体験消費時代のマーケティングヒント

2020-02-14 08:55:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

株式会社アーバンリサーチと、株式会社ファミリーマートは、フランチャイズ契約を締結し、両社のコラボレーション店舗として「アーバン・ファミマ!!虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー店」を、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」2階に2020212日(水)に開店しました。

アーバン.jpg

 

 同店は、「サスティナビリティ」をキーワードに都市型ワーカーへ持続可能なライフスタイルを提案する新世代のコンビニエンスストアをコンセプトに、両社が持つノウハウを融合させ、都市型ワーカーに向けた新たなライフスタイル提案型リアル店舗です。 

 

 

店内什器などに再生、再利用素材を使うなど、環境に配慮した素材を用いた“サスティナブルデザイン”を採用。

 

 

例えば、余分な湿気を吸収する卵の殻を再利用したエッグウォール(壁紙)やエッグペイント(塗料)、火力発電所で発生する石炭灰の他、使用済みのコーヒー豆など多岐にわたる廃棄物を利用したリサイクル内装ボードなども採用「。全体の70%にサスティナビリティな要素(仕上げ・什器)を取り入れ、環境に配慮した店舗作りになっており、 都会のインフラの中で、未来の資源を考えるきっかけづくりも提案しています。 

 

 

■大型イートインを境に、アーバンリサーチエリアとファミマ!!エリアを設置 

 

店内は大型イートインスペースを境に、“PERSONAL LIFE SUPPORT”をコンセプトとした「アーバンリサーチエリア」と、より働く時間を支援“WORK TIME SUPPORT”をコンセプトとした「ファミマ!!エリア」に分かれています。

アーバン2.jpg

 

  

「アーバンリサーチエリア」では、サスティナブルなライフスタイルとファッション(廃棄衣料をアップサイクルするサスティナブルマテリアル・プロダクト「commpost(コンポスト)」やトラックのタープ(幌)をリサイクルしたスイス発ブランド「FREITAG(フライターグ)」のバッグをはじめ、エシカルなファッションを推進する「かぐれ」のオーガニックコスメ、別注や人気商品を中心としたアパレルラインなど)、リラックス&レジャー(インナーウエア、ソックス、アウトドア用品など)、そしてレスキュー需要やギフト、日用品(ハンカチ、タオル、食料品など)をコンセプトとした売場づくりを展開。 

 

 

目玉として、第七回環境省グッドライフアワードにて「環境と福祉賞」を受賞した廃棄衣料をアップサイクルするサスティナブルマテリアル・プロダクト「commpost(コンポスト)」のすべての商品や、「アーバン・ファミマ!!」コラボ商品のオーガニックコットンとリサイクルポリエステルを混紡した肌触りの良いタオルハンカチも品揃えしています。 

 

 

 「ファミマ!!エリア」では、食の充実(中食の充実)、利便性の向上(導入サービスの拡張)、憩いの時(イートイン・caféBook)、お土産(オフィスワーカーに向けて多様なビジネスシーンに対応できる商品選定)をコンセプトとした売場づくりを展開。

 

 

 

大型イートインスペースでは、大型のサイネージを配置し、“アーバンリサーチ””ファミマ!!”のコンテンツを提供したり、ヨガのワークショップやオフィスワーカー同士のネットワーキングを目的とした各種イベントなど、都心のワーカーコミュニティのハブステーションとしての役割を果たします。 

 

 

「アーバン・ファミマ!!」が提供するのは、「サスティナブル」な店づくりや品揃えとイートインやワークショップといった「顧客体験」価値です。コンビニ飽和時代と言われる中、これまでの画一的な店づくりから、地域特性に合わせた、顧客が「ワクワク・ドキドキ」する店づくりが求められています。

 

2020-02-14 08:24:00

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。 

 

日本マクドナルドホールディングスは201912月期の決算を発表し、本業のもうけを示す営業利益は1年前と比べて11.9%増の280億円となり、4年連続で増益を達成。1112月期以来、9年ぶりの営業最高益を見込みます。 

 

 

商品面では、バーガーやサイドメニューを低価格で提供する「おてごろマック」や秋の定番商品「月見バーガー」シリーズなどが伸長。消費者の節約志向を捉えたお得感や季節限定のワクワク感を提供して売上を伸ばしました。 

 

 

また店舗では、接客に特化した従業員、「おもてなしリーダー」を配置。客を席まで案内するなどサービスを充実させて、顧客の「店舗体験」向上にも取り組んでいます。 

 

