体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
新型コロナウイルスの影響で外出できない中、家の中で楽しく過ごすためにお金を使う「巣ごもり」消費に新たな動きがみられています。今回は、巣ごもり消費の中身について見ていきましょう。
●買物はネットで
外出がままならない中、日用品や雑貨など生活必需品をアマゾンやロハコといったネット通販で購入する人が増えています。また、生鮮品をネットで注文する人やレシピと食材がセットになった「ミールキット」の利用者も急増しています。フリマアプリのメルカリでは、本やボードゲーム、DVDなど巣ごもり関連品の出品が増加。中でも人気作品のセットや過去の名作の売買が活発化しています。ZOZOTOWNやアパレル各社ECサイトで購入する人も3月以降増加しており、コロナ後もネット通販の利用はますます増加していきそうです。
●家で料理する
外食できないので仕方なく家で料理する人も増えています。電気調理なべやコーヒーメーカなどの調理家電の販売が好調です。またお家で美味しいパンを焼くためのホームベーカリーも人気に。自宅でたこ焼きや焼き肉を楽しむための専用器やたこ焼き粉やソースといった材料の売上も大きく伸びています。
●テイクアウトや宅配を頼む
テイクアウトや宅配、出前の需要も大きく広がっています。それに伴って、ピザや弁当の配達に使う屋根付き3輪スクーターの注文も急増しています。
●長期保存できるもの
冷凍食品や豆乳といった長期保存できる食品が人気です。また留守番する子供向けに「ふりかけ」を購入するお母さんも増えています。
●家事代行サービス
働く女性が増える中、食材の作り置きや掃除、ベビーシッターといった家事代行サービスを利用する人が増えています。
●学習サポート
休校が長引く中、子どもの学習をサポートするドリルやタブレットを使ったオンライン学習サービスに人気が集まっています。
●自宅でできる健康グッズ
運動不足解消のため、自宅でできるトランポリンといった健康グッズを購入する人が増えています。また、屋内でも楽しめるキャンプ用品やソロキャンプ用の道具が人気です。
●テレワーク関連
在宅勤務が広まる中、パソコンやオンラインミーティング用のウエブカメラやマイクといったテレワーク関連商品の品薄状態が続いています。
●マスクを手作りで
マスクが手に入りにくくなっている中、ハンドメイドでマスクをつくる人が増えています。これに合わせて、1万円前後の手軽に変えるミシンの販売が急伸しています。
●暇つぶし
外出できずにじっと我慢の生活は案外ストレスがたまるもの。ネットフリックスやアマゾンプライムなどの動画配信サイト、電子書籍の利用も増加しています。また任天堂はニンテンドースイッチの増産を決めています。
まだまだ終息の時期が見えない中、社会の先行きはますます不透明になってきています。今は、大きな不安を抱える消費者に寄り添い支えていくことが大切だと思います。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
今日は、ジャニーズグループが、防護服や医療用マスクなどの医療物資を必要な医療機関に届けるというニュースがテレビや新聞、SNSで取り上げられていました。
新型コロナウイルス感染拡大に対する支援活動「Smile Up! Project」の一環で、医療機関で不足している防護服3万3000枚を今月末までに、医療用マスク30万枚と抗菌マスク20万枚の計50万枚を今月末から順次、総額約8000万円分を調達し医療機関に届けるそうです。
ジャニーズグループの発表によると、昨年亡くなったジャニー喜多川氏が入院していた東京・日本赤十字社医療センターの現状を伝えるテレビ番組が、同プロジェクト始動のきっかけの1つだといいます。
今後はファンクラブサイトなどでも新たに有料の映像配信サービスを始め、一定期間内の収益を、医療機関に届ける医療物資購入費用に充てるとのことです。
ジャニーズ事務所とはいえ、公演の中止やタレントの休業など、懐具合が厳しいのは一緒だと思います。ただそんな状況の中でも、思い切った活動で社会を支援していく。とても素晴らしい行動だと思いました。
新型コロナウイルスの影響で外出禁止や自宅待機が余儀なくされる中、孤独感や先行き不透明なことに対する不安が広がっています。そのような中、スポーツ選手や芸能人が投稿する動画に元気をもらったり、癒されている人も多いのではないでしょうか。
今後は人の温かさを感じるものが以前よりさらに共感を呼ぶことは間違いありません。企業やブランドや商品、サービスに対しても、消費者は人の温もりが感じられて、安心感を与えてくれるものにより好感を抱いていくでしょう。
企業も個人も、今こそどんな小さなことでもいいので、人びとの不安や孤独感をやわらげるための工夫をしていきたいものです。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
新型コロナウイルスの感染が最も拡大しているアメリカですが、大手企業を中心にソーシャルプログラムやパーソナライゼーションへの投資が活発化しています。
フォードモータ―は、車両を宣伝する全国的な広告を一時休止。コロナウイルスへの対応を告知するキャンペーンに切り替えています。例えばクレジット部門では支払い期限を遅らせることでローン支払い者の救済処置をとっています。また学校に通っていない子供たちのために、食糧プログラムを支援するなどのチャリティー活動を増やしています。
