体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんここんにちは。和田康彦です。
以前のブログでもご紹介したが、6月1日に阪神百貨店梅田本店建て替え第一期棟がオープンした。リニューアルの目玉は何といっても食フロアの充実だ。その核となっているのが「パンマルシェ」と呼ばれるパン売り場の品揃え。毎日約15の食パンが登場する食パンのセレクトショップや週替わりで7ブランドが登場するパンイベントなど、珍しくておいしいパンが主役になっている。
食パンといえばこのところ高級な生食パンがブームになっている。その火付け役のひとつが「乃が美(のがみ)」の食パンだ。2013年に大阪上本町に総本店をオープン。それ以来、行列ができるほどの大人気店になり、2016年には「パン・オブ・ザ・イヤー 食パン部門」(パンスタ主催)で金賞を受賞。現在、全国各地に93店舗展開し、2018年には47都道府県すべてに出店を予定している。
開発までに2年かかったといわれるこだわりの素材と製法による耳まで柔らかい食感は、一度食べると思わずファンになってしまう。とわいえ、1芹432円(税込)、2芹864円(税込)という価格は毎日食べるには少々高い。いわゆるプチ贅沢な食パンとして月に2~3度買い求める客が多いのではないかと思われる。私もそんな消費者の一人だ。
高級生食パンブームを追い風に、飲食店を運営するオーネスティグループは6月30日、新食パン専門店「考えた人すごいわ」を東京都清瀬市にオープンする。厳選素材と独自製法、コンベクションオーブンにこだわり、トーストせずそのまま食べても美味しい口どけと味に仕上げた。商品は、プレーンの“魂仕込み(こんじこみ)”(2斤サイズ864円/税込)、マスカットレーズン入りの“宝石箱”(同980円/税込)の2種類。「魂仕込み」は、厳選した小麦、国産バター、そして岩手県のだ塩などこだわりの素材を使って、きめ細かな口どけの良さを実現。「宝石箱」は、オーストラリアのサンマスカットレーズンをふんだんに使用。芳醇でフルーティーなレーズンにあわせて、岩手産のたのはた牛乳、国産のバターをセレクト。カットすると、宝石のように食パンの中からレーズンがキラキラと輝くそうだ。
「考えた人すごいわ」という店名は、食パンを食べた人に「これ考えた人すごいわ」と思ってもらえるような店づくりを目指したことが由来、というから開発者の自信が伺える。
焼き立てのパンには、私たちをしあわせな気分にする魔力のようなものが潜んでいる。たかが食パン、されど食パン。美味しい食パンで日本の朝が笑顔になると素敵だと思う。
みなさんここんにちは。和田康彦です。
ネット販売が売上を伸ばす中、ネットとリアルを融合させた次世代小売り事業モデル「ニューリテール」づくりの実験が始まっている。
提唱するのは、中国アリババ集団の馬雲会長。同社が運営する通販サイト「天猫(Tモール)」や電子決済アプリで集めたデータと店舗を結び付けて新しい買い物体験を提供する。
アパレル大手のストライプインターナショナルは、アリババ集団と連携してこの10月にも中国国内に60㎡のスマートストアを開設する。
同社の主力ブランド「アースミュージック&エコロジー」の新しい店舗では、まず来店者に会員登録してもらいデータベース化する。その上でアリババTモールでの購買履歴データとマッチングさせ一人一人の購買特性を販売に活かしていく。
また店内では、来店者が手に取ったことを感知するセンサー付きのスマートハンガーを採用。個別商品に対する興味関心の高さを測定することで品揃えの制度を向上させる。
さらに、来店者が手に取った商品の色違いを次々と映し出すスマートミラーを採用することで、顧客の色の好みにも対応していく。
店内には客層の年齢・性別等をデータ化する顔認識用のカメラも設置。店舗は顧客一人一人のデータを収集する場所へと変化する。つまりリテール(小売)とテクノロジーを組合せて総論的に売上を上げていく仕組みが「ニューリテール」の目指すところだ。
今やオンライン、オフラインを分けて考える時代は終わった。スマートフォンが普及し、「消費の形」が多様化する中、一人の顧客とあらゆる接点で関係性を築き、エンゲージメントを上げていくことが重要になっている。
