体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
ドン・キホーテやヤマダ電機、アイリスオーヤマなどの流通大手企業が、PB家電を相次いで発売し消費者からの支持を広げています。
4K大画面テレビやロボット型掃除機、お米の銘柄を炊き分ける炊飯器など、各社ともに消費者の欲しい機能に絞り込むことで低価格化に成功。売上を伸ばしています。
PB商品といえばかつては食料品や衣料品に限られていましたが、メリハリ消費が当たり前になった消費者にとって、これまで重視してきたパナソニックやソニーといった「ブランド価値」よりも「高機能、小機能、低価格」といった実質価値を重視する傾向が強くなってきたといえます。
家電業界では、かつての日本製から「ダイソン」などの海外勢が躍進。これまでの日本の家電メーカーの「高機能、多機能、高価格」戦略や松竹梅といったグレード展開では顧客のニーズを捉えられなくなってきています。
アイリスオーヤマは、大手家電メーカーが品目数を減らし始めた2009年に家電事業へ本格参入。白物家電でラインアップを広げた後、19年には黒物家電(テレビ)へも本格進出を果たし、総合家電メーカーへまい進しています。
卓上IHコンロ対面操作式、両面ホットプレートなど「とがった商品」を次々に開発。余計な機能をそぎ落とし、値ごろ感を追求。生活者の視点にたったユニークな機能やデザインが消費者のこころを動かして、次々にヒット商品を生み出しています。
2019年10月には薄型テレビ市場に参入。自社ブランドの薄型テレビ「LUCA(ルカ)」を、65型で実勢価格12万円程度から展開しています。20万円台が中心の大手ブランドの商品より大幅に安く、12月には75型で30万円程度の格安品を発売しました。
開発のキーワードは「高機能、小機能、低価格」。売りになる高機能=ベネフィットに特化しそれ以外は簡素化して価格を下げることで必要なベネフィットだけを求める消費者に支持されています。長年培ってきた「消費者目線」を武器にした価格設定と機能の選択。情報があふれて何を選んだらよいかわからない時代、シンプルでわかりやすい訴求が消費者のこころを動かすポイントになります。