体験消費時代のマーケティングヒント

2020-03-12 09:40:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

東日本大震災があった2011年は、「AKB48」や「なでしこジャパン」など、私たちに元気や楽しさを与えてくれる話題が多くの共感を集めました。一方で放射能汚染やエネルギー問題など、社会的テーマへの関心が一気に高まり、被災地を応援する「応援消費」や「エシカル消費」が新しい消費スタイルとして浸透し始めました。消費者は、商品の機能やブランドといった価値を求めるだけでなく、「自分の消費が被災地にどのように貢献できるのか」「電力不足にどのように貢献できるのか」といった消費の先にある意味を考えるようになりました。つまり消費者は、自分の消費が社会全体の幸せにどのように寄与するのかを考え始めたといえます。

 

 

 

さらに、ソーシャルメディアの普及で、これまで敷居が高いと思っていた企業や有名人との距離が一気に縮まりました。その結果、お気に入りの商品や企業に「いいね」を表明したり、自発的に好きな企業を応援するサポーターがどんどん増えていきました。

 

 

 

当時の調査結果を見ても、「今後、商品の購入代金の一部が被災地や子供などに寄付される商品を購入したい」「モノを買うなら、社会貢献している企業から買いたい」「自分にできる社会貢献を考えたい」と答えた人が大幅に増加。また、「エコや省エネを考えた住まいづくりをしたい」「LED電球を使いたい」といった環境保持に関心を持つ消費者も8割以上を占めていました。(ベルメゾン生活スタイル研究所調べ)

 

 

 

東日本大震災は、消費者がモノやサービスの社会的価値を認識する契機となりました。9年経った現在、環境保持や食品の廃棄ロス問題など社会課題に対する関心はいよいよ高まりつつあります。企業はすべてのステークホルダーと一緒になって持続可能な未来を創ることに努め、消費者から尊敬される存在を目指していかなければいけません。

 

2020-03-11 17:32:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

日本大震災では、日常の大切さや身の丈の幸せのありがたさに改めて気付かされました。当時の調査結果を見ても、これから重視していきたい過ごし方で最も多かったのが「家族の絆・愛情を大切にする生活」次いで「ゆとりを大切にする生活」「健康を大切にする生活」「快適を大切にする生活」が続きました。(ベルメゾン生活スタイル研究所調べ)。 

 

 

震災から9年経った今も、日常の幸せを重視する生活スタイルは健在です。家族との時間を大切にするために、「記念日を大事にする」、「家族そろってキャンプやバーベキューを楽しむ」といったスタイルが定着してきました。また、ゆとりある生活を大切にするために、「時短家電や時短食品を取り入れる」、「家でコーヒーや紅茶などお茶の時間をゆっくり楽しむ」人が増えています。健康を大切にする生活では、「ヨガやストレッチでストレスを上手に発散する」、「体の酸化や老化の予防を心掛ける」といった前向きな取り組みが根付いてきています。そして、快適を大切にする生活では、「整理整頓をしてモノは増やさない」、「必要がないものはできるだけ捨ててシンプルに暮らす」ことが浸透してきました。 

 

 

そして今、私たちはコロナウィルスの影響で普段の当たり前の生活もままならない日常を余儀なくされています。

 

今回の経験で、日常の幸せを大切にしていく流れはますます加速していきそうです。

 

2020-03-11 16:38:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

東日本大震災から丸9年が経ちました。当時を振り返ると、宅急便1個につき10円を寄付する活動で多くの共感を集めた運送会社、時短や節水、節電にも役立つすすぎが1回でOKの洗濯用洗剤の発売、収穫や育てる楽しみに加えて節電にもつながったグリーンカーテン、「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」という曲をワンフレーズずつリレーしたCMなど、本来の機能や役割に加えて、社会や未来のために役立つ価値を提供する商品やサービス、企業メッセージに注目が集まりました。

 

 

それまであまり顕在化していなかった社会貢献意識や利他心が芽生え、商品やサービスを選ぶ基準として「社会的価値」を重視する消費者が増えていくきっかけになったのが東日本大震災です。 

 

 

機能性やデザイン、価格やお得感、ブランドや知名度といった従来からの選択基準をベースにしながらも、「省エネ」や「環境保持」「安心・安全」「困った人を応援する」といった社会価値を重視するエシカルな消費スタイルは年々浸透してきています。 

 

 

それに伴って、企業の「理念」や「SDGsへ取り組み」「社会課題の解決」などに共感できるかどうかということが、消費者が商品やサービスを選ぶ基準のひとつになってきました。 

 

 

一方で、年々進化するスマートフォンやスマートスピーカーなど、新たな楽しさや発見・体験を提供する商品にも共感の連鎖が生まれ、新しい市場を創造しています。 

 

 

例えば、アップルは、長期を見据えて私たちの生活がどんどん良くなり、楽しくなる製品やサービスを生み出して、企業と個人の幸せな関係を育んでいます。 

 

 

また、アマゾンも日々サービスの質を向上させ、またプライム会員向けのサービス内容をこれでもかと充実させることで、アメリカでの会員数は15000万人以上と驚異的な規模に成長しています。 

 

 

つまり、これからの時代は企業と消費者との長期的な絆づくりがますます重要になってきます。そして絆づくりの核になるのは、消費者の企業に対する「共感」です。企業理念に対する共感、商品やサービスの対する共感、社会貢献に対する共感など、企業はあらゆるステークホルダーと一緒になって共感の輪を広げていくことが繁栄の条件になります。 

 

 

企業と消費者の相思相愛の関係づくりこそ、サスティナブルな企業経営の根幹をなすのです。

 