特に少子高齢化、人口減少がトレンドとなる国内では、オンラインとオフラインを融合させて一人の顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を上げていくことが生き残りのカギとなる。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
6月1日に、大阪梅田の阪神百貨店が進めていた建て替え工事の第一期棟が完成し待望のオープンとなりました。私は、6月3日の日曜日、新しくなった阪神百貨店梅田本店を訪れました。
◆バブル崩壊以降衰退する百貨店業界
1957年に誕生した阪神百貨店梅田本店は人間でいえば61歳。高度経済成長期に生まれた百貨店は、モノを買う場としての役割はもちろん、まだまだ娯楽の少なかった消費者にとって一日を楽しく過ごせるレジャー施設としての役割も担っていました。屋上にはメリーゴーランドや観覧車などの遊具を備えたミニ遊園地があり休日には家族連れで大勢の人が押し寄せました。そして、屋上で遊んだ後は、最上階にある大食堂で家族各々が好きなものを注文する。私も小さいころ、年に数回電車やバスで1時間余りかけて行った百貨店で食べたお子様ランチの上にのった国旗やプリン、おもちゃのことが今でもうれしかった思い出として残っています。亡くなった父は決まってカキフライと日本酒を注文するのが定番でした。そして母はといえばとんかつが大好物だったようです。そして食事をした後は館内をウインドウショッピングしながらぶらり散策することが、当時の憧れのライフスタイルだったといえます。その後、百貨店業界は半歩先行くライフスタイル提案やファッショントレンドを発信する生活提案企業として私たちの生活を豊かにすることに大きく貢献してくれました。百貨店業界は1980年代後半のバブル時代は売上高が急増し、最盛期(1990年)には12兆円の市場規模まで拡大。ところが近年は5兆円台と約半分にまで落ち込んでいます。百貨店の売上が減少してきた理由は、バブル崩壊による景気の悪化や、少子高齢化による内需減少、などの日本のマクロ経済要因が根底にあります。加えて近年では、イオンモールなどの大型ショッピングセンターが増えている事やアウトレット業態の増加、ユニクロやZARAなどファストファッションの拡大、アマゾン・楽天などのネットショッピングが浸透してきた影響など、百貨店を取り巻く環境がここ20年くらいの間に大きく変化してきたことも大きな要因です。加えて、タンスやクローゼットの中には着なくなった服がびっしり。必要なものはほとんどが手に入り、欲しいものがなくなったという消費者心理の変化も見逃せません。
経済産業省「商業動態統計調査」より
◆阪神百貨店梅田本店リニューアルコンセプトは「毎日が幸せになる百貨店」
そんな中、阪神百貨店梅田本店が建て替え第一期棟オープンに際して打ち出したコンセプトは「毎日が幸せになる百貨店」です。これまで以上に品揃えの充実をはかることはもちろん、ただ商品を提供するだけでなく、さまざまなイベントを通じて、ライフスタイルの提案を行うことで、都心の一等地にふさわしい存在感と競争力のある商業施設を目指す。ということが主旨のようです。グループ会社の阪急百貨店がハイグレードなファッションを中心とした非日常の幸せを提案することで多くの支持を集めている中、創業時から食の阪神として愛されてきた阪神百貨店が改めて目指すのは、日常の幸せを提供するという原点回帰といえます。
◆SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために
これまでの阪神の庶民的なイメージを覆すようなおしゃれでセンスの良いタブロイドチラシには、以下のような宣誓文が掲載されています。
「~SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために~ 阪神百貨店が、梅田の地に本格的デパートメントストアとして誕生したのは1957年。高度経済成長期がはじまったばかりの頃で、百貨店はモノを売ればよかった時代が続いてきたのかもしれません。それから60年余。6月1日にオープンする阪神百貨店建て替え第一期棟は、開業当初とはまた違った、今の時代にあったスタイルが必要だと考えます。
暮らしのなかで、自分を磨いたり、高めたり、充実させることができるように。そのためには、ものごとの本質や真髄をしっかり見すえたり、感じたりできたらいいですね。「SENSE OF ESSENS」とは、そんな、チカラや感覚のこと。新しい阪神百貨店では、ただ商品を提供するだけでなく、訪れてくれた人が“自分充足”できるような百貨店を目指します。」
