体験消費時代のマーケティングヒント

2020-02-09 08:50:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

 

昨日は、グランフロント大阪ナレッジキャピタルで開催された「World OMOSHIRO Award 6th」というイベントに参加してきました。

 

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World OMOSHIRO Award」とは、ナレッジキャピタルのコアバリューである「OMOSHIROI」を広げるための国際的なアワードです。 

 

 

「おもしろい」ということばが初めて日本に登場したのは、今から約1300年前にさかのぼります。日本に伝存する最古の正史「日本書記」の中に、『於母之楼枳(オモシロキ)』ということばが詠まれた歌が収められています。 

 

 

漢字では「面白い」と書きますが、「面」は目の前を意味し「白い」は明るくてはっきりしたことを意味します。そこから「目の前がパッと明るくなった状態」をさすようになりました。 

 

 

つまり、「面白い」とは未知なる発見や出会いに心が震えるような状態であり、人間の最も根源的な感覚といえそうです。性別や年齢、国籍を超えて悦びや好奇心を加速させる創造の原動力といってもよいと思います。 

 

 

今社会は大きな転換期を迎えています。既存の価値基準ではない新たな視点やモノサシが求められています。そのような中で「面白い」という感覚は、未来を生み出す大きな力となっていくのではないかと思いました。 

 

 

私が提唱している「ワクワク・ドキドキ」と「面白い」は、人間にとって最も原始的で根源的な感覚であるという点では共通しています。ということは、「ワクワク・ドキドキ」が未来を動かす大きな力になるといっても過言ではありません。 

 

 

価値観が多様化している現在、人の心を動かすのは「面白い」や「ワクワク・ドキドキ」といった誰にでも共通する根源的な感覚なのです。 

 

 

ちなみに昨日のアワードの受賞者は以下の5名の方です。 

 

 

・「ハヤブサの目」の異名を持つ恐竜化石ハンター「小林快次」さん(北海道大学総合博物館教授・恐竜研究者)

 

・微生物×ウェアラブルで女性を性感染症から守る「ジュリア・トマゼッロ」さん(イタリア、インタラクションデザイナー)

 

・科学、工芸、技術を横断するアート界の異種格闘家「福原志保」さん(アーティスト)

 

・「してみたくなる」の謎を追う仕掛学の第一人者「松村真宏」さん(大阪大学教授)

 

3Dプリントでファッション業界に革命をもたらす「ユリア・コルナー」さん(オーストリア、JK Design設立者/UCLA 建築都市デザイン学科 兼任教授

  

 

どの受賞者のプレゼンテーションも、ワクワク・ドキドキする内容ばかり。「面白い」が持つ社会や人類に対する影響力の大きさを考えさせられる素敵な時間となりました。

 

2020-02-07 07:01:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

アパレル大手のストライプインターナショナルが、D2C事業を本格的に始動することを発表しました。第1弾として身長153cm以下の女性向けファッションブランド「レム クローゼット(rem closet)」を立ち上げ、326日に販売を開始します。 

 

 

新ブランドは、低身長で服のサイズが合わないという悩みを抱える20代後半から30代の女性に向け、小柄な女性に合うサイズのトレンドカジュアルウェアを提案。 

 

 

ディレクターに抜擢された松井里穂さんは「コエ(koe)」の元販売員兼SNSディレクターで、松井自身のコンプレックスである150cmの小柄な体型をカバーするコーディネートを毎日欠かさずインスタグラムやファッションコーディネートアプリ「ウェア(WEAR)」に投稿。月120コーディートを2年間継続し、インスタフォロアーは14千人。多くの女性から支持を集めています。 

 

 

アパレル市場が縮小する中、ニッチな市場に的を絞ったD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)に注目が集まっています。成功の鍵は、消費者目線でのモノづくり。お客様に共感してもらえる商品やコミュニケーションで高揚感を感じてもらうことが大切です。 

2020-02-06 08:44:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

資生堂のグローバルブランド「SHISEIDO」は、ミニサイズのメイクアップシリーズ「ピコ」の新色を31日に日本限定発売します。2020年春夏のトレンド“ニュアンスカラー”“透明感”を反映した口紅とネイル(218品目、10001800円)を、百貨店を中心とする約290店、資生堂の総合美容サイト「ワタシプラス」などで販売します。 

 

 

20182月にデビューした「ピコ」は、若年層に向けてミニサイズで価格も抑えて提案するシリーズ。既存のネイルや口紅の半分サイズで売り出したら大ヒットしました。第1弾は“和菓子”、第2弾は“縁結び”をテーマとして毎年限定色を発売してきましたが、第3弾は“Tokyo 24h”をコンセプトに、朝、昼、夜でさまざまな表情を見せる東京の一日にインスパイアされた口紅とネイルをそろえます。 

 

 

口紅とネイルは朝、昼、夜に各3色ずつグループ分けされ、パッケージには一日の流れが分かる時計が描かれてます。「路地裏に猫」「本屋の出会い」「三時の純喫茶」「夜の名画座で」など、時間と共に変化する光や風景を表現したカラーネームにも注目ですね。 

