体験消費時代のマーケティングヒント

2020-02-05 08:17:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

作業服販売大手のワークマンは24日、20203月期の業績予想を上方修正しました。修正後はチェーン全店売上高が1200億円(修正前は1035億円)、営業総収入が905億円(同733億円)と、2割以上も上振れします。新業態「ワークマンプラス」の積極的な出店に加えて、日常着として着用できるプライベートブランドがけん引して、194月〜201月までの既存店売上高は前年の同じ期間に比べて26.3%増加。10月以降も多くのアパレルが消費増税や暖冬の影響で低迷する中、既存店売上高は2割以上伸ばしています。 

PB3ブランドを訴求した店内.jpg

 

 

好調な売上をけん引しているワークマンプラスは「高機能と低価格のアウトドア・スポーツ・レインウェアの専門店」と銘打った業態。プロ向け仕様の高機能・高コストパフォーマンスを売りにしたPB商品を、一般の人でも入りやすいような店舗で買えるようにしました。この結果、今までワークマンに行ったことがなかった客が足を運んでいることがヒットの要因です。また、メディアでの露出やインフルエンサーを起用したマーケティング戦略が奏功し、女性顧客の獲得に成功したことが好調を支えています。 

 

 

秋冬商戦でも高機能・低価格を売りにした防寒アウターや防寒パンツが活発に動きました。中でも驚くほどの防水防寒機能があるプライベートブランド(PB=自主企画)衣料や同社の商品情報を紹介している人気ブロガーと共同開発したパーカーの販売も伸びました。 

 

 

19412月にはワークマンプラスを新たに23店開き、既存店119店を転換。ワークマンプラスは1月末時点で157店になり、3月末までに175店まで増やす計画です。 

 

 

ワークマンの強みは、プロが購入するような高品質な商品を低価格で提供することです。一般的なアパレル企業の場合、商品の原価率は23割程度。できるだけ安く作り、宣伝をして高く販売。在庫が出ればセールを行い、それでもだめなら廃棄するというビジネスモデルが一般的です。一方ワークマンの原価率は65%程度といわれており、アパレル業界の平均値よりずっと高く設定。自ずと高コストパフォーマンスが実現できるのです。 

 

 

ワークマンのMDが何よりこだわるのは値付けです。市場調査を徹底した結果、設定した売価を“絶対基準”とし、その売価を超えるものは作りません。その結果、これまで経験したことのないような高い機能性と驚きの低価格が女性客のこころを動かして、一気にワークマンファンの輪を広げています。 

 

 

驚きの機能と驚きの対価格。女性のこころを動かしたのは、ワクワク・ドキドキさせるモノづくりです。