チラシのセンスといい、コピーの内容といい、とても素敵だと思いました。そうそう、ただ商品を提供するだけでなく、百貨店がお客さまひとりひとりの”自分充足”できる場になっていくことこそ、今の生活者の誰もが求めていることじゃないでしょうか。
◆「自己実現」のお手伝いをすることがこれからの流通業が目指すべき方向
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカの心理学者マズローは欲求の五段階説を唱えました。人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされるという考え方です。生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、飲みたい、寝たいなど)という「生理的欲求」が最もベースにあり、その上には、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたいという「安全の欲求」。さらに、集団に属したい、仲間が欲しいという「社会的欲求」。他者から認められたい、尊敬されたいという「尊厳の欲求」が続き、最も上層部には、自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという「自己実現の欲求」が位置付けられています。現代は、生理的欲求や安全欲求は満たされ、社会的欲求や尊厳欲求、自己実現欲求を満たしたいと考える生活者が増えてきている時代です。社会的欲求を満たすために地域や趣味のコミュニティに属する。尊厳の欲求を満たすために、SNSでたくさんの「いいね!」を獲得できるように投稿内容を工夫する。自己実現欲求を満たすために、手作りなどの作品をネット上の販売サイトに登録して自分の能力やスキルを世の中に認めてもらう。このように社会が成熟するにつれ、自分の能力を引き出し創造的な活動したいという自己実現欲求はますます高まってくることは確実で、流通業が生き残っていくためにも、お客さまひとりひとりの自己実現のお手伝いをしていくことがますます重要になってくると思われます。そんな意味で、今回阪神百貨店梅田本店が打ち出した「SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために」というキーワードはこれから10年20年先にも通用する普遍的なコンセプトだと思えるのです。
◆食関連売上を50%に
阪神百貨店は創業時から「食の阪神」と言われ、お客さまから親しまれてきた長い歴史があります。その結果、百貨店業界全体では全売り上げに対する食関連売上は約28%前後と言われている中、阪神の食関連売上比率は約45%と突出しています。今回のリニューアルでは、その食の強さにさらに磨きをかけて売上比率を50%まで上げていこうという大きな目標を掲げているようです。
◆高級ハンバーガーVS立ち食いスナックパーク。多様化する食ニーズに応える売り場づくり
今回の建て替え第一期棟オープンの目玉はやはり「食関連売場の充実」です。その一つが、ニューヨーク発の良質ハンバーガーレストラン「シェイクシャック」の関西初出店です。御堂筋に面した1階のサウステラスには、ガラス張りでオープンカフェも楽しめるおしゃれな空間が出現。新しもの好きな関西人にとっては一体何ができたんだろう?と興味津々でお店を覗き込んでいる光景が印象的でした。このレストラン、3年前に東京外苑前にオープン。こだわりの食材を供給することが難しく、3年かけてようやく準備が整い関西初出店にこぎつけたという鳴り物入りのハンバーガーレストランです。ニューヨークの高級老舗レストランが、地元の公園を活性化させようと、カートから始めたホットドックやハンバーガーが売りで、食材にはホルモン剤を使わない貴重なアンザス牛を使っているとのこと。ハンバーガーで710円(税抜)、ホットドッグで610円(税抜)という価格はちょっとした贅沢を味わうには手頃な価格といえそうです。また、ハンバーガーに合うビールまでわざわざ醸造所と協同開発するというこだわりにも共感できます。
