体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
オーストラリアでは、「女性専用のシェアサービスが広がりつつある」と、今日の日本経済新聞が報じていました。
運転手も利用者も女性に限定するライドシェア「シバー」は深夜の帰宅や子どもの送迎などの需要を取り込み、急成長。また子どもを持つ母親らを対象にした女性向けシェアオフィスもシドニーで開業を控えています。消費者としてだけでなく、働き手として女性が安心できる仕組みをつくることで、新たな経済圏が生まれつつあるようです。
現在、ライドシェアの「シバー」には約2千人の女性運転手が登録。創業者で最高経営責任者(CEO)も女性であり、「柔軟な働き方を望む女性は多いが、ライドシェアの運転手は9割が男性」。そんな気付きが起業につながったそうです。また、多くの友人が『娘が夜、電車やバスに乗るのを怖がって習い事をやめた』と話してくれたことも成功への確信につながりました。自宅を売却して資金を集め、専用アプリを開発。2017年にスタートしたビジネスは豪州全土に広がり、今や利用者は約19万人にも上るそうです。
一方、シドニーでは「女性による女性のため」のシェアオフィス「フランクリー・コー」の準備が進んでいます。ターゲットは、フリーランスや会社以外の場所で働く女性。カフェや託児所、ジムも併設することで、女性が「働いて、運動して、くつろげる場所」を目指しています。
こうしたサービスは、働き手としても利用者としても女性が支えています。豪統計局によると、20年1月時点で女性の就業者は約616万人と、10年前から24%増加。育児などでフルタイムで働けなくても、限られた時間を有効に活用し、快適に働きたい。そんな女性たちのニーズが新たなビジネスを生み出しているようです。
日本でも女性(15~64歳)の就業率はここ9年間上昇し続けています。2018年は69.6%と09年(59.8%)に比べ9.8ポイント上昇。19年6月には女性の就業者数が初めて3000万人を超えました。出産・子育て期の30代でも就業率は上がっており、安心して利用できる女性向けシェアサービスを求める潜在ニーズは大きいのではないかと思います。