体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
コロナウイルスの感染拡大を受けた政府のイベント自粛要請などで、百貨店やショッピングセンター、飲食店からすっかり人がいなりました。各地で予定されていた大型イベントは軒並み中止。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどの大型レジャー施設も臨時休園に追い込まれるなど、消費の現場は冷え切っています。一日も早く収束していくことを祈るばかりです。
振返ってみると、阪神大震災では、ローンを抱えたままマンションが倒壊した人たちのニュースが、日本人の持ち家主義にブレーキを掛けました。東日本大震災では高齢者や女性のコンビニエンスストアの利用率を上げたり、被災地で採れたものや作ったものを積極的に買おうといった応援消費も芽生えました。
また今や月間アクティブユーザー数が8200万人という国民的SNS「LINE」は、東日本大震災で身近な人と連絡が取りあえなかったという教訓を生かして震災後すぐに誕生。今では私たちの生活を支える貴重なコミュニケーションインフラになっています。
このように、大きな社会環境の変化をきっかけに私たちの生活スタイルも大きく変わっていくことが予測されます。例えば、新型コロナの影響でアウトドア活動に注目が集まっていたり、一人で楽しむソロキャンプも人気だそうです。
消費者が企業を見る目も変わっていきそうです。マスクやトイレットペーパーの高額な販売や転売を放置した大手ネット通販企業は消費者の反感を買いました。一方、トイレットペーパーを山積みして「高額転売を沈静化させた」イオンは、消費者から絶賛の声が上がっています。
社会の先行きが不透明になっていけばいくほど、今の消費者は自分に寄り添い、支えてくれる企業やブランドを支持するのは当然の流れになっていくでしょう。
☛さて今回の外出、イベント、集会や宴会の自粛は、私たちの今後の生活スタイルをどのように変えていくのでしょうか。例えば、人の少ない地方に住んで自然と調和して過ごしたいという流れが加速したり、旅行は大人数のパックではなく気の置けない少人数で行きたいといった人が増えたり、屋内ではなく野外でのコンサートやイベントが人気になるかもしれません。いずれにせよ今回の新型コロナは、安全・安心できる環環境の保持や生き方の大切さを私たちに身をもって教えてくれました。またグローバルなサプライチェーンのもろさも露呈しました。今後、私たちは、消費者の価値観の変化をきちんとウオッチングし、そこから生まれる新しいライフスタイル潮流に合わせた顧客価値を提供していくことが大切です。