さて、食の阪神といえば「いか焼き」で慣れ親しまれてきた立ち食いの聖地、「スナックパーク」です。その伝説のスナックパークが今回のリニューアルで3年ぶりにオープン。初日から多くのファンが押し寄せて賑わっています。「阪神名物 いか焼き」をはじめ、カドヤ食堂の中華そば、お好み焼き、焼きそばの「道頓堀赤鬼」、立ち食い寿司「魚がし日本一」、海老天丼「天ぷらの山」などの関西の名店が軒を連ね、昼時には500円前後でおなか一杯になるランチを目掛けて近隣のサラリーマンや買い物ついでの主婦で連日大繁盛のようです。また夜は午後10時まで開店、仕事帰りのサラリーマンや働く女性がちょっと一杯楽しめるごきげんな酒場として喜ばれています。
従来の阪神百貨店のイメージはどちらかといえば「庶民的」なイメージが強かったものの、今回のリニューアルではその良さを残しつつ、シェイクシャックのような良質な食を提供することで多様化する食ニーズを満たそういう考え方が読み取れます。昨今はひとりの生活者のなかにも、例えば節約とプチ贅沢といった2極化するニーズを持ち合わせる人が多くなっています。そんな複雑化するニーズに応えていくことでファンのすそ野を広げていくことは、阪神のみならず多くの流通業で今後重要なテーマになっていくでしょう。
◆おいしいパンとワインで毎日の幸せを応援する
ハンバーガーレストラン「シェイクシャック」と隣接する1階売り場には、パンとワインが集結する「デパイチ」と呼ばれる食品売り場が誕生。これまでは食品売場といえば「デパ地下」が常道でしたがその常識を覆して1階にも食品売り場を設けたのは、さすが食の阪神!と言わざるをえません。パンマルシェと呼ぶ売り場では、週替わりで約7ブランドが登場するパンイベントや毎日約15ブランドの食パンが登場する食パンのセレクトショップが登場。このところの高級食パンブームを背景に、話題になっているおいしいパンを食べてみたいという女性心を刺激します。またワイン売り場もさらに拡大。約400種類のワインの試飲が楽しめるというから驚きです。
おいしいパンやワインには幸せな気分にさせてくれる魔法が隠されているように思います。そんな魔法でこれから多くのお客さまを幸せにしていきたい。そんな阪神百貨店の考え方には大いに賛成です。
◆ワークショップやイベントで素敵なライフスタイルを提案
食以外にも今回のリニューアルでは新たな挑戦が随所でみられます。特に「いいな!」と思うのがワークショップやイベントの開催を通しての「コト消費」への対応です。ヨガ教室あり料理の実演あり、トークショーありと売場の随所で楽しくてためになるイベントが目白押しです。毎日どこかで面白いイベントが開かれている。そんなイメージが根付いていくことでお客さまは自然に阪神百貨店に足が向いていくのではないでしょうか。
◆愉しい、面白い、役に立つ
私はこれからの流通業が目指すべきキーワードは「愉しい、面白い、役に立つ」に凝縮されるのではないかと考えています。何も買いたいものがなくても訪れるだけで気持ちが愉快になり、面白いものや情報に出会える。そしてそこで過ごした時間がまさに自分を磨いて充実させるために役に立つ。そんなお店が増えてくれば、アマゾンをはじめとしたネット販売勢力にも十分立ち向かうことができ、共生していけるのではないでしょか。モノを販売することばかり考えるのでなく、お客さまを楽しませてお役に立つという「おもてなしする精神」こそがこれからの流通業の生き残りのキーワードです。
みなさんこんにちは。和田康彦です。
先日のブログでは、「現代女性が求めている8つの基本ニーズとは?」というタイトルで、女性に喜んでもらうために理解しておきたい8つのニーズについてお話ししました。
http://www.happymk.net/entry/2018/03/02/160319
その中の4つ目の基本ニーズは、「時間を上手に使って、自分の時間を大切にしたい。」でした。
このブログでも過去に何度も取り上げていますが、働く女性が増えるとともに、共働き女性も年々増加しています。2001年の共働き世帯は961万世帯でしたが、2016年には1129万世帯に増加。一方専業主婦世帯は、2001年の890万世帯から2016年には664万世帯まで減少しており、今後も共働き家庭の増加が予測されます。(総務省 平成28年版(2016年版)の「国民生活基礎調査の概況」より)
詳しくは下記の記事をご覧ください。
◆M字カーブ解消!増える働く女性のライフスタイルの変化に着目しよう!