 

さらに、スマホアプリを使って注文・決済ができる「モバイルオーダー」を導入。待ち時間やをレジでの時間を減らすことで、忙しい消費者の利便性を高めました。 

 

 

14年の鶏肉偽装問題で業績が大幅に悪化した同社ですが、顧客視点に立った「ワクワク・ドキドキ」価値の提供で、再びファンのすそ野を広げています。 

2020-02-12 14:32:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。


必要なものはほぼ満たされた現代、生活者が求めているものは「楽しさ」や「面白さ」といったワクワク感やドキドキ感ではないかと思います。「モノ消費」から「コト消費」や「トキ消費」への流れも、人びとが「楽しさ」や「面白さ」を求めていることが背景にあります。このように、生活者の行動を変えるマーケティング活動において、「楽しさ」や「面白さ」を提供することはますます重要になってきているといえます。

 

ところでみなさんは電車に乗るときや降りた後、階段を使いますか、それともエスカレーターを使いますか。ほとんどの人は、エスカレーターを選んでいるのではないでしょうか。中には、健康のため階段を使う、という人もいるかもしれませんが、おそらく少数派ですね。
そこで「どうやったら駅の利用者はエスカレーターではなく階段をもっと使ってくれるだろうか?」というプロジェクトが、2009年にスウェーデン、ストックホルムにあるodenplan駅で行われました。

 

何はともあれこちらの動画をご覧ください。

 

youtu.be

 

いかがでしたか?動画を見れば一目瞭然ですね。階段をピアノの鍵盤に見立てて、階段を上がると音が奏でられるようにした結果、なんと普段より66%も多くの人がエスカレーターではなく階段を利用するようになったといいます。

 

このプロジェクトを仕掛けたのは、世界を代表する自動車ブランド、フォルクスワーゲンです。上記の動画はフォルクスワーゲン・スウェーデン社が提唱する「ファン・セオリー」というプロジェクトの一環として行われた実験で、「ファン・セオリー」とは、一言でいえば「楽しさ」こそが人々の行動を変える一番シンプルで簡単な方法だ、という考え方のことを指します。こうしたアイデアを紹介する同社のウェブサイトには、ほかにも以下のような事例が掲載されていますのでいくつかご紹介します。

 

◆近くにあった普通のゴミ箱の2倍近い、72kgものゴミを集めることに成功したアイデア。

 

youtu.be

 


ゴミ箱が置いてあってもポイ捨てがなかなかなくならないのは、ゴミをゴミ箱に捨てに行くのが面倒と思っている人が多いから?であれば、ゴミを捨てに行くのが楽しくなるようなゴミ箱を作ってみよう!そんな発想から生まれたゴミ箱がこれです。どこにでもあるサイズのゴミ箱ですが、捨てられたゴミは、なんと50フィートもの距離を落下する(という音が鳴る)仕掛けです。ゴミを捨てた人々は、延々と鳴り続ける落下音にぎょっとしていますが、結果として近くにあった普通のゴミ箱の2倍近い、72kgものゴミを集めることに成功しました。

 

◆シートベルトの着用率を高めるアイデア

 

youtu.be

 


シートベルト着用が交通事故時の死亡率を大きく下げることは誰もがわかっていることですが、面倒くささがベルトの着用を遠ざけています。特に後部座席の着用はあまり進んでいません。そこで考えられたのがこちらのアイデア。映画などを楽しめるディスプレイが後部座席に設置されていますが、そのままでは動作しません。シートベルトを締めることによって初めて、動作する仕組みになっているんですね。とても単純なアイデアですが、シートベルトの着用率が上がることで交通事故時の死亡率が下がるとなれば、大きなイノベーションだと思いませんか。

 

「エスカレーターよりも階段を利用しましょう」「ゴミはゴミ箱へ捨てましょう」「シートベルトは必ず締めましょう。」こうした啓蒙活動も重要ですが、それよりもずっとスマートに、効果的に人の行動を左右する可能性を秘めているのが、今回ご紹介した「ファン・セオリー」です。これからの商品やサービス開発、新しい広告やキャンペーン、集客などを考える際には、この「楽しそう」「面白そう」というアイデアをぜひ取り入れていきましょう。

 

 

 

mashable.com

 

2020-02-11 06:51:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

 

ドン・キホーテやヤマダ電機、アイリスオーヤマなどの流通大手企業が、PB家電を相次いで発売し消費者からの支持を広げています。 

 

 