2020-03-11 09:41:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

地方に出かけたり、海外旅行に行った時、女性は地元のマルシェ(市場)を訪ねるのが大好きです。どこにどんな商品が売っているかわからなくても、細い路地を宝探し感覚で歩き回って、自分のお気に入りを見つける。お店の店主に値段交渉してみたり、テイクアウトして出来立ての名物を頬張ったり・・。それだけで女性は幸せホルモンに満たされるのだと思います。 

 

 

そんな女性が大好きなマルシェ(市場)をコンセプトにて誕生した新業態店が、ベイシアフードセンター前橋吉岡店です。ネーミングもMARche+Beisiaで「MARsia=マルシア」と名付けているところがおしゃれです。

DSC07827-680x453.jpg

 

 

 

マルシアは、市場のように鮮度を重視した仕入れ、豊富な品揃え、活気に満ちた演出などで、これからの食品スーパーを牽引する1号店として開店。具体的には、①新鮮で安心・安全な食材を提供。②賑わい、楽しさなどのエンターテイメント性を表現。③友達や知人、家族と一緒にくつろぐ場所。等々、従来のベイシアの「より良いものをより安く」の考え方に商品や売場を通じての活力や魅力をたくさんプラス致しています。 

 

 

青果では、鮮度を重視した調達方法に改善。以前から人気の地場野菜コーナーを更に充実し有機野菜の取扱いも始めました。鮮魚では、海鮮丼の専門店「彩香路」がデビューし、自慢の海鮮丼が勢揃い。精肉では、群馬の銘柄牛「赤城牛」を品揃え。第1号店となる「デリ ヴィアンド」肉惣菜(グリル)店では、店内で焼き上げた格別なローストチキンを販売。スーパーデリカテッセンでは、豚肉の「万葉亭」、鶏肉の「千羽鶏」、海老の「寿老舗」、中華の「厨華味源」に加え、新たなジャンルとしてフレンチの「ボン・ルパ」(惣菜店)を導入しています。 

 

 

「ボン・ルパ」(惣菜店)は、今回の目玉で、「ワンコイン」以下の手頃な価格で提供するフレンチ料理。アミューズ、サラダ、オードブル、スープ、魚料理、肉料理、デザートのフルメニューを品揃えとして加えています。 

 

 

その他、人気のHanaCafeはさらに品揃えを強化。ベーカリーではフランスで人気のクロワッサンやバケットを品揃えするほか、ハンバーガーやサンドウィッチ、コッペパンなどの軽食も充実。さらにスイーツ、カットフルーツなど美味しい食材とくつろげる空間も提供。このところ話題になっている生食パンも品揃えに加えるなど、新たな食の楽しさを提供しています。 

 

 

☛今後は少子高齢化で市場が先細りし、ますます競合が激化していきます。そんな中で生き残っていくためには、他社と差別化を図り、新しい客層を開拓できる店をつくる必要があります。単身世帯や高齢世帯、共働き世帯の増加に対応した、美味しくてリーズナブルで毎日飽きさせないワクワクする総菜の開発と品揃えが、これからの食品スーパー生き残りの鍵となります。

 

2020-03-10 16:44:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

コロナウイルスの感染拡大を受けた政府のイベント自粛要請などで、百貨店やショッピングセンター、飲食店からすっかり人がいなりました。各地で予定されていた大型イベントは軒並み中止。ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなどの大型レジャー施設も臨時休園に追い込まれるなど、消費の現場は冷え切っています。一日も早く収束していくことを祈るばかりです。 

 

 

振返ってみると、阪神大震災では、ローンを抱えたままマンションが倒壊した人たちのニュースが、日本人の持ち家主義にブレーキを掛けました。東日本大震災では高齢者や女性のコンビニエンスストアの利用率を上げたり、被災地で採れたものや作ったものを積極的に買おうといった応援消費も芽生えました。 

 

 

また今や月間アクティブユーザー数が8200万人という国民的SNS「LINE」は、東日本大震災で身近な人と連絡が取りあえなかったという教訓を生かして震災後すぐに誕生。今では私たちの生活を支える貴重なコミュニケーションインフラになっています。 

 

 

このように、大きな社会環境の変化をきっかけに私たちの生活スタイルも大きく変わっていくことが予測されます。例えば、新型コロナの影響でアウトドア活動に注目が集まっていたり、一人で楽しむソロキャンプも人気だそうです。 

 

 

消費者が企業を見る目も変わっていきそうです。マスクやトイレットペーパーの高額な販売や転売を放置した大手ネット通販企業は消費者の反感を買いました。一方、トイレットペーパーを山積みして「高額転売を沈静化させた」イオンは、消費者から絶賛の声が上がっています。 

 

 

社会の先行きが不透明になっていけばいくほど、今の消費者は自分に寄り添い、支えてくれる企業やブランドを支持するのは当然の流れになっていくでしょう。 

 

 

さて今回の外出、イベント、集会や宴会の自粛は、私たちの今後の生活スタイルをどのように変えていくのでしょうか。例えば、人の少ない地方に住んで自然と調和して過ごしたいという流れが加速したり、旅行は大人数のパックではなく気の置けない少人数で行きたいといった人が増えたり、屋内ではなく野外でのコンサートやイベントが人気になるかもしれません。いずれにせよ今回の新型コロナは、安全・安心できる環環境の保持や生き方の大切さを私たちに身をもって教えてくれました。またグローバルなサプライチェーンのもろさも露呈しました。今後、私たちは、消費者の価値観の変化をきちんとウオッチングし、そこから生まれる新しいライフスタイル潮流に合わせた顧客価値を提供していくことが大切です。

 

1 2 3 4