http://www.happymk.net/entry/2018/02/26/142444
◆単身世帯と働く女性の増加に目を向けよう。
http://www.happymk.net/entry/2017/08/24/054957
このように、女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加によって、「時間を上手に使って、自分の時間を大切にしたい。」というニーズは年々大きくなっています。つまり、仕事と家事や育児との両立は、今や女性にとっての社会課題となっており、解決するための様々な商品やサービスが開発されて「時短マーケット」はこのところ拡大の勢いを見せています。
◆時短ニーズに応えることは、女性の社会課題を解決することにつながる!
http://www.happymk.net/entry/2017/08/03/233100
◆共働き世帯の増加が新たな時短市場を生み出す。
http://www.happymk.net/entry/2017/09/21/071827
☛ 2017年、レトルトカレーの売上がカレールーの売上を上回る。
調査会社インテージの調べによると、2017年度のカレールーの売上は前年比6.7%減の456億円、一方レトルトカレーの売上は前年比3.4%増の461億円で、初めてレトルトカレーの売上が、カレールーの売上を抜きました。つまり、手間ヒマかけて一から作るカレーよりも、温めるだけで短時間で簡単に食べられるレトルトカレーに支持が集まっているということです。先日このブログでも書いたように、食品専門スーパーの北野エースでは、日本全国の手に入りにくいレトルトカレーの品ぞろえに力を入れて、カレー部門の売上を伸ばしています。
◆北野エースが「カレーなる本棚」にかける思い。
http://www.happymk.net/entry/2018/02/26/131316
☛イオンも食材と調味料がセットになった「ミールキット」に注力。
この流れを受けて、小売りや食品各社は、短い時間で食事ができる加工食品の開発に力を入れています。大手スーパーのイオンでは、加工済みの野菜と精肉、調味料とレシピなどがセットになったチンジャオロースや肉野菜炒めなどの「ミールキット」をこの3月から順次投入。フライパンなどで加熱するだけで10分~20分くらいで食卓に出せるのが売りです。2019年2月までには約50品目に拡大し、先行しているオイシックスなど食品宅配会社に対抗します。
また、ハウス食品では、「スパイスフルカレー」などレトルトカレーの部門の商品ブランド数を充実させます。また、マルハニチロでは、冷凍食品で、食べ応えのあるハンバーグなどを充実し、お弁当以外の分野を強化します。
総務省の家計調査によると、2016年の二人以上世帯の食料品への支出は前年比実質0.2%減。その一方で時短につながる弁当・総菜などの「調理食品」の支出は3.8%増加しています。
☛調理時間の短縮を心がけている人は8割以上。
ベルメゾン生活スタイル研究所が、2016年9月に発表した調査結果を見ても、調理時間の短縮を心がけていると回答した人は、全体の82.0%(「心がけている」33.8%、「わりと心がけている」48.2%の合計)。年代別でみると、20代が86.6%(「心がけている」32.8%、「わりと心がけている」53.8%の合計)と短縮を心がけている人の割合が最も多く、次いで60代の85.3%(「心がけている」32.2%、「わりと心がけている」53.1%の合計)が続いており、調理や食品に対する時短ニーズは大きいことがわかります。
http://www.b-desse.jp/report/1526/
共働き世帯は専業主婦の世帯に比べて可処分所得が高く、年間消費支出金額が多いことも分かっています。公私ともに忙しい女性が増える中、働く母親たちは時間をおカネで買おうとしています。皆さんが扱っている商品やサービスでも働く女性の時短ニーズに応えることができないか、改めて考えてみましょう。
☛そのほかの時短マーケット関連記事はこちらからご覧ください。
◆スマホで変わる、買い物スタイル。これからはスマホでマクドナルド
http://www.happymk.net/entry/2018/02/23/162730
◆2018年、共働き主婦の気持ちを掴むキーワードは「ゆでおき」!?コンテンツ開発力が企業の命運を決める!
