体験消費時代のマーケティングヒント

2020-12-09 12:28:00
ニューノーマル時代に注目されている「D2Cビジネスモデル」とは?

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

このところ日本でも注目されているD2CDirest to Consumer)ビジネスをご存知でしょうか。

 

D2CDirest to Consumer)とは、自社で企画・製造した商品を自社サイトで直接販売するビジネスモデルのことです。

 

D2CDirest to Consumer)ビジネスの特徴

2000年代後半から米国を中心に、スタートアップ企業が展開するビジネスモデルとして勃興。中間流通をなくしてコストを抑えるのは従来のメーカー直販と同じですが、SNSを通じて消費者と交流し、ともにブランドを作り上げているのが特徴です。最近では、ネット販売で一定の支持を得て直営店を出すケースも増えてきています。

 

また、D2Cのビジネスモデルは、世界観とストーリーテリングを武器とし、新しい競争優位のカタチを構築しています。つまり、これまでの伝統的なブランドのように、機能やモノのよさだけを売りにしないことも強みの一つです。

 

また、自社サイトにファンが集まる仕掛けを作り、顧客に商品企画やマーケティングに参加してもらい、商品としての「モノ」とブランドをともに育てる体験の「コト」の両方を売りながら、顧客と長く付き合うのが特徴といえます。

 

◆日本で今D2Cビジネスが注目されている背景

新型コロナウイルス感染症拡大によって生活者の意識や行動が一変し、企業のマーケティング活動は変革を余儀なくされています。また、移動や接触が制限される「新しい生活様式」の社会では、デジタル化やEC化への早急な取り組みが生き残りの大きな鍵となっています。

 

さらに、人口減少社会の中では、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上に焦点を絞り、長期的な関係性の構築に向けて、顧客基点の商品体験の創出や継続的な価値提供が重要な戦略になっています。

 

そのような背景の中で、「顧客基点」を重視するD2Cビジネスモデルを積極的に取り入れていくことが、アフターコロナ時代の生存戦略として非常に重要になってきているわけです。

 

◆顧客基点(生活者視点)を最も重視するD2CDirest to Consumer

D2Cモデルは、商品開発、売場設計、プライシング、コミュニケーションなど事業のタッチポイントすべてを顧客体験を軸とした「顧客基点」で見直し、従来モデルとは根本的に異なった事業や組織として設計されています。

 

また、顧客基点を重視するD2Cは直販モデルを採用することで、サプライチェーンに関わる中間コストを削減。従来発生していた廃棄コストや中間マージンなどを削減しやすくなり、顧客が欲しい製品を適正価格で提供できるようになります。

 

また、顧客像や課題を事前に把握できているので、過剰な宣伝をしなくても顧客獲得の効率は向上しやすく、広告費を削減できる可能性があります。さらに、顧客の意見を傾聴することで、どんな商品を作ればいいのか、どの程度の需要があるのかが予測しやすくなるというメリットもあります。

 

このように、ロイヤルティーの高い顧客と共にオンリーワンのブランドを作り上げていくことがD2Cモデルの本質であり、顧客体験をとことん磨いていく思想とそこに投資するための原価構造の変化こそが、D2CECマーケティング戦略のポイントといえます。

 

顧客とつながり続けることを最も重視するD2Cでは、SNSで顧客とつながり続けて、コミュニケーションを最適化していくことこそが重要な戦略になります。顧客とつながる手段は多数ありますが、中でもSNSは企業と生活者がダイレクトにつながり続けることが容易で、顧客にとっても最も身近で手軽なツールといえます。

 

従来、接客などのオフラインで提供していた情報やその質も、ライブ配信やチャットの活用などで、オンラインで購入検討する人にとっても有益な情報になるように、コンテンツ化することが求められています。今後は、SNSで、共感や応援で自ら能動的につながってくれている顧客に情報を直接配信できる価値はこれまで以上に高まることが予測されます。

 

従来型EC事業者であってもD2C的顧客基点マーケティングのエッセンスを積極的に取り入れていくことは、顧客の商品やブランドへのさらなる愛着醸成につながり、結果的にLTVが向上していきます。

 

マス市場ではなく、ニッチな分野でオンリーワンを目指すD2Cビジネスモデル。あなたの会社でも新規事業として考えてみてはいかがでしょうか。