体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
日本も欧米諸国も、大量生産、大量消費の物流経済は何年も前に終わって、現在は価値を重視する価値経済になりました。
商品やサービスも人間の五感に訴え、ドキドキ・ワクワクを提供する五感商品が主役です。
企業活動の基軸がモノの提供から、体験や経験といった使用価値(コト)の創出と提案になったのです。
安いから売れる、ではなく、気持ち良いから、楽しいから売れる、という新しいモノサシが生まれました。
五感商品は人間の感覚に訴えかけます。デザインが良い、肌触りが素晴らしい、美味しい、良い香り、心地よい音・・・。さらに健康によい、環境にやさしいという、物量経済の工業製品ではなおざりにされてきた評価軸が加わってきました。
人と人の絆を育んでくれる、というつながり価値も大切になってきています。
「女性マーケティングラボ」がフォーカスしているのは、あくまでも「人間そのもの」や「人と人の絆」です。消費者、特に女性は客観的、「論理的な情報ではなく、あくまでも好きや嫌いといった主観的な感情で動かされています。
これからの時代は、近代科学が切り捨ててきた人間的アプローチこそが、顧客の心を動かすうえで重要になってきます。
「女性マーケティング」では、現象的なアプローチ、すなわち「人の思い」や「印象」「感情」「五感」といったモヤモヤしたものを対象にしているのでわかりづらい点もあるかもしれませんが、今やすっきりとしたマーケティング理論で人は動きません。好き嫌いなどの極めて人間的な要素で動いていることを改めて認識することが大切です。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
最近は大切な打ち合わせもメールで済ませてしまうことが多くなりましたが、本当にそれで良いのかなと思うことが度々あります。
ビジネスは、あなたの会社と B社との法人取引が基本です。ただ、実際は会社対会社といった抽象的な関係でなく、購買窓口のあなたと営業マンのBさんという顔の見える人間関係が決め手になると思うのです。二人のウマが合う、合わないという人間ならではのモヤモヤ・ドロドロがビジネスの成否を決めているのではないでしょうか。
つまり、相手との絆をいかに太く、強固にするかが、営業という仕事であれば成果を出すポイントになります。だからこそ、たまには電話する、実際に会って打ち合わせするといった人間味を感じる時間をあえて作ることがますます重要になっていくと思います。
社内でも同じことが言えると思います。「忘年会スルー」や「新年会スルー」といった言葉も聞かれますが、たまには同僚や上司とはランチをしたり、お茶したりして井戸端会議をすることが、イノベーションを生み出すきっかけになると思います。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
日本フランチャイズチェーン協会の調べによると、コンビニ大手7社の2019年12月末の店舗数は5万5620店で、前年同期に比べ、123店減少しました。
これまで新規出店で成長してきたコンビニのビジネスモデルは転機に来ています。人手不足や人件費の高騰により、フランチャイズビジネスの経営環境は悪化しており、今後も閉鎖する店舗が増えていくことが予測されます。
今後は、既存店の客数をどうやって増やしていくかの競争になると思いますが、手ごわい競争相手が「ドラッグストア」です。
もともとは、薬や化粧品が中心だったドラッグストアも、最近では生鮮食品やお弁当やお惣菜なども品揃えするようになりました。また24時間営業する店も多く、働く女性にとっての強い味方になっています。
利便性を追求して、売れ筋ばかりを並べているコンビニは確かに便利で合理的な一面、ドラッグストアのような自分の好きな化粧品やスナック類を見つける楽しみ、新商品に出会う楽しみ、お得な商品をゲットするうれしさは提供できません。
つまり、コンビニが既存店の売上を上げていくためには、これまで以上に女性をワクワク・ドキドキさせるオリジナルスイーツや総菜の開発、お店独自の品揃えのオリジナリティなど、これまでになかった「ワクワク・ドキドキ」価値の創造が決め手になります。
みなさんこんにちは。女性を笑顔にするマーケティング研究会の和田康彦です。
2019年9月29日、米フォーエバー21(FOREVER21)の経営破綻が伝えられました。9月25日には、日本からの撤退も発表。10月末をもって国内14店舗とオンラインストアはすべて閉鎖される予定です。
フォーエバー21は、韓国からアメリカに移住したドン・チャンとジン・チャン夫妻が1984年ロサンゼルスで創業。市場トレンドを取り入れたデザインをトップスで5~10ドルという破格の値段で販売したところ大ヒット。その後、ウイメンズアパレルからメンズ、キッズ、アクセサリーへと取扱アイテムを拡大し、最盛期には、57ヵ国815店舗まで成長し、ファストファッション市場を牽引する存在になりました。
