体験消費時代のマーケティングヒント

2020-12-19 16:21:00
カルディコーヒーファームに学ぶ、生活者視点マーケティング。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

商品を分類する場合、例えば食品ならば、特売品と定番品、生鮮と総菜などいろいろな分け方があります。その一方で、必需品としてその地域の食生活を支えるために品揃えしなければいけないものと、心を豊かにする商品群に大きく分けることができます。

 

心を豊かにする商品といっても、一般的な定義はありません。生産者や開発者がこだわりをもってつくったものや社会貢献につながるものなど、単に高品質というだけでなく、買うことや食べる事を通して、お客さまが精神的な充足感を得られることが要件といえます。

 

◆心を豊かにする商品で女性の心を捉えるカルディコーヒーファーム

さて、世界中の珍しい商品やコーヒー、お菓子などが並ぶお店で女性に大人気のカルディコーヒーヒーファーム通称「カルディ」は、市場のような内装は活気があり、大人から子供までワクワクするような空間が広がっています。

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見たこともないような珍しい商品はもちろん、季節によって様々な商品が入れ変わるので常に新しい発見ができるのも魅力です。最近ではオンラインストアで購入できるので、もっと手軽にカルディの商品が手に入ります!

 

カルディは1986年、東京の下高井戸に1号店がオープン。その特徴的な看板は誰しも1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

 カルディコーヒーファームに学ぶ、生活者視点マーケティング。

2012年に300店舗、20198月には448店舗を展開する全国チェーンに。2018年には台湾の新北市林口に出店し、初の海外進出をはたしています。20188月期の売上は945億円で1000億に迫る勢いです。

 

店内に足を踏み入れると、見るだけでも楽しくなる、良質な世界の食材が所狭しとならんでいます。

その中でまず目をひくのがコーヒー豆の種類の多さ。こだわりのオリジナルコーヒー豆、世界に名高いブランド紅茶、各国の珍しい食材、チーズなどのほか、全国各地から選りすぐった和食材も豊富に取り揃えています。

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また、自社開発商品にも力を注いでおり、お客様や店舗スタッフからの声を取り入れた商品も数多く開発しています。

 

ワインの種類も幅広く、デイリーワインから高額なワイン、そしてぶどうの栽培から自社醸造まで手掛けたオリジナル国産ワインまで、お客様のニーズに幅広く応えています。

 

さらには店頭では、カルディコーヒーファームならではのコーヒーサービスでオリジナルブレンド≪マイルドカルディ≫を提供しながら、いつもスタッフが明るい笑顔で迎えています。

 

人気商品を見ていくと、燻製カズノコとチーズのコラボが絶妙な人気お菓子「カズチー」や高純度チョコレートをたっぷり混ぜ込んだで作ったチョコケーキ「ラグノオ ポロショコラ」、パンダパッケージが可愛いカルディオリジナルの「パンダ杏仁豆腐 ミニ」、ラム酒とバニラが香る上品な洋菓子「セリ・エキスキーズ カヌレ」、ゴマの香りが芳ばしい旨味溢れるドレッシング「サラダの旨たれ」ほんのりと甘い醤油に国産のあおさを漬け込んで作った「磯が香るあおさの醤油」などなど、

どれもが、生活必需品とは縁遠い「不要不急の商品」といえます。

 

コロナ禍のもと、消費不振が叫ばれていますが、カルディコーヒーファームが提供する、日常生活を潤してくれる心を豊かにする商品は、SNSでの口コミも手伝ってますます人気になっています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で不安な時代、小さな会社こそ、「心を豊かにする商品」でお客さまに精神的満足を提供しましょう。

2020-12-19 15:12:00
ニトリホールディングスに学ぶ、生活者視点マーケティング。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

コロナ禍の中で消費減速が続く中、ニトリホールディングスの業績は絶好調のようです。2020311月期の連結営業利益は前年同期比約4割増の1200億円弱、売上高は5400億円程度と1割強増収、既存店売上高は11%増えたようです。(2020129日日本経済新聞朝刊)。

 

背景には、新型コロナウイルスの感染長期化を受けて巣ごもり需要の裾野が拡大したことがありますが、同社ならではの、顧客ニーズの変化にきめ細かく対応する生活者視点マーケティングの成果が現れています。

 

例えば、春先は在宅勤務向けに横長でやや大型の机が売れていましたが、直近では、家の空きスペースを活用できる小型の机が好調です。また、長時間同じ体勢で座ってゲームをしていても疲れにくい椅子「ゲーミングチェア」の販売も伸びています。

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一方で、忘年会や会食が減ったことで自宅での食事が定着し、皿やグラスなど食器や調理器具を新調する消費者が増えています。また、自宅に自分好みのワークスペースを作ったり、収納用具を充実させたりする消費者も増加しています。

 