4K大画面テレビやロボット型掃除機、お米の銘柄を炊き分ける炊飯器など、各社ともに消費者の欲しい機能に絞り込むことで低価格化に成功。売上を伸ばしています。 

 

 

PB商品といえばかつては食料品や衣料品に限られていましたが、メリハリ消費が当たり前になった消費者にとって、これまで重視してきたパナソニックやソニーといった「ブランド価値」よりも「高機能、小機能、低価格」といった実質価値を重視する傾向が強くなってきたといえます。 

 

 

家電業界では、かつての日本製から「ダイソン」などの海外勢が躍進。これまでの日本の家電メーカーの「高機能、多機能、高価格」戦略や松竹梅といったグレード展開では顧客のニーズを捉えられなくなってきています。 

 

 

アイリスオーヤマは、大手家電メーカーが品目数を減らし始めた2009年に家電事業へ本格参入。白物家電でラインアップを広げた後、19年には黒物家電(テレビ)へも本格進出を果たし、総合家電メーカーへまい進しています。 

 

 

卓上IHコンロ対面操作式、両面ホットプレートなど「とがった商品」を次々に開発。余計な機能をそぎ落とし、値ごろ感を追求。生活者の視点にたったユニークな機能やデザインが消費者のこころを動かして、次々にヒット商品を生み出しています。 

 

 

201910月には薄型テレビ市場に参入。自社ブランドの薄型テレビ「LUCA(ルカ)」を、65型で実勢価格12万円程度から展開しています。20万円台が中心の大手ブランドの商品より大幅に安く、12月には75型で30万円程度の格安品を発売しました。 アイリス2.jpg 

開発のキーワードは「高機能、小機能、低価格」。売りになる高機能=ベネフィットに特化しそれ以外は簡素化して価格を下げることで必要なベネフィットだけを求める消費者に支持されています。長年培ってきた「消費者目線」を武器にした価格設定と機能の選択。情報があふれて何を選んだらよいかわからない時代、シンプルでわかりやすい訴求が消費者のこころを動かすポイントになります。

 

2020-02-10 13:03:00

 みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

イタリア・ミラノに世界から注目されているセレクトショップ「スラムジャム」があります。元DJで服に関心があったルカ・ベニーニが1989年に創業。その後2006年、古都フェラーラの本社の隣りに最初の店舗をオープンしました。 

 

 

今までの店舗の概念とは全く違う新しいコンセプトで開発したという同店。訪れた人たちはスラムジャムで扱っている商品と、オフィスで働く社員をガラス越しに見ることができます。商品を売る方法として面白いのはもちろん、スラムジャムが何をしている会社で、どういう人たちが働いているかをクリアにすることが目的だったといいます。 

 

 

次いで201610月にはミラノに基幹店をオープン。店内にはイベントスペースも設置して、アート、音楽、映像、スポーツなどのイベントを積極的に開催しています。イベントの企画監修には、伊アート文化誌「カレイド・スコープ」の編集人を起用するなど、ストリートウェアと文化を融合させることで、新たな価値を発信しています。

スラムジャム.png

 

  

スラムジャムは、ヨーロッパにおいてカーハートやステューシーといったストリートブランドをディストリビューションしてきた老舗チーム。ビズビム、ネイバーフッド、ダブルタップスなど日本発のブランドをいち早くヨーロッパに紹介したことでも知られ、ヨーロッパにおけるストリートファッションの先駆者として今も強い影響力を持っています。 

 

 

「私は単にモノをうるということには関心がない。」「街から生まれるファッションの背景には、アートや音楽といったストリートカルチャーがある。」と語るベニーニ氏は、元DJでもありスケータ―でもあり、そのコミュニティを活かして同じマインドを持つ人間同士でつながり、自らストリートカルチャーの発信地を創り上げてきました。 

 

 

モノが売れないといわれる時代。パリの老舗「コレット」が2017年に廃業に追い込まれるなど、セレクトショップ業界は苦しい状況に追い込まれています。 

 

 

そんな中スラムジャムは、「人を集めること」を目的に、ファッションとアートや音楽などを掛け合わせることでストリートファッションを文化として構築してきたといえます。 

 

 

文化とは一種の世界観とも言えます。その世界観に共感・共鳴して人が集まってくる。これからの時代は、それぞれの企業が独自の企業文化を育み、発信し続けることで顧客とのコミュニティを創造していく時代です。

 

https://www.slamjam.com/en_JP/home

 

1 2 3 4