体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
東日本大震災があった2011年は、「AKB48」や「なでしこジャパン」など、私たちに元気や楽しさを与えてくれる話題が多くの共感を集めました。一方で放射能汚染やエネルギー問題など、社会的テーマへの関心が一気に高まり、被災地を応援する「応援消費」や「エシカル消費」が新しい消費スタイルとして浸透し始めました。消費者は、商品の機能やブランドといった価値を求めるだけでなく、「自分の消費が被災地にどのように貢献できるのか」「電力不足にどのように貢献できるのか」といった消費の先にある意味を考えるようになりました。つまり消費者は、自分の消費が社会全体の幸せにどのように寄与するのかを考え始めたといえます。
さらに、ソーシャルメディアの普及で、これまで敷居が高いと思っていた企業や有名人との距離が一気に縮まりました。その結果、お気に入りの商品や企業に「いいね」を表明したり、自発的に好きな企業を応援するサポーターがどんどん増えていきました。
当時の調査結果を見ても、「今後、商品の購入代金の一部が被災地や子供などに寄付される商品を購入したい」「モノを買うなら、社会貢献している企業から買いたい」「自分にできる社会貢献を考えたい」と答えた人が大幅に増加。また、「エコや省エネを考えた住まいづくりをしたい」「LED電球を使いたい」といった環境保持に関心を持つ消費者も8割以上を占めていました。(ベルメゾン生活スタイル研究所調べ)
東日本大震災は、消費者がモノやサービスの社会的価値を認識する契機となりました。9年経った現在、環境保持や食品の廃棄ロス問題など社会課題に対する関心はいよいよ高まりつつあります。企業はすべてのステークホルダーと一緒になって持続可能な未来を創ることに努め、消費者から尊敬される存在を目指していかなければいけません。