また、マリオット・インターナショナルでは、医療従事者と地域介護者への支持を強化。新型コロナウイルスの対応に当たる医療専門家に1000万ドル相当のホテルの滞在を提供するほか、食料品やクリーニング製品、マスク、手袋、消毒剤、シャワーキャップなども提供しています。
ハンバーガーチェーンのバーガーキングでは、10ドルを超える注文の配達料金を免除する広告キャンペーンを展開。また看護師に対してハンバーガーを寄付したり、コロナウイルス対策基金に寄付をしています。
家庭用品の製造・販売を手掛ける世界的な企業、ユニリーバは、1億ドル以上のクリーニング製品をチャリティーとして提供、商品サプライヤーに対しても5億ドル以上の支援を行っています。
一方、ニューヨーク発祥のスキンケアブランド、キールズでは、バーチャルコンサルティングを開始。デジタル技術を活用してユーザーを積極的にサポートするパーソナライゼーションの取り組みが始まっています。
大企業といえども今回の事態は経営に大きな打撃を与えていることは言うまでもありません。そんな非常時の中でも、自社のことだけに目を向けるのではなく、社会全体に役立つことを考えて行動する企業姿勢には尊敬するばかりです。
コロナウイルス騒動が終息した新しい時代には、今回紹介したような企業が称賛を浴びて再び躍進していくのだと思います。
そう言えば、大阪市の松井一郎市長が新型コロナウイルスに対応する医療現場の防護服の代替品として募集した雨がっぱですが、数日間で10万着以上の提供の申し出があったそうです。うれしいニュースですね。
つまり、企業も個人も今できることをしっかりやることが大切なんだと思います。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
一向に終息の気配が見えない新型コロナウイルスですが、今が踏ん張り時です。ウイルスの乗り物というのは、私たち動く人間です。ウイルスはウイルスだけでは決して動けません。ですから、私たちが動くのを止めることで、ウイルスの動きもきっと止めることができるはずです。そう思って、みなさんも自分自身と周りの人の健康を第一に考えて行動してくださいね。
ところで、イタリアの大御所ファッションデザイナー「ジョルジオ・アルマーニ」氏は、先日発表した公開書簡の中で「現在は乱気流の中にいるような先が見えない状態だが、間違いを正して人間らしさを取り戻すためのユニークな機会でもある。」と語っています。
これを読んでいただいているみなさんも薄々感じていることかもしれませんが、私自身も今回のいわば「天災」は、宇宙全体のバランスが崩れていることへの警鐘のように感じてなりません。
この宇宙には、バランスを保つための法則が存在しているといわれています。そして法則には、自然界の秩序を維持し、すべての生命を永遠に生かし続けるシステムとノウハウが詰まっていて、私たちはこの法則を守ることで、永遠に生存していけるのではないかと思うのです。
アルマーニ氏が語っている「間違いを正して人間らしさを取り戻す」というのも、私たち人間が宇宙の法則を守っていくことの重要性を説いているのではないかと思った次第です。
宇宙法則の中でも、私が特に重要だと思うのは、共存の法則と調和の法則のふたつです。
◆共存の法則
地球上の生命は動物と植物のふたつに大別されます。私たち動物は生きるために酸素を必要とし、廃棄物として炭酸ガスを放出しています。植物は動物が出した炭酸ガスを吸って、動物の食料となり、酸素をつくって動物を生かしてくれています。つまり、動物と植物はお互いに必要なものをつくり、相互に支えあって共存しているわけです。
また草木は、自己の生命を永遠につなげるために、花を咲かせ種子をつくります。種子をつくるために雄蕊と雌蕊がありますが、蜂や蝶の力を借りるか、風の力を借りないと実を結ぶことができません。
私たちの人体を見ても、口は胃のために働き、胃は腸のために、腸や心臓や肺は全身を生かすために働いてくれています。
つまり、宇宙の中で自分だけの力で生きているものは一つもないことがわかります。すべての生命は生かされて生きる生命である。これが共存の法則です。しかしながら、地球温暖化が進むことで、私たちを取り巻く生態系は今破壊の一途をたどっています。
もう待ったなしです。サスティナブルな地球環境を守っていくために、国も企業も生活者も今からできることをやっていかなければいけません。
◆調和の法則
宇宙はすべてのものが調和することによって成立しています。調和とはバランスのことです。太陽は引力を持ち、地球をはじめ9つの惑星は遠心力を持っています。このふたつの力は全く相反する性質をもっていますが、両者のバランスがとれたとき、9つの惑星は正確に永遠に太陽の周りを廻ることができるのです。
また、燃えやすい水素(H)と何物も燃やす酸素(O)が結合したとき、すべての生命の源である水(H2O)が生まれます 。
つまり自然界はこのように相反する力のモノが調和したとき、安定した第3の状態をつくりだすことを教えてくれています。
磁石のNとS、電気の+と-、動物と植物、男と女、酸とアルカリ、陰と陽など相反するものが調和することで、新しい価値を作り出し、相互に生きることができることを示しています。
