体験消費時代のマーケティングヒント

2022-08-01 15:58:00
「メタバース」入門。

みなさんこんにちは、和田康彦です。

 

このところ毎日のようにメタバースという言葉を目にするようになりました。今日202281日付の日本経済新聞でも、住友不動産がメタバースで住宅販売をスタートするという記事が掲載されていました。

 

ところで、最近よく見たり、耳にする「メタバース」という言葉、みなさんは具体的に説明することができますか。

 

今日は、超入門編ということで、「メタバース」とは何ぞや?ということをわかりやすく説明していきたいと思います。

 

▪メタバースの語源とは。

メタバース(metaverse)という言葉は、meta(メタ/超越、高次の)とuniveres(ユニバース/宇宙)を組み合わせた造語です。

 

1992年に登場したSF小説が起源といわれており、2000年代に登場した「セカンドライフ」がメタバースの走りとされています。

 

また、フェイスブックが2021年社名を「メタ」に変更したことから、一躍メジャーワードの仲間入りをするようになりました。

 

▪メタバースでできること。

まだまだ実験段階にあるメタバースですが、今後は、今リアルでしていることがどんどんメタバースに置き換わっていくかもしれません。

 

例えば、エンタテインメント分野では、SDゲームや映画、音楽ライブやテーマパークをメタバース上で楽しめるようになります。

 

また、ふだんの暮らしの中では、不動産の売り買いや家具の購入、ニュースや広告を見ることがメタバース上でできるようになりそうです。

 

ショッピングもメタバース上で、アバターの服や靴を購入したり、リアル商品を購入することもできます。

 

そして、仮想空間で会議をしたり、NFT(非代替性トークン)を活用して、デジタルでつくったアートを売買できるようにもなります。

 

このようにメタバースは、インターネットの仮想空間でいろいろなことができるようになる仕組みといえます。

 

▪ヘッドマウントディスプレイとアバター。

メタバースを楽しむためには、多くがヘッドマウントディスプレイ(HDM)という装置を頭に着けて、自分自身のキャラクター=アバターで仮想空間に入り込みます。アバターは、オンラインゲームなどの仮想空間で、自分の「分身」として動くキャラクターを指します。親しみやすいように、マンガ風にデフォルメされたイラスト調の絵柄にすることが多く、現実世界と同じように、出会う人と会話をしたり、物を渡したりすることができます。

 

アバターはコントローラで動かし、他のアバターと音声で会話し、コミュニケーションをとることができます。

 

▪バーチャル店舗でのお買い物。

自分のアバターが客としてお店に入ると、アバターに扮したお店のスタッフが迎えてくれます。実はこのアバターは、お店のスタッフが操作しているんですね。

 

スタッフのアバターは、リアル店舗で扱っているファッションを着て接客してくれるので、客のアバターはコンピューターグラフィックスで再現された商品を手に取り、いろいろな角度から見ることができます。

 

そして気に入ったら、オンラインショップの画面に行き、商品を購入することができます。

 

バーチャル店舗では、離れたところにいる友達と一緒に買い物することもできます。都合の良い日時を決めてお店に行き、アバターでお互いにおしゃべりしながら商品を見ていると、まるでお店にいるかのような感覚で買い物することができます。

 

商業施設を再現する動きでは、三越伊勢丹ホールディングスや大丸松坂屋百貨店が衣料品や化粧品を販売するなど、小売りでの取り組みが相次いでいます。

 

▪メタバースは街もつくりだす。

街づくりでは、「バーチャル渋谷」が良く知られていますね。渋谷の象徴にもなっているスクランブル交差点などをリアルに再現。たくさんの人がアバターになって街歩きを楽しむことができます。ハロウィンには、イベント等も開催されて、仮想空間で渋谷の街を堪能することができます。

メタバース3.jpg

 

▪音楽ライブに参加する。

大勢の観客一人ひとりがアバターでライブに参加できます。バーチャル空間の中で拍手をしたり、飛び跳ねたりと思い思いのカタチでライブを楽しめます。まるで他の参加者と同じ空間にいるような一体感の醍醐味はリアルなライブにも引けを取りません。

 

▪アバターで会議に参加する。

マイクロソフトのチャットアプリ「チームズ」では、今年仮想空間で会議ができるようになる予定です。また、メタバースにある土地を購入して自由に建物を建てられるようになったり、メタバースにある観光地をアバターになって巡る「アバターツアー」も始まっています。

 

▪デジタルでつくったアートの売買も。

メタバースでは、デジタルでつくったアートの売買もできます。非代替性トークン(NFT]というブロックチェーン(分散型台帳)の仕組みを使って、作品に関する情報や改ざん、コピーできないように記録して唯一無二を証明できるので、売買する上での不安もありません。

 

▪デジタル技術の進化とメタバース。

コンピュータグラフィックス(CG)や仮想現実(VR)などのデジタル技術の発展により、仮想空間の魅力はどんどん高まっています。

 

メタ(旧フェイスブック)は2022727日十28日の二日間、メタバース(仮想空間)の推進を目指す大規模イベントを日本で初めて開きました。ソフトバンクや大日本印刷(DNP)など約30の企業・団体が参加し、働き方やエンタメといった幅広い分野で新サービスを披露。

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ソフトバンクはプロ野球の福岡ソフトバンクホークスの本拠地である福岡PayPayドーム(福岡市)を仮想空間に再現した取り組みを披露するなど、各社のメタバースの取り組みは年々熱を帯びてきています。

 

▪今後の課題と可能性。

一方で、メタバースが今後普及していくためには、ヘッドマウントディスプレイがまだまだ高価であったり、重くて長時間の使用が難しいなどの課題も多くあります。

 

しかし、カナダの調査会社エマージェン・リサーチはメタバース関連産業の市場規模が28年に82895千万ドル(約110兆円)と、20年の20倍弱に拡大すると予測しています。

 

 

以上、メタバース入門ということで、メタバースについてわかりやすく解説してきました。インターネットビジネスでは、日本はアメリカのGAFAなどの企業に後塵をとってしまいましたが、メタバースでは世界の市場リードしてほしいと思います。