体験消費時代のマーケティングヒント

2020-10-21 11:14:00
2020年世界ブランドランキングトップ100、コロナ禍でどう変わった?

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

ブランディング事業を手掛ける米インターブランドは20201020日、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2020」のトップ100を発表しました。

 

本ランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で21回目となります。時代の不安定性・不確実性がコロナ禍で加速され、本ランキングにも大きな影響を与えています。

 

今回のランキングの概要は以下の通りです。

Apple8年連続で第1位、Amazonが第2位、Microsoftが第3位に浮上

InstagramYouTubeZoomが初めてBest Global Brands入り

Amazonがブランド価値を60%アップさせ、成長率1

・業種別では、テクノロジー部門が最も高い成長率

Toyotaは昨年に続き第7位、17年連続で自動車ブランドの最高位

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ランキングでは、Apple8年連続で第1 (ブランド価値 3,230億ドル、前年比 +38%)、同60%アップしたAmazonが第2位(2,007億ドル)、Microsoftが第3位(1,660億ドル、同 +53%2013年より第2位であったGoogleは前年比1%ダウンで第4位(1,654億ドル)となりました。また、Samsungが第5位(623億ドル、同 +2%)となり初めてTop5にランクインしました。

 

ソーシャルメディアとコミュニケーションのブランドが躍進し、Instagram19位、261億ドル)、YouTube30位、173億ドル)、Zoom100位、45億ドル)が初めてBest Global Brandsにランクインしました。

 

また、Tesla40位、128億ドル)とJohnnie Walker98位、46億ドル)が、再ランクインしました。

 

Top5 Growing Brands(最も成長率の高い5ブランド)は、Amazon(前年比+60%)、Microsoft(同+53%)、Spotify(同+52%)、Netflix(同+41%)、Adobe(同+41%となりました。

 

コロナ 禍の影響によりオンラインサービスブランドが発展を遂げ、2桁成長をしたブランドの6割がサブスクリプションのビジネスモデルを採用しています。

 

また、PayPal60位、前年比+38%)、Mastercard57位、同+17%)、Visa45位、同+15%)も、それぞれブランド価値を高めています。

 

感染拡大の影響から主要な支払方法として電子決済への急速な移行が進んだことや、ロックダウンの中で地元のビジネスをサポートするプログラムを迅速に展開したこと等により、不確実な時代に家計や資本へのアクセスを提供する信頼できるブランドとして飛躍を遂げています。

 

業種別に見ると、コロナ禍の影響により多くの店舗の閉店を余儀なくされたZara (35) H&M (37) は、それぞれブランド価値が-13% -14%と低下し、昨年より順位を下げています。

 

2年連続で成長率がトップであったラグジュアリー業界は、そのブランドのほとんどがブランド価値を下げています。

 

その一方で、コロナ禍で成長した業種の一つは物流です。平均5%の成長が見られ、UPS24位)、FedEx75位)、DHL81位)はすべてブランド価値を上げました。物流ブランドは、世界各地でロックダウンされた人々の生活に欠かせない存在となっています。

 

テクノロジーブランドの躍進により100ブランドの合計金額価値は23,365億ドルとなり、2019年に比べ9%成長しています。前年比で成長したブランドの成長率は平均14%であるのに対し、テクノロジーとプラットフォームブランドは20%成長しており、100ブランドの合計価値の48%を占めています(2010年は17%)。さらに、Top3のテクノロジーブランドの合計価値は100ブランドの合計価値の30%を占める結果となっています(2010年は16%)。

2020-10-20 09:54:00
時流を読む:サブスクリプションモデル、25年には世界で50兆円市場に。

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

企業が繁盛・繁栄していくためには、時流に適合していくこと、つまり変化に対応していくことが最も重要です。

それでは今日も、時流を読み解くデータを見ていきましょう。

 

アマゾンは20201月にアマゾンプライムの世界での会員数は15000万人を突破したと発表しました。国別の会員数は公表していませんが、市場調査会社CIRPのレポートによると、米国では181012月時点で会員数はすでに1100万人に達したと推計しています。