 

 

気軽に楽しめるミニサイズ、毎年発売する限定色とロマンチックなテーマ設定、印象に残るネーミングなど、「SHISEIDO ピコ」には、女性のこころを動かす「ワク♡ドキ」の素が詰まっています。

 

2020-02-05 08:17:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

作業服販売大手のワークマンは24日、20203月期の業績予想を上方修正しました。修正後はチェーン全店売上高が1200億円(修正前は1035億円)、営業総収入が905億円(同733億円)と、2割以上も上振れします。新業態「ワークマンプラス」の積極的な出店に加えて、日常着として着用できるプライベートブランドがけん引して、194月〜201月までの既存店売上高は前年の同じ期間に比べて26.3%増加。10月以降も多くのアパレルが消費増税や暖冬の影響で低迷する中、既存店売上高は2割以上伸ばしています。 

PB3ブランドを訴求した店内.jpg

 

 

好調な売上をけん引しているワークマンプラスは「高機能と低価格のアウトドア・スポーツ・レインウェアの専門店」と銘打った業態。プロ向け仕様の高機能・高コストパフォーマンスを売りにしたPB商品を、一般の人でも入りやすいような店舗で買えるようにしました。この結果、今までワークマンに行ったことがなかった客が足を運んでいることがヒットの要因です。また、メディアでの露出やインフルエンサーを起用したマーケティング戦略が奏功し、女性顧客の獲得に成功したことが好調を支えています。 

 

 

秋冬商戦でも高機能・低価格を売りにした防寒アウターや防寒パンツが活発に動きました。中でも驚くほどの防水防寒機能があるプライベートブランド(PB=自主企画)衣料や同社の商品情報を紹介している人気ブロガーと共同開発したパーカーの販売も伸びました。 

 

 

19412月にはワークマンプラスを新たに23店開き、既存店119店を転換。ワークマンプラスは1月末時点で157店になり、3月末までに175店まで増やす計画です。 

 

 

ワークマンの強みは、プロが購入するような高品質な商品を低価格で提供することです。一般的なアパレル企業の場合、商品の原価率は23割程度。できるだけ安く作り、宣伝をして高く販売。在庫が出ればセールを行い、それでもだめなら廃棄するというビジネスモデルが一般的です。一方ワークマンの原価率は65%程度といわれており、アパレル業界の平均値よりずっと高く設定。自ずと高コストパフォーマンスが実現できるのです。 

 

 

ワークマンのMDが何よりこだわるのは値付けです。市場調査を徹底した結果、設定した売価を“絶対基準”とし、その売価を超えるものは作りません。その結果、これまで経験したことのないような高い機能性と驚きの低価格が女性客のこころを動かして、一気にワークマンファンの輪を広げています。 

 

 

驚きの機能と驚きの対価格。女性のこころを動かしたのは、ワクワク・ドキドキさせるモノづくりです。

 

 

 

 

 

2020-02-04 08:00:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

総務省の家計調査によると、1世帯あたりのパンの年間支出額は1418年まで5年連続で米を上回っています。18年のパンの支出額は3554円と、12年に比べ8%増加。主食の座が米からパンに交代したことがわかります。 

 

 

そんな中、2013年頃から高級食パンブームが始まりました。今や全国各地に店舗を構える大阪発祥の「乃が美」や東京・銀座に本店を構える「セントル・ザ・ベーカリー」などが人気に火をつけ、一大市場を築き上げたのです。私もたまに「乃が美」の食パンを購入しますが、レギュラーサイズ(2芹)864円(税込)は決してお安くありません。普段は5枚切り158円の「超熟」が定番ですが、外出したついでについつい買ってしまいます。高級食パンならではの、柔らかくて甘い食感はまさに私にとってのちょっとした「幸せ」な瞬間です。 

 

 

高級食パンブームは今のところ衰えることもなく、最近はさらに進化を遂げた商品が続々と登場し、主婦や若い女性らを虜(とりこ)にしています。生地に多彩なフレーバーを練り込んだり、子どもの嗜好を徹底的に追求したり――。キーワードは「変わり種」。高級食パンの文化に新たな潮流が生まれており、ブームを超えて日本の食卓に根付きつつあります。 

 

 

とはいえ、毎日高級食パンを味わっているご家庭はそれほど多くないと思います。ふだんはスーパーやコンビニの食パンを定番にしながらも、週に1度や月に何回かはちょっと贅沢な高級食パンを味わう。まさにケの日ハレの日消費のわかりやすい事例ですね。

 

 

 

ふだんは節約しながらも、たまには自分へのご褒美も兼ねてちょっとだけ贅沢してみる。そんなケの日ハレの日消費の潮流をしっかり押さえておきましょう。

 

 

 

以前のブログ記事です。こちらもご覧ください。

 

高級食パンブームに見る日常のしあわせ志向。

 

http://www.happymk.net/entry/2018/06/25/112435

 

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