日本には2009年、原宿に進出。私もオープン当初、若者でごった返す原宿店を訪れましたが、価格の安さと日本では見られないデザインの奇抜さに大変驚きました。そしてその原宿店も2017年には閉鎖。業績悪化の兆しはすでに数年前から表れていたといえます。
フォーエバー21破綻の要因は「消費者や市場の変化に対応できなかった」ことに尽きると思いますが、いまアメリカで起きている具体的な変化について詳しくみていきましょう。
●米国では大型SC(ショッピングセンター)が苦境に立たされている
米国では1980年代からSCの大量出店に伴い、衣料品や生活用品のチェーン店が増加。フォーエバー21もSCへの出店拡大で店舗網を拡大して成長してきました。店舗面積も平均3500㎡と巨大なスペースに大量の商品を陳列して売上を拡大してきたのです。しかしながら、米国の小売業はアマゾンドットコムなどの台頭で主戦場はリアル店舗からネットへとシフト。大型SCへの集客力は徐々に低下して、フォーエバー21の他、ギャップやH&Mなどの低価格衣料品チェーンの閉鎖が相次いでいます。ギャップは、今後2年間で全米230店を閉鎖することを発表。2017年に経営破綻した玩具大手の「トイザラス」もまだ記憶に新しいところです。また、SCの中核テナントだった大手百貨店も大量閉店に追い込まれています。2019年度にはメーシーズが9店舗、JCペニーは18のフルラインデパートメントと9つのホームファニチャーストアを合わせた27店舗、シアーズは70店舗、ノードストロームも3店舗閉鎖を計画しています。
この結果、米国の大型SCの総面積は2018年1~3月期をピークに減少。クレディスイスでは、今後全米SCの20~30%が閉鎖に追い込まれる可能性があると予測しています。また米コアサイトリサーチの調べでは、2018年の米国小売業の閉店数約5500店に対して、2019年1~9月はすでに8500店を超えており、同時期の閉店数8567店から開店数3486店を引いた純減数は5081店で、2年連続の純減に。2017年~2019年3年間で米国の小売店は約1万店も減少することが報告されています。
●猛威を振るう「アマゾンエフェクト」
1994年ジェフ・べゾスが創業したアマゾンのコンセプトは「地球上で最も豊富な品揃え」。取扱アイテムを書籍から家電、日用品、食品、ファッションへと拡大し今や数億種類以上の品揃えで他社を圧倒しています。「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」を理念に、スピード重視の配送サービスやプライム会員といったこれまでになかった顧客体験を創造することで、2,018年度のシステム部門の売上を除いた全米売上は1413億ドル。、10年間で14倍の成長を果しています。増収額も加速しており、2016年度は160億ドル、17年度は263億ドル、18年度は352億ドルにのぼっています。この結果、アマゾンのアメリカでのネット通販シェアは4割超といわれており、アマゾンが他の小売業に及ぼす影響が年々拡大しています。2011年には書店大手の「ボーダズ」、2015年には家電販売の「ラジオシャック」、2017年には玩具大手の「トイザラス」そして先日はファストファッションの「フォーエバー21」がアマゾンエフェクトで経営破綻に追いこまれています。USB証券では、2018年~26年の間に約7万5千店が閉鎖し、そのうち衣料・アクセサリー店は約2万店と最大になると予測しています。アマゾンでは、プライム会員向け無料試着サービス「プライムワードローブ」をスタート(不要なものは返品OK 返品送料無料)。ファッション分野を強化に向けた取り組みが進んでいます。
●国内SCも淘汰の時代へ
総務省の経済センサスによると、2016年の日本の小売業は10年前に比べて約2割減少しており、国内でも今後小売業の淘汰が始まっていくことが予測されます。日本のEC化率は6.22%(2018年)と米国の10%超に比べるとまだ低いものの、今後は伸びていくことが予測されます。つまり、アマゾンエフェクトの波はすぐそこまで来ているといっても過言ではありません。そんな目でSCを歩いてみると、このところ空き店舗が目立ってきていることに気づきます。SC向けシステム会社のリゾームによると、1500㎡以上のSCに入居する総テナント数は2018年3月時点で13万8579店。この1年間で約9200店舗も減少しています。そのうち半数近くの4200店舗はファッション・雑貨系のテナントで、フォーエバー21の破綻は他人事でないことがわかります。
●生き残りをかけたSC間の競争がし烈に
