体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
企業が繁盛・繁栄していくためには、時流に適合していくこと、つまり変化に対応していくことが最も重要です。
それでは今日も、時流を読み解くデータを見ていきましょう。
富士経済(東京・中央)によると2019年の男性コスメの市場規模は1199億円。11年(995億円)以来、8年連続で増加しています。化粧品全体の市場規模2兆8149億円(19年)の4%程度にすぎませんが、今後も成長が見込める分野だと期待を集めています。
菊正宗酒造(神戸市)は9月、男性用化粧水「日本酒保湿化粧水」(150ミリリットル、税抜き1200円)を初めて売り出しました。日本酒に含まれる保湿成分を配合した化粧水でドラッグストア、雑貨店、ネット通販などで販売しています。
同社は事業多角化の一環として2011年から美容液、乳液、化粧水など女性コスメ市場に参入していますが、数年前から男性客による購買が予想以上に増えてきたこと。また、菊正宗ブランドはもともと男性になじみが深く、ブランドの浸透度も高いことを強みとして男性コスメ市場に参入しました。
一方、プロサッカー選手の三浦知良さんをCMキャラクターに起用する男性エステサロン「ダンディハウス」などを展開するミス・パリ・グループ(東京・中央)も6月から男性コスメの卸売りを始めています。
「オールインワンジェル」(80グラム、税抜き4800円)、「クレンジングフォーム」(100グラム、同3500円)、「スキンケアローション」(120ミリリットル、同3800円)を自社のサロンやネット通販に加えて、新たにドラッグストアや雑貨店、ディスカウントストアなどでも販売。ダンディハウスの運営を通じて培ったスキンケアのノウハウを自宅でも体験できるのが特徴です。
このように、男性コスメ市場に異業種からの新規参入が増えている背景には、①市場規模が成長していること、②OEM(相手先ブランドによる生産)で製品を比較的容易に調達できること、③ネット販売も含めて販路構築が容易にできること、④肌の白さやきめの細かさなどを強調する男性の韓流スターやK-POPアイドルの人気が高まっていること、⑤新型コロナウイルス感染症の拡大でオンライン会議やマスク着用の機会が広がり、目元を中心に肌の手入れで見栄えをより良くしたいと考える男性が増えたことなどが考えられます。
こうした状況を踏まえ、ロフトは10月2日から全国129店の男性コスメ売り場を大幅拡充し、英国発の「ウォーペイント」など34ブランド、約150種類の商品を販売する大規模イベントを始めました。大手の化粧品ブランドだけでなく、様々な特徴を持つ個性的な男性コスメ商品が増えつつあります。
男性コスメ市場は今後も伸長が期待される注目分野です。あなたの会社の強みを活かして参入できるニッチがないか検討してみるのもよいと思います。