アマゾンプライム.png

200768日、アマゾンドットコムは日本で会員制サービス「アマゾンプライム」を始めました。開始当初は通常配送費の無料や翌日配送など配送特典のサービスでしたが、今では、会費のみで映画や音楽が楽しめたり、写真を保存できたり、会員限定セールなどの特典が用意されています。

 

アマゾンプライムのような「サブスクリプション(継続課金)」モデルがいま消費形態を変えつつあります。衣食住にかかわる様々なサービスが登場し、新型コロナウイルス下でこの動きは加速しています。2025年には世界で50兆円市場になるとの予測もあります。気軽に参入できる半面、淘汰も始まっています。企業はデータを活用しながら、消費者といかに長い関係を築くか。ビジネスモデルの模索が続いています。

 

新型コロナが生んだニューノーマル(新常態)は生活様式を変え、スマートフォンなどを起点に手軽に注文できるサブスクの普及は速まりました。動画、音楽、電子書籍、車、飲食、家具、家電、ジム――。対象はあらゆる業種に及びます。

 

コロナ下では、生鮮食品宅配のオイシックス・ラ・大地も躍進しました。同社は約4千の生産者と契約し、有機野菜や調味料をレシピと組み合わせ1週間分の食材を届ける月額サービスを手がけています。6月末の会員数は252300人と1年前から14%増加しました。

 

ICT総研(東京・千代田)は、国内市場は23年に14370億円と19年比で26%になると予測しています。

 

一方、初期費用の安さでサービスに飛びついた消費者が飽きてしまい解約する「サブスク疲れ」という言葉も現れました。日本サブスクリプションビジネス振興会によると、国内で参入した企業の3割は1年以内に撤退しているといいます。

 

資生堂は6月末、月額約1万円のスキンケアの配合サービス「オプチューン」をひっそりと終了。自宅に5種類の化粧液のもとと専用マシンが届き、スマホアプリで肌を撮影すると、8万通りの配合パターンから最適な化粧品を提供してくれる仕組みで、同社初のサブスクで、個別ニーズをくむ「スモールマス」としても注目されましたが、本格開始からわずか1年での幕切れとなりました。

 

また、焼き肉チェーン「牛角」を運営するレインズインターナショナルは一部で11000円で1カ月食べ放題などができるサービスを19年秋に始め、201月に終了。紳士服のAOKI18年、レンタルスーツから撤退しています。

 

注目が集まっているサブスクリプションモデルですが、成功するためには、

  データを使った個別顧客満足度の向上、そのためのデータサイエンティストなどの技術者の獲得と育成、

  米アマゾン・ドット・コムの「アマゾンプライム」や米アップルのように、いろいろなサービスを組合わせて『お得感』を提供することが重要といえます。

2020-10-18 08:58:00
時流を読む:男性コスメ市場は8年連続で伸長。異業種が続々参入。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

企業が繁盛・繁栄していくためには、時流に適合していくこと、つまり変化に対応していくことが最も重要です。

それでは今日も、時流を読み解くデータを見ていきましょう。

 

富士経済(東京・中央)によると2019年の男性コスメの市場規模は1199億円。11年(995億円)以来、8年連続で増加しています。化粧品全体の市場規模28149億円(19年)の4%程度にすぎませんが、今後も成長が見込める分野だと期待を集めています。

 

菊正宗酒造(神戸市)は9月、男性用化粧水「日本酒保湿化粧水」(150ミリリットル、税抜き1200円)を初めて売り出しました。日本酒に含まれる保湿成分を配合した化粧水でドラッグストア、雑貨店、ネット通販などで販売しています。

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同社は事業多角化の一環として2011年から美容液、乳液、化粧水など女性コスメ市場に参入していますが、数年前から男性客による購買が予想以上に増えてきたこと。また、菊正宗ブランドはもともと男性になじみが深く、ブランドの浸透度も高いことを強みとして男性コスメ市場に参入しました。

 

