタチでライブを楽しめます。まるで他の参加者と同じ空間にいるような一体感の醍醐味はリアルなライブにも引けを取りません。
▪アバターで会議に参加する。
マイクロソフトのチャットアプリ「チームズ」では、今年仮想空間で会議ができるようになる予定です。また、メタバースにある土地を購入して自由に建物を建てられるようになったり、メタバースにある観光地をアバターになって巡る「アバターツアー」も始まっています。
▪デジタルでつくったアートの売買も。
メタバースでは、デジタルでつくったアートの売買もできます。非代替性トークン(NFT)]というブロックチェーン(分散型台帳)の仕組みを使って、作品に関する情報や改ざん、コピーできないように記録して唯一無二を証明できるので、売買する上での不安もありません。
▪デジタル技術の進化とメタバース。
コンピュータグラフィックス(CG)や仮想現実(VR)などのデジタル技術の発展により、仮想空間の魅力はどんどん高まっています。
メタ(旧フェイスブック)は2022年7月27日十28日の二日間、メタバース(仮想空間)の推進を目指す大規模イベントを日本で初めて開きました。ソフトバンクや大日本印刷(DNP)など約30の企業・団体が参加し、働き方やエンタメといった幅広い分野で新サービスを披露。
ソフトバンクはプロ野球の福岡ソフトバンクホークスの本拠地である福岡PayPayドーム(福岡市)を仮想空間に再現した取り組みを披露するなど、各社のメタバースの取り組みは年々熱を帯びてきています。
▪今後の課題と可能性。
一方で、メタバースが今後普及していくためには、ヘッドマウントディスプレイがまだまだ高価であったり、重くて長時間の使用が難しいなどの課題も多くあります。
しかし、カナダの調査会社エマージェン・リサーチはメタバース関連産業の市場規模が28年に8289億5千万ドル(約110兆円)と、20年の20倍弱に拡大すると予測しています。
以上、メタバース入門ということで、メタバースについてわかりやすく解説してきました。インターネットビジネスでは、日本はアメリカのGAFAなどの企業に後塵をとってしまいましたが、メタバースでは世界の市場リードしてほしいと思います。

みなさんこんにちは、和田康彦です。
住友不動産は2022年9月から、凸版印刷が運営するメタバースのショッピングモール「メタパ」に、住宅販売拠点「メタマンションギャラリー」を開設。仮想空間「メタバース」で新築分譲マンションの販売を始めます。
同社が国内で手掛ける約80物件のうち、まずは20物件程度をメタバースでも販売。アバター分身を使った購入の相談や、営業担当者による無料セミナーなども予定しており、今後は注文住宅の販売も検討していく予定です。
メタバースでは窓ガラスの形状などを詳しく把握でき、実際に部屋にいるかのように内見できます。また実物件では1物件で数タイプの部屋の紹介にとどまりますが、メタバースでは全てのタイプの部屋を見られるようにします。
住友不動産では、地方や海外在住者など遠距離の需要も取り込み、オンラインで契約に結びつける計画です。
最近では、メタバースを使ったビジネスがゲームや小売りから不動産など高額商品に広がってきています。
メタバースではネット空間のアバター(分身)や仮想の展示を通じて商品を売買できるのが特徴で、オンライゲームが実用化で先行。商業施設を再現する動きでは、三越伊勢丹ホールディングスや大丸松坂屋百貨店が衣料品や化粧品を販売するなど、小売りでの取り組みが相次いでいます。
カナダの調査会社エマージェン・リサーチはメタバース関連産業の市場規模が28年に8289億5千万ドル(約110兆円)と、20年の20倍弱に拡大すると予測しています。
このところ毎日のように「メタバース」に関する情報が流れてきています。普及はまだまだこれからだとは思いますが、今のうちから勉強しておきましょうね。
#住友不動産 #メタバース #住宅販売 #メタパ #凸版印刷 #メタマンションギャラリー #アバター #オンライン契約

みなさんこんにちは、和田康彦です。
このところ、小売の現場や商品で男女の垣根を低くする取り組みが始まっています。
2022年7月29日に改装オープンしたトイザらス伊丹店では、これまで男女別だった売り場を融合。同社初の試みとなる売場「ヒーロー&キャラクター」では、戦隊ものやお姫様の人形が同じ棚で隣同士に並ぶ取り組みを始めました。
同社では、2021年前半から「ボーイズ」「ガールズ」と性別で分けた売場の見直しをスタート。児童が性別に関係なく興味のあるおもちゃを自由に選べる売場づくりを研究してきました。
学生服メーカーのトンボ(岡山市)では、ジェンダーレス制服の販売を2015年から開始。生徒が自由に選べるスカート、スラックス、ジャケット、ネクタイ、スカーフなどを開発。2021年には、1000校を超える学校が採用しています。
ファッション業界でもジェンダーフリーに向けた取り組みが広がっています。
丸井グループは、性別を問わず男性の体型に合わせたオーダースーツの採寸ができる店舗「FABRIC TOKYO」の運営を始めました。
また、ジュエリーのヨンドシーホールディングスでは男性も女性も楽しめる宝飾品「4℃ HOMME+ (ヨンドシー オムプラス)を販売。女性だけでなく男性も一緒に指輪やネックレスを買う20代のカップルが増えているといいます。
女性向け下着メーカーのワコールでは、従来女性向けとされてきたレースを男性下着に採用することで話題を呼んでいます。
「レースボクサー」とネーミングされた商品は、女性下着を主力とするワコールの男性向けブランド「ワコールメン」が2021年末に発売。販売すればすぐに完売してしまう人気商品です。
レースと言えば女性のイメージでしたが、ワコールではフロント部を除く全面に花柄のレースをあしらった男性向け下着を開発。開発段階から商品部の4人の男性が試し履きして、男性でも快適なレースを使った下着づくりに取り組んできました。
発売すると「セクシーだ!」とまとめ買いする人が続出、再販売してもすぐに完売してしまう話題の商品です。
価格は3960円(税込)、色は赤、黒、青、茶、水色の5色から選べます。今秋には増産分の入荷が始まり完売状態が解消される見込みだそうです。
Z世代を中心に、ナチュラルに自分らしく、性別の垣根を越えた自己表現が広がってきています。これまでの常識を覆すジェンダーフリーな動きは今後もますます広まっていきそうです。あなたの会社の商品や売場でも、ジェンダーフリーな取り組みにチャレンジできないかを考えてみましょう。