今回の新型コロナウイルス問題も、自国だけで解決できるものではありません。地球に住む全ての人が一致団結して外出しない、手洗いを徹底する、3密を避けるといったことに取り組まないと、結局いつまでもウイルスの思う壺です。
自分の力だけで生きよう、自分さえよければという考えは宇宙の法則に反するものです。
アルマーニ氏が言うように、「間違いを正して人間らしさを取り戻すためのユニークな機会でもある。」ことをみんなで認識して新しい時代を創造していきたいと思います。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
今や、どの家庭にも一つはある透明収納ケースやHGチェスト。これらを開発して大ヒットさせたのが、日本を代表する日用品メーカー「アイリスオーヤマ」です。同社は生活の中に潜む様々な問題点・不満点を察知し、それに対する解決策を提案することで、潜在的な需要を喚起してきました。中身の見えるクリア収納、巻き取りやすく手が汚れないフルカバータイプのホースリール、室内のペットの臭いをクリーンに取り除く空気清浄機など生活者があきらめていた不満を解決し、新たな市場を創造する力がアイリスオーヤマの強みです。
10年前からは家電事業にも進出。家電市場は飽和状態ですが、サーキュレーター衣料乾燥除湿器やふとん乾燥機などのヒット商品を生み出しています。サーキュレーター衣類乾燥除湿機は、空気を循環させる送風機に除湿機を合体させた画期的な商品。除湿機で湿気を取り除いた空気を、強力な風で直接洗濯物に吹き付けることで室内でも衣類を一気に乾かせます。一方、干せない布団をフカフカにするのは「ふとん乾燥機カラリエ」。今まで、布団乾燥機といえば温風を入れるマットを広げるなど、準備が大変でしたが、この新型はマットをセットする必要がありません。温風が出るノズルの先端にある羽根を開き、布団をかけるだけで、テントのような空間ができ、布団全体に温風が広がります。どちらの商品も今までにないアイデアで梅雨時の主婦の悩みを解決しました。
これらの商品は、毎週月曜日に行われている新商品開発会議から生み出されます。この会議では、大山会長以下役員と開発担当社が一堂に揃い、機能・デザイン・価格などあらゆる側面から、徹底的に生活者の視点で検討されます。大山会長は「家電製品はサプライヤー側の専制君主の時代から民主主義にシフトした」「今は、消費者が買った後のレビューが重要」と日経新聞のインタビューで答えています。つまり「民主化」とは、消費者の生活シーンから逆算した商品作りを意味しています。
例えば、「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器」もその一つです。同社は2011年、東日本大震災で被災した米農家の支援に参入。美味しい米について研究をしている中で、「ごはんの味は銘柄別の水加減で決まる。」ことを発見。それをコントロールできる炊飯器があると便利、という発想から銘柄別の水加減で米をセットする時に面倒な、水の計量がいらない商品を開発しました。入れた米の重さを自動的に計測し、おいしく炊ける水の量を表示。水を注いでいくだけで、適量になるとブザーで知らせてくれます。さらにこの炊飯器には本体の下にクッキングヒーターがついていて、炊飯に使うヒーターを、別の用途にも使えるように分離。まさに生活者とってうれしいを形にした商品といえます。
アイリスオーヤマでは、2002年より取引先への派遣するSAS(セールスエイドスタッフ:Sales Aid Staff)制度をスタート。現在では全国約800店舗で活躍しています。セルフ販売を主とするホームセンターでは、商品の機能を伝えるには限界があります。そこでSASがお客様に直接伝えるという役割を担い、「お部屋のペット臭が気になる」「すき間を活用できる収納用品を探している」といったお客様の不満・要望を聞き出して的確に商品を紹介しているのです。さらに、オリジナルのPOPを作成するなどして、せっかくの“売場”を“置き場”で終わらせない工夫も行っています。また、店頭でお客様と接するSASはまさに販売データの宝庫。お客様との対話の中からしか得られない情報がSASに蓄積され、商品開発部門にフィードバック。その情報が新たなソリューション商品のヒントとなっています。
2019年度のグループ売上は5000億円。成長を続けられる背景には、メーカー機能と問屋機能をあわせ持つ独自の「メーカーベンダー」という独自のビジネスモデルがあります。商品を小売店に届けるだけでなく、小売店の売場をコンサルティングしながら魅力的な売場作りや販売促進をサポート。生活者の声がダイレクトにフィードバックされるため、生活者ニーズに対応したオンリーワン商品のスピーディな開発をも可能にしているのです。さらに、多様化するニーズに応えるため素材にとらわれた「業種」発想から、さまざまな素材とあらゆる技術を組み合わせて卸売業の「業態」視点で商品開発をおこなうビジネススタイルも強みのひとつです。
日本の家電業界がかつてのような勢いがなくなる中、愚直に生活者の声に耳を傾け、顧客の生活シーンを丁寧に観察する。その中から今までなかった新たな商品を生み出し、新たな市場を開拓するアイリスオーヤマには、成熟時代の商品開発のヒントがたくさん詰まっています。