一方、プロサッカー選手の三浦知良さんをCMキャラクターに起用する男性エステサロン「ダンディハウス」などを展開するミス・パリ・グループ(東京・中央)も6月から男性コスメの卸売りを始めています。

 

「オールインワンジェル」(80グラム、税抜き4800円)、「クレンジングフォーム」(100グラム、同3500円)、「スキンケアローション」(120ミリリットル、同3800円)を自社のサロンやネット通販に加えて、新たにドラッグストアや雑貨店、ディスカウントストアなどでも販売。ダンディハウスの運営を通じて培ったスキンケアのノウハウを自宅でも体験できるのが特徴です。

 

このように、男性コスメ市場に異業種からの新規参入が増えている背景には、①市場規模が成長していること、②OEM(相手先ブランドによる生産)で製品を比較的容易に調達できること、③ネット販売も含めて販路構築が容易にできること、④肌の白さやきめの細かさなどを強調する男性の韓流スターやK-POPアイドルの人気が高まっていること、⑤新型コロナウイルス感染症の拡大でオンライン会議やマスク着用の機会が広がり、目元を中心に肌の手入れで見栄えをより良くしたいと考える男性が増えたことなどが考えられます。

 

こうした状況を踏まえ、ロフトは102日から全国129店の男性コスメ売り場を大幅拡充し、英国発の「ウォーペイント」など34ブランド、約150種類の商品を販売する大規模イベントを始めました。大手の化粧品ブランドだけでなく、様々な特徴を持つ個性的な男性コスメ商品が増えつつあります。

 

男性コスメ市場は今後も伸長が期待される注目分野です。あなたの会社の強みを活かして参入できるニッチがないか検討してみるのもよいと思います。

 

2020-10-17 10:45:00
ファーストリテイリング社柳井正氏の今後の展望から、ニューノーマル時代に生き抜くヒントを学ぶ。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

ファーストリテイリングが1015日に発表した20208月期決算は 売上収益が対前期比12.3%減となる288億円、営業利益同42%減の1493億円の大幅減収減益となりました。

 

新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大で売上に急ブレーキがかかった一方で、第4四半期では回復も見られ、レジリエンス(復元性)の強さをみせています。

 

218月期は、売上収益2兆2000億円(同9.5%増)、事業利益は2650億円(同55.9%増)、営業利益は2,450億円(同64%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,650億円(82.6%増)と、増収大幅な増益を予想しています。

 

以下、決算発表で柳井正代表取締役会長兼社長が語った今後の展望をご紹介したいと思います。

図1ユニクロ.png

  今までの常識は通用しない

世界はいまコロナに端を発する、経済活動の停滞など、これまでの常識が通用しない状態にある。お客が求めるものが変われば、商品も変わり、売場も変わる。この状況に立ち向かうには、私たちが変わらなければといけない。

 

  グローバル化は決して止まらない

グローバル化の流れは何があっても変わらない。世界でスマホの台数は50億台を超え、世界的に11台がスマホを持つのが当たり前の時代となった。世界中の人々がスマホという高性能コンピューターを手に、あらゆる情報を得て、自在に発信できるようになった。だから、グローバル化が進むのは必然であり、どんな大きな力を使っても改めることはできない。

 

  すべてのプロセスを国を超えて一体化する

そのような信念のもと、デジタル、ロボティクス、全自動化という考えをてこに、事業プロセスを大胆に変えていく。

 

ライフウェアは日常生活を豊かにするあらゆる人のためのもの。製造開発、リサイクルまで自社で一貫して行っている。

こうしたことに取り組んでいる企業は私たち以外ない。この領域で社会を支えるインフラになるのが使命であり、存在意義だ。

 

  新たな需要をつくり出す

時代の変化を体現した服を、その売り方で提供するために、首都圏に3つの店舗をオープンし、店舗での販売、接客のやり方を根底から変えていく取り組みを進めている。

 

