体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
企業が繁盛・繁栄していくためには、時流に適合していくこと、つまり変化に対応していくことが最も重要です。
それでは今日も、時流を読み解くデータを見ていきましょう。
アマゾンは2020年1月にアマゾンプライムの世界での会員数は1億5000万人を突破したと発表しました。国別の会員数は公表していませんが、市場調査会社CIRPのレポートによると、米国では18年10~12月時点で会員数はすでに1億100万人に達したと推計しています。
2007年6月8日、アマゾンドットコムは日本で会員制サービス「アマゾンプライム」を始めました。開始当初は通常配送費の無料や翌日配送など配送特典のサービスでしたが、今では、会費のみで映画や音楽が楽しめたり、写真を保存できたり、会員限定セールなどの特典が用意されています。
アマゾンプライムのような「サブスクリプション(継続課金)」モデルがいま消費形態を変えつつあります。衣食住にかかわる様々なサービスが登場し、新型コロナウイルス下でこの動きは加速しています。2025年には世界で50兆円市場になるとの予測もあります。気軽に参入できる半面、淘汰も始まっています。企業はデータを活用しながら、消費者といかに長い関係を築くか。ビジネスモデルの模索が続いています。
新型コロナが生んだニューノーマル(新常態)は生活様式を変え、スマートフォンなどを起点に手軽に注文できるサブスクの普及は速まりました。動画、音楽、電子書籍、車、飲食、家具、家電、ジム――。対象はあらゆる業種に及びます。
コロナ下では、生鮮食品宅配のオイシックス・ラ・大地も躍進しました。同社は約4千の生産者と契約し、有機野菜や調味料をレシピと組み合わせ1週間分の食材を届ける月額サービスを手がけています。6月末の会員数は25万2300人と1年前から14%増加しました。
ICT総研(東京・千代田)は、国内市場は23年に1兆4370億円と19年比で26%増になると予測しています。
一方、初期費用の安さでサービスに飛びついた消費者が飽きてしまい解約する「サブスク疲れ」という言葉も現れました。日本サブスクリプションビジネス振興会によると、国内で参入した企業の3割は1年以内に撤退しているといいます。
資生堂は6月末、月額約1万円のスキンケアの配合サービス「オプチューン」をひっそりと終了。自宅に5種類の化粧液のもとと専用マシンが届き、スマホアプリで肌を撮影すると、8万通りの配合パターンから最適な化粧品を提供してくれる仕組みで、同社初のサブスクで、個別ニーズをくむ「スモールマス」としても注目されましたが、本格開始からわずか1年での幕切れとなりました。
また、焼き肉チェーン「牛角」を運営するレインズインターナショナルは一部で1万1000円で1カ月食べ放題などができるサービスを19年秋に始め、20年1月に終了。紳士服のAOKIも18年、レンタルスーツから撤退しています。
注目が集まっているサブスクリプションモデルですが、成功するためには、
① データを使った個別顧客満足度の向上、そのためのデータサイエンティストなどの技術者の獲得と育成、
② 米アマゾン・ドット・コムの「アマゾンプライム」や米アップルのように、いろいろなサービスを組合わせて『お得感』を提供することが重要といえます。