http://www.happymk.net/entry/2017/12/13/141735
◆15分で主菜と副菜の2品が作れる!『帰ってから作れる!2品で満足 すぐでき献立』とは?
http://www.happymk.net/entry/2017/07/12/181930
◆宝島社が、帰宅後、15分以内にできる!『太らない!ただいまご飯』を発売。時短需要は今後も広がっていく。
http://www.happymk.net/entry/2017/06/19/183100
◆わずか15分で野菜たっぷりの主菜が完成!働く女性に嬉しい「冷凍deli kit」を大地を守る会が発売。
http://www.happymk.net/?page=1497342367
◆中高年女性に人気の「カーブス」から学ぶ、女性マーケティングのヒント。
http://www.happymk.net/entry/2017/06/09/141854
みなさんこんにちは、和田康彦です。
総務省が1月下旬にまとめた最新の労働力調査によると、2017年は15~64歳で働く女性が2609万人、男性は3289万人。率(労働力率)にすると、男性(85.6%)とは開きはあるものの、女性は69.4%と過去最高を記録しました。景気回復が始まった12年から上昇が加速し、この5年間で女性の労働力率は6ポイント上昇したことになります。
これによって、女性が出産や育児によって職を離れ、30代を中心に働く人が減る「M字カーブ現象」が解消しつつあります。背景には働く意欲のある女性が増えたことや、子育て支援策が充実してきたことがありますが、一方では配偶者の給与が伸び悩んでいることも見逃せません。人手不足下の景気回復で、企業が女性の採用を増やしていますが、男女の賃金や非正規比率にはなお差があり、女性の処遇改善は今後も課題となりそうです。
(男女共同参画白書平成29年版より)
年代別で見ると、30~34歳の労働力率は30年前に5割程度でしたが、ここ数年で急上昇し、17年には75.2%になり、40~44歳の77.0%とほぼ同じ水準になっています。また、政府や企業が働き方改革を進め、子育て世代も働きやすくなってきたことを背景に、17年は25~34歳の女性正社員が前年比で4万人増え、非正規社員が3万人減少。17年10月から育児休業も最長2歳まで認められるようになったこともあり、パートでなく正社員として復職する姿も目立ってきました。
ただ、総務省の調査では、働きたいのに「出産・育児」を理由に求職を断念している人は89万人にのぼってお、り、今後も女性の労働力率は上昇していくと思われます。
このように、働く女性が増加することで、女性のライフスタイルが大きく変化しています。それに伴って仕事と家事や育児を効率的にこなしたいというニーズや、ストレスをこまめに解消してコンディションの良い状態で毎日を暮らしたいというニーズ、家の中では心地よく家族とのコミュニケーションを楽しみたいというニーズなど新しいニーズが次々に芽生えて生きています。このブログでも「時短」ニーズが生み出している新マーケットについては何度も書かせていただいていますが、今後も働く女性のインサイトを掴むことがますます重要になってきています。