  危機をチャンスに変え、良い社会を作る

コロナの業績への影響は大きく、世界の経済・社会への影響も深刻で、その出口は見えていない。また、大国の間で政治的対立が激化し、それがビジネスにまで影響を与える危機的状況となっている。この事態に直面し、必要なことは、「危機をチャンスに変えてよりよい社会をつくる前向きな発想と具体的な行動」だ。これを持てるかで未来は変わる。

 

  情報を「智恵」に変える。「智恵がこもった服」をつくる

価値ある情報を一元的に持ち、すべてのプロセスを自社で行っている当社は、ビジネスを通じてより良い社会を作るという理念を明確に貫いている。世界中から優秀なデザイナーやクリエイターが集まり、名だたるグローバル企業と協業ができる。

 

  信じるに足る企業か

消費者は今後、社会に本当に役立つ会社でしか商品を買わなくなる。企業がどこに向かおうとしているのか、お金を払う価値のある会社かどうかを厳しく見ているのだ。

 

  信念に基づいて発言し、行動する

自らの信念に基づいて行動する時代であり、経営者はとくに、正しいと信じることを勇気を持って行動することが求められている。

 

  真にグローバルなプラットフォームつくる

私が描く夢は、優れた個人・企業と連携し、国や民族の垣根を取り去り、国家に変わる真にグローバルなプラットフォームを作ることだ。これは夢(物語)ではない。社会のためになる企業しか生き残ることできない、これこそが現実だからだ。世界中の消費者はこうした企業を応援してくれると確信している。

 

いかがでしたか、今までの常識が通用しないニューノーマル時代、世界の最先端をいくファーストリテイリング社の柳井氏から学べる点は多くあると思います。

2020-10-16 16:21:00
ワークマンが、女性客を対象にした「#ワークマン女子」をオープン。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

ワークマンは、女性客を対象にしたコンセプトストア「#ワークマン女子」を横浜・桜木町に1016日にオープンしました。

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横浜のJR桜木町駅前の商業施設「コレットマーレ」に、同社最大の452平方メートルの売り場を構えます。店名の通り女性客を狙った店づくり、作業服を置かないMD、大都市の駅前立地など、ワークマンにとっては初めてづくしの店舗として話題を集めそうです。

 

作業服から発祥した既存の「ワークマン」「ワークマンプラス」は男性客が中心ですが、「#ワークマン女子」では伸び代のある女性客を取り込むのが狙いです。

 

同店はSNSとリアル店舗との一体化を図るコネクティッドストアをコンセプトに、同社が協業するアンバサダーとさまざまな仕掛けを行います。

 

「#ワークマン女子」の店名の通り、SNSでの発信を狙った店づくりが特徴。コレットマーレの5階にある店舗入り口には、ピンク色のブランコが置かれているなど、女性客がインスタグラムなどのSNSに上げたくなるような撮影スポットを複数設けているのが特徴です。

 

内装も女性を意識したデザインにし、木製の什器にゆとりを持って商品を陳列したり、マネキンを使ったトータルコーディネートの提案も増やしています。また既存店に比べて試着室の広さを1.5倍にし、荷物が置ける棚やフェイスカバーを常備するなど女性ゴコロをつかむ工夫がみられます。

 

さらに、ユーチューバー、ブロガー、インスタグラマーなど同社が協業するアンバサダーと共同開発した商品も並べ、POPQRコードからアンバサダーによる商品説明につなげています。

 

ワークマンの既存店と同様に基本はセルフ販売のため、詳しい商品説明を店舗スタッフではなくアンバサダーに肩代わりしてもらうのが狙いです。

 

ワークマンは現在885店舗を運営していますが、中長期的には2000店舗体制を目指す計画。「#ワークマン女子」1号店は初年度売上高45000万円を計画しています。

 

“ワークマンブーム”の仕掛け人である土屋哲雄専務は日本経済新聞社の取材に対して、「今後の成長を考えれば、新しい女性客の獲得は欠かせない。次の1000店は女性中心にしたい。今は女性がやや肩身の狭い思いをする店になっているが、男性が少し居心地の悪くなる店を増やそうと考えている」と話しています。