さらに、おうち時間を心地よく過ごしたいと考える消費者の気持ちに合わせて、上質な革使ったソファを投入するなど、コロナ下で変化する消費トレンドを先取りした商品展開に力を入れ、リピーター獲得につなげています。ベトナムの自社工場では曲線を使ってデザイン性を高めた家具も開発しています。

 

冬場になってからは、発熱素材を使った寝具や部屋着「Nウォーム」シリーズも伸びており、自社ネット通販も56割増えているようです。

 

今回の新型コロナウイルスのような外的なショックが起きた時に企業の真の競争力が分かります。それは顧客に対してどのように独自の価値を提供できているのかということです。ニトリホールディングスも場合、製造・小売りに加えて物流も自社で手掛けており、新型コロナ下での電子商取引(EC)で強みを発揮しています。海外での商品開発力も温めて、長い時間をかけて水面下で培った競争力が、ニトリホールディングスの好業績を支えているといえます。

2020-12-17 10:45:00
「非効率にいこう。」

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

本日20201217日付の日本経済新聞を見ていると「非効率にいこう。」というキャッチフレーズの全面広告が目に飛び込んできました。

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どこの会社の広告だろう?と興味を持ってみると「PLAID」という社名が記されています。

 

そのまま、ボディコピーを読み進めていくと、この会社、本日東京マザーズ市場に上場するらしく、その記念広告であることがわかりました。

 

同社は、「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げ、データやテクノロジーで人が本来持っている直感や創造力を引き出せる環境を実現し、その先に、あらゆる人がより良い体験を享受できる社会を目指している、今注目のテクノロジーの会社です。

 

テクノロジーといえば効率を追求するのが当たり前の世界ですが、今回なぜ「非効率でいこう。」という真逆のメッセージを発信しているのでしょうか。

 

いかにそのメッセージの一部を抜粋させていただきました。

 

「たしかに効率化は大切です。

ただそれだけでは、まだスタートラインに立っただけかもしれません。

なぜなら、テクノロジーを効率化のためだけに使って

数字やロジックを突き詰めていくと、

どこも同じような結果になってしまうから。

 

そういったコモディティ化を、いかに超えていくのか。

 

私たちPLAIDの答えは、人です。

人が人を思いやる想像力や、心を動かす情熱。

そんな「効率」が軽視してきた、「非効率」な人の創造性こそが、

これからの世界で、唯一無二の価値を生み出すと信じています。

 

だから私たちは、効率という枠を超えて、

「非効率」と切り捨てられてしまっている

人の創造性を引き出すテクノロジーを提供したい。

 

どんなに時代が変わっても、やっぱり人が最強。

私たちはテクノロジーとデータで人の価値を高めることで、

人や社会のよろこびを増やすお手伝いをしたいと思っています」

 

このところ、デジタルシフトやDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、テクノロジーはあくまでも人の創造性を引き出すための道具であることを忘れてはいけませんね。

 

久しぶりに、すてきなメッセージの広告に出会いました。これからもPLAIDという会社に注目していきたいと思います。

2020-12-10 10:45:00
小さな会社こそ強みを活かせる「マイクロD2C」とは?

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

前回と前々回は、今注目されているD2CDirest to Consumer)ビジネスについてお話ししてきました。

 

ニューノーマル時代に注目されている「D2Cビジネスモデル」とは?http://womanmarketing.net/info/3652998

 

「サスティナブル×D2C× サブスク」モデルで急成長中のブランド「パブリック・グッズ(PUBRIC GOODS)とは?http://womanmarketing.net/info/3653445

 

D2CDirest to Consumer)とは

改めておさらいしておくと、D2CDirest to Consumer)とは、小売店などの仲介業者を介せず、直接商品を顧客に販売する新たなブランドの販売手法のことでした。

 

基本的にリアル店舗をもたず、ネット通販を中心に展開することで、店舗運営のコストを圧縮し、浮いた費用を商品開発やマーケティングに投資します。

 

その上で、デジタル上で顧客とつながり、意見や要望を吸い上げて商品を改善・進化させていくのが大きな強みとなるビジネスです。

 

◆ニッチ分なニーズを捉えて勝負する「マイクロD2C

今回は、2021年のトレンドとして注目されている「マイクロD2C」についてご紹介させていただきます。

 

これまでもお話ししてきたように、D2Cには、小さな会社ならではの機動性を活かし、多様化する消費者のニッチなニーズを捉えて成功しているブランドが多いのが特徴です。

 

例えば、3万通りの組合せから一人ひとりのお客さまに適したシャンプーとコンディショナーをお届けする「MEDULLA(メデュラ)」、胸の大きい女性向けアパレル「overE」、お客さまの生活習慣に合わせ25種類のレシピの中から適したスムージーを展開する「Green spoon」など、大企業では事業規模の面からも参入できないような未開拓の市場でお客さまの支持を得ているブランドが多く生まれています。