日本ショッピングセンター協会によると、2018年末時点の総SC数は3220で統計でみると、増加傾向にあります。ただ既存店SCの売上高は前年比0.6%増でわずかに前年を上回っている状況といえます。一方で、国内2018年のEC市場規模は約18.0兆円で前年の16.5兆円から8.96%拡大。ECがリアル店舗に及ぼす影響は年々大きくなっていくことは間違いありません。このところ、地方百貨店のみならず、地方の駅前一等地にあるようなSCも閉鎖が相次いでいます。今後は、生き残りをかけた競争がさらにし烈になっていくことが予想されます。
●素晴らしい「顧客体験」をどのように提供するか
ある調査によると、アパレル企業の場合、店舗だけで購入する顧客は70%、ECだけで購入する顧客は20%、店舗とEC両方で購入する顧客は10%という結果が出ています。ただ、店舗だけで購入した顧客の購入額を100とした場合、ECだけの顧客の購入額は67、店舗とEC両方で購入した顧客の購入額は220で、店舗とEC両方を利用する顧客の購入額が驚くほど高いことがわかります。つまり、店舗とEC両方を利用する顧客を増やしていくことが、売上を上げる重要なポイントといえるのです。ECで注文した商品を店舗で受け取ってもらう。ECで見た商品を店に取り寄せて試着してもらうといった「クッリク&コレクト」で店舗への集客力を増やし、オンラインとオフラインの相乗効果をあげていくことが小売業の生き残りの鍵といえます。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
国立社会保障・人口問題研究所は、4月19日、2019(平成31)年推計の「日本の世帯数の将来推計 (都道府県別推計)」を公表しました。 この推計は5年ごとにまとめており、都道府県別に、5つの家族類型(単独世帯、夫婦のみの世帯、 夫婦と子から成る世帯、ひとり親と子から成る世帯、その他の一般世帯)ごとにみた将来の世帯数を推計しています。今回は2015(平成27)年の国勢調査を基に、2015~40年の25年間についての将来推計を行っています。
調査結果によると、2040年に世帯主が65歳以上の世帯は全体の44%を占め、75歳以上の世帯は1217万世帯で全体の4分の1を占めることがわかります。また、一人暮らしは1994万人で全世帯の4割を超えることになります。人口は2008年を境に減少傾向にありますが、世帯数も2025年の5411万世帯を境に減少することがわかります。これまでの日本は、「夫婦と子供」という3~4人程度の核家族をモデル家族としてとらえられてきました。ただ核家族も1980年代には40%を越えていたものの、2000年には31.9%、2040年には23.3%に減少します。
これに代わって存在感を高めているのが高齢者の「おひとりさま」です。企業は、このような世帯構成の変化に合わせた事業の転換が必要になってきています。例えば、セコムはスマートフォンで主に単身高齢者の体調を見守るサービスをスタートさせています。毎日指定した時間に画面操作に反応がなければ家族などに伝え、必要に応じてセコムの警備員が駆け付けるというサービスです。またコンビニ大手のファミリーマートは、小容量のお惣菜シリーズ「お母さん食堂」の2019年2月期の売上が前期より2割増と、単身向け商品が好調に推移しています。
以下に、今回の調査推計結果のポイントをまとめておきます。
【推計結果のポイント】
1 世帯数は2035年までに46都道府県で減少を開始
・世帯数が減少する都道府県数は今後次第に増え、2035年までには沖縄県を除く46都道府県 で世帯数が減少する。
・2040年の世帯数は、42道府県で2015年よりも少なくなる。
2 平均世帯人員はすべての都道府県で減少
・平均世帯人員は2015年から2040年には、すべての都道府県で減少する。
・2015年に平均世帯人員が1.99人となった東京都に続き、2040年までに北海道や高知県で平均世帯人員が2人を下回る。
3 2025年にはすべての都道府県で単独世帯が最多に
・2015年に41都道府県で最大の割合を占めていた単独世帯は、2025年にはすべての都道府県で最大の割合を占めるようになる。
4 65歳以上の世帯主の割合は、2040年には45道府県で40%以上に
・65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2030年にはすべての都道府県で30%以上となり、2040年には45道府県で40%を超える。
・75歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2040年には東京都を除く46道府県で20%以 上となる。
5 世帯主65歳以上の世帯における単独世帯の割合は、2040年には全都道府県で30%以上に
・世帯主65歳以上の世帯に占める単独世帯の割合は、2040年にはすべての都道府県で30%以上となり、15都道府県では40%を超える。
・65歳以上人口に占める単独世帯主の割合は、すべての都道府県で上昇し、特に東京都では 2040年に29.2%に達する。