体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
近年、成長している市場が、サブスクリプション、略して〝サブスク〟です。
サブスクリプションとは、「料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる」形式のビジネスモデルのこと。もともとは予約購読や定期購読を指し、日本でも新聞や定期購読の雑誌などが主たる例として知られていました。
そこまで馴染み深い言葉ではなかったものの、近年はおもに動画配信サービスや音楽配信サービスで知られ始めました。特に、「Apple Music」や「Spotify」、「Amazonプライム」、「Netflix」などが有名です。
このように、サブスクリプションモデルはデータやソフトウェアを利用するといったデジタル領域で広まりましたが、最近は洋服や家具、車、サプリメントや食品など、非デジタル業界の製品にもサービスが増えてきました。
現在の市場規模は、約1.2兆円と言われています。ここ数年間は、毎年、約1000億円ずつ伸びていると言われています。最近、特に伸びているのが、サービス業のサブスク化です。それにより、従来のサービスを受けて、対価でサービス利用料を支払うビジネスモデルより、持続的成長が出来て、高い収益性の実現をしています。
ところで、サブスクの企業・事業者のメリットとしては、①継続的な収益を上げられる ②顧客の利用状況や細かなデータが把握できる ③新規獲得のハードルが低く、利用者数を増やしやすい ④アイデア次第でいろいろな商材に導入できるということが挙げられます。
また利用者・ユーザーは、①安価なものが多いため、利用開始のハードルが低くコストパフォーマンスがよい ②購入・所有する必要がなく、管理が不要 ③定額制なので、サービスを利用するたびに料金を支払う必要がない ④トライアル・お試し期間があるサービスが多く試しやすい ⑤いつでも解約ができるというメリットがあります。
最近では、ホテルニューオータニ(東京)が1日あたり12時間の日中利用が、30日間であれば何度でもできるというテレワーク用のサブスクリプション(定額)プラン(30万円~)を販売。
また、そごう広島店(広島市)は「デパ地下」でパンやおにぎり、焼き菓子などを月額のサブスクリプション(定額課金)で毎日受け取れるサービスを始めています。
自動車の表面を美しく保つカーコーティングを手掛けるアペックス(宇都宮市)は毎月、一定額を支払い、定期的にコーティングや洗車などのサービスを受けられるサブスクリプション(定額課金)サービスをスタート。車の美しさにこだわる消費者のニーズを取り込みます。
さらに、スマホアプリで登録すれば、月額2700円で自販機から飲料を毎日1本選んで受け取れる日本コカ・コーラの自動販売機を使った飲料のサブスクリプション(定額課金)サービスや乳幼児用おむつのサブスクリプション(定額課金)サービス、冷凍した魚を月2回届ける「おさかなサブスク」など、次々にサービスが生まれています。
サブスクモデルは、サービスの継続利用を上げて、安定的に新規を増やしやすいことから、高収益なビジネスモデルを実現できる可能性が高いことが特徴です。それには、単品利用、単品購買から、定額の継続利用のサービス転換することがポイントとなっています。
今後、これらのようなサブスクモデルの流れが、サービス業だけではなく、小売業、飲食業、不動産業でも、起こっていきます。そして、そのビジネスモデルが、従来のビジネスモデルより、高い成長と、高い収益性を実現してきています。次の成長のため、自社の商品・サービスを利用して、サブスクモデルを検討してみてはいかがでしょうか。
サブスクリプションモデルでお客様と長く深くおつきあいしていく仕組みづくりこそ、これからの時代のファンづくりの主流になります。

眼鏡販売JINSは、創業の地である群馬県前橋市に地域コミュニティのハブとなることを目指した新施設「JINS PARK(ジンズ パーク)」を2021年4月29日(木・祝)にオープンする。
この施設には、アイウエアブランド「JINS(ジンズ)」のほかにも、飲食事業として新たに展開するベーカリーカフェ「エブリパン」を併設。
誰もが自由に使用できる屋外広場や、施設内にも大階段や屋上テラスなど広々とした空間を設けることで、地域に新しい交流が生まれる場をつくるなど、JINSが地域と共生することを目指した新しい店舗形態となる。
施設名の「PARK」には、公園のように「みんなの場所」を目指すという想いを込めており、施設内外には地域住民が自由に使える広場を複数設けるなど、一つの空間で様々な価値が融合する空間となっている。
「JINS PARK」では、新たな飲食事業となるベーカリーカフェ「エブリパン」をオープン。「エブリパン」というブランド名には、みんなが愛する味を、いつも出来立て、作り立てでお届けしたいという想いが込められている。
メニューは、どこか懐かしさを感じる味の約60種のパンを提供。群馬県産小麦や地元の新鮮な素材にこだわった総菜パンを中心に、定番の焼きたてパン「いつものパン」や、オーダーが入ってから調理を開始する「とくべつパン」をラインアップ。アイウエアに留まらず、食を通じた顧客同士のコミュニケーションを提供し、生活を豊かにすることを目指している。
モノを売るよりも、人々が集う居心地のいい空間作りを優先しているJINS PARK。田中仁CEOの地元への愛が感じられるプロジェクトだ。オンライン全盛の時代、ネットでは味わえない“つながり”が生まれる場所に育ってほしいと思う。