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◆マイクロD2Cを支援するプラットフォームが充実

ところで、D2Cビジネスが注目されることで、このところD2Cのものづくりや物流、ECシステムなどを支援するプラットフォームが出そろってきました。これにより、小さな会社やでも個人でも、その強みを活かした事業展開が可能になります。2021年は、まさに、小さなD2Cが花開く「マイクロD2C」元年になることが予測されます。

 

例えば、アパレル製造では、「シタテル」という会社が、デザイナー、生地メーカー、工場など洋服づくりに携わる約850のパートナーをネットワーク化。ブランドオーナーは、シタテルのスタッフとオンライン上で相談しながら素材選びや洋服のデザインをすることができます。

 

また、化粧品では、「サティス製薬」がD2Cを支援 。発注ミニマムロットを300個にまで減らすことで、在庫リスクが軽減でき、参入しやすくなりました。

 

物流面では、「オープンロジ」が、固定費なしで商品1点から使える従量課金制の物流サービスを展開。入庫から在庫管理まですべてオンライン上で完結できます。

 

さらに、「BASE」などのECプラットフォームを利用すれば、誰でも無料で数分もあれば簡単に商品の販売をスタートすることが可能です。BASEは、サイトデザインの自由度が高く、ブランドの世界観に合わせたネット通販が可能になります。また、決済面をはじめとした運営サポートが充実しているので、初めての方にはおすすめのプラットフォームです。

 

誰もが簡単に参入できるようになったD2Cビジネス。2021年はあなたの企業でもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

2020-12-09 15:28:00
「サスティナブル×D2C× サブスク」モデルで急成長中のブランド「パブリック・グッズ(PUBRIC GOODS)とは?

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

前回は、ニューノーマル時代になぜD2Cビジネスモデルが注目されているのかについてお話しさせていただきました。http://womanmarketing.net/info/3652998

 

今回は、今アメリカで急成長中のD2Cブランド、「パブリック・グッズ(PUBRIC GOODS)の特徴についてご紹介させていただきます。

 

同社は、2016年、モーガン・ハーシュ(Morgan Hirsch)とマイク・ファーチャック(Michael Ferchak)が共同で創業。良質でエコ、ミニマルな商品を中間マージンを省いたD2CDirest to Consumer)で販売するビジネスモデルを強みとしています。当初は、ハウスホールド(家庭用品)とパーソナルケア(個人のグルーミング用品)からスタートしましたが、2017年には、クラウドファンディングで約7000万円を調達。その後2019年にも、クラウドファンディングで約4300万円調達し業容を拡大。現在は、食品カテゴリーを追加し品揃えを充実させています。

 

◆パブリック・グッズ(PUBRIC GOODS)6つの特徴

  会員制のサブスクリプションモデル

年会費59ドル(約6100円)を支払った会員だけが商品を購入できるサブスクリプション(定額制)メンバーシップサービスを採用。

 

  リーズナブルな価格でサスティナブル商品を販売

安定的な利益を見込めるサブスクスタイルにすることで、エコ商品は高いというイメージに反し、リーズナブルな価格でサスティナブルな生活用品を販売。

 

  Z世代が支持

サスティナブルで、ノントキシック(毒性のない)、オーガニックな商品を好むZ世代(1996年から2010年までに生まれた世代)が支持。

 

  コロナ禍のもとで成長

ニューヨーカーは、物を大量に消費するより、SDGs(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)に沿ったサスティナブルな暮らしにシフト。202月以降、会員数は2倍に、売り上げは5倍に急増。

 

  250種類の豊富な品揃えとリーズナブルな価格

パラベンや硫酸塩などの有害な化学物質を含まないヘア&ボディー用品をはじめ、詰め替え用のレフィルも豊富に用意。また、再生紙やバンブーを使用したツリーフリー(木から採取されるのではない)紙でできたトイレットペーパーやキッチンペーパー、生理用ナプキン。食品はオーガニック&フェアトレードが基本です。

 

  インテリアの邪魔にならないミニマルなデザイン

写真のようなシンプルなボトル類のデザイン。素材には、環境への悪影響を低減するため、プラスチックの使用は可能な限り避け、サトウキビベースのバイオプラスチックに頼っているものもある。

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サステイナブルな商品をリーズナブルな価格で提供する同社の公式サイトでは、「地球を守るためにスーパーヒーローになる必要はない。私たちの小さな選択が大きなインパクトをもたらす」「私たちが直面している問題は、使うことを選んだ商品による結果だ」などのメッセージを発信。「サスティナブル」「健康」「美しい」の3つをブランドプロミスとして掲げています。

 

今年からは、全米に展開する大手ドラッグストチェーン「CVS」と提携し、一部店舗でテスト販売も開始。更なる成長を目指しています。

 

地球環境問題に消費者の関心が高まる中、サスティナブルなライフスタイルを提供する「パブリック・グッズ(PUBRIC GOODS)」からは、社会的意義に配慮したこれからのブランドのあり方が学べます。