花王は、「楽天市場」に新設された「新商品コレクション」を通じ、お客さまと一緒に商品を創っていく「クリエイターズ商品」として、へそごま除去パック『SPOT JELLY(スポットジェリー) へそごまパック』、足用石けん『ARGINISTA(アルギニスタ) 足ラボ石けん』を数量限定で発売した。
これらの商品は、花王発のオープンイノベーション・プラットフォーム組織「ファンテック Lab&Biz(ラボ&ビズ)」が企画・開発したもので、楽天市場のレビュー機能などを活用し、お客さまのリアルな声を収集。“へその汚れ”と“足のニオイ汚れ”という悩みの解決に向けて、さらに検討を重ねながら本発売をめざしていく。
「ファンテック Lab&Biz(ラボ&ビズ)」は、従来の枠にとらわれずにアイデアや技術を公募し、それらを結び付けるハブとなり新しいワクワクを提案することをめざしている。
今回は、これまであまり目が向けられてこなかった、個の深い悩みに焦点をあてて満足度を高める「N=1(エヌワン)起点のサービス開発」をスタート。
アイデアや技術を社内の研究所から公募し、第一弾として、一人ひとり異なるへその形状に対応して汚れを除去するへそごま除去パックと、足のニオイ汚れに悩む方に向けた足用石けんを商品化した。
これまでの商品開発では、悩みの幅に個人差もあるため、一般的には少数派の悩みには目が向けられにくいとされていた。
今回の取り組みではネットでの限定販売を通して寄せられた顧客の声を今後の商品づくりに反映させ、さらなる満足度の向上を図り、本発売をめざすというものだ。
また、オフラインの接点として、4月12日~5月9日まで「b8ta Tokyo – Yurakucho」 に2商品を出品。同店での顧客の反応なども、本発売のための貴重な情報として活用していく。
大手メーカーのこれまでの商品開発は、多くの人に共通する悩みを解決するマス市場に向けた商品が主流だった。今回の花王の取り組みは、新たなインサイトをもとに開発した商品を顧客にダイレクトに届け、顧客の声を聞きながら進化させていく、D2C(ダイレクト トゥ コンシューマー)の手法を取り入れたものだ。
顧客の声を聞き、顧客を巻き込みながら商品を共創してくD2Cの手法は、中小企業こそ取り入れたいこれからのマーケティング手法だ。

みなさんこんにちは。和田康彦です。
今日は、カインズホームに日用品の買い出しに行ってきました。
2月にリニューアルオープンした店内でいちばん大きく変化していたのがDIY売り場の拡張です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、巣ごもり需要が注目されていますが、その中でもDIY関連商品は大きく伸びています。そのような環境変化に柔軟にスピーディーに対応しているカインズホームは、流石です。
また、ネット商品を店頭で受け取り出来るPicUpボックスも新たに設置。店舗とネット通販を融合させてお客様の利便性を高める取り組みにも積極的です。
小売業でも飲食業でもお客様の価値観や消費行動の変化に合わせてスピーディに対応することが重要です。まさに変化対応業です。
このところ、新型コロナウイルスの感染防止対策など、後手に回ってお客様からの信頼を損なっているお店の多くみられます。
お客様に安心してもらい、信頼を得るためには今何をすべきなのかを最優先に考えて行動していきましょう。
そういえば、先日ランチをいただいたお店では、感染防止のための一枚の厚紙をいただきました。説明通りに折り曲げていくと、簡易の扇子が完成。食事中の会話の時に、この扇子で口を覆うことで飛沫を防止するというものです。厚紙には、無いよりもイイかも〈マナー扇〉と書かれています。ちょっと粋な計らいにこのお店のセンスを感じました。

みなさんこんにちは。和田康彦です。
お客様との関係性を築いて、長く、深くおつきあいしていくファンづくりマーケティングでは、お客様の声を聞きながら、商品やサービスの改善につとめてくいくことがとても大切です。
大手企業でも、マクドナルドや丸亀製麵を展開するトリドールホールディングスなどは、アプリで簡単にアンケートに答える仕組みを開発して、積極的にお客様の声に耳を傾けて、商品やサービスの改良改善につなげています。
コロナ禍の中でも絶好調のユニクロを展開するファーストリテイリングでも、お客様の商品やサービスへの満足度を高めるために、お客様の声を積極的に集めています。定期的に世界各地で顧客満足度を調査するとともに、Eコマースやカスタマーセンターを通してさまざまな情報を収集、分析し、商品やサービスの改善につなげています。
またユニクロは2011年から、お客様にウェブアンケートで、店舗スタッフの言葉遣いや身だしなみ、レジ対応とそのスピードなど、店舗サービスに関する顧客満足度の調査を行っています。2020年度は26の国や地域のユニクロで、約513万件の意見を収集し、お客様の満足度は96%という結果だったそうです。
私が先日利用したレストランでも、「お客様のご意見をお聞かせください」というB6サイズのアンケート用紙がテーブルに置いてありました。
内容はというと、
利用日時、その店を知ったきっかけ、来店回数、サービス・接客の評価、料理についての評価(提供時間、ボリューム、価格、味、店内の清掃、メニューの希望)、次回の来店意向、その他自由回答、性別、年代、職業となっています。
大手企業のようにアプリを開発することもなく、簡単なアンケート用紙なら、今すぐにでも作ることができます。
お客様の声を積極的に集めて、それを分析することで、あなたのお店の強みや弱みがはっきりしてきます。その上で、強みをどんどん伸ばしていくことで、自然とあなたの店を好き!と言ってくれるファンが徐々に増えていきます。ファンづくりはお客様の声を集めて、真摯に受け止めることからスタートします。