体験消費時代のマーケティングヒント

2021-02-14 16:36:00
ニューノーマル時代は、生活者に支持されるブランディングがますます重要になる。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

先日のコラム「2020年の家計調査から読み解く生活者心理」2020年家計調査から読み解く生活者心理。 - 「生活者視点マーケティング」 Lifevalue Lab. (womanmarketing.net)でもお伝えしましたが、新型コロナウイルスへの感染防止で外出を控える動きや在宅勤務が広がり、自宅で過ごす時間が増えたことで消費者の行動は大きく変化しています。

 

総務省の家計調査では、202012月の消費支出のうち食料では冷凍調理食品やチューハイ・カクテル、即席麺などが前年同月を上回りました。

 

また、加湿器や空気清浄機を含む冷暖房用器具、ゲームソフトなども増加しています。

 

20年の食品スーパーの売上高(既存店)は、家庭で調理する「内食」需要の高まりなどで前年比5%増加。即席麺大手の日清食品ホールディングスの20412月期連結決算は純利益が前年同期比41%増と過去最高となり、任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」は大ヒットしました。

 

一方、家計調査では航空や鉄道などの交通費、パック旅行費、映画・演劇などの入場料、食事代、口紅などへの支出が大きく減少。巣ごもりの恩恵を受ける食品メーカーも、飲食店やホテル向けは落ち込んでいます。

 

また、本日2021214日付日本経済新聞では、スーパーに並ぶ商品の種類が減っていることを報じています。

 

日経POS(販売時点情報管理)のデータによると、2020年に食品・日用品の7割の品目で商品数が減少したとのこと。新型コロナウイルス感染を警戒して、生活者の間に、事前に決めたものを短時間で買って帰る傾向が広がり、定番商品が強さを発揮。小売店やメーカーは品ぞろえを絞っているそうです。

これにより、強い看板商品の少ないメーカーが苦戦を強いられるなど、業界地図に異変が起きる可能性があると伝えています。

 

電子チラシ「Shufoo!」を手掛けるワン・コンパス(東京・港)が2012月から実施したアンケートでは、スーパーでの滞在時間が「20分未満」という回答が41%に達し、コロナ前より11ポイント高い結果に。「事前に買う商品を決めて購入」も3割とコロナ前の2倍に増加。買い物に出かける頻度も下がっています。

 

その結果、なじみがある定番の商品が選ばれやすくなっているそうです。

 

スーパーの販売情報を集める日経POS2012月のデータで主要な670品目(商品数100種以上)を調べると、口紅(18%減)、乳酸菌飲料(13%減)など67%の品目で商品の種類が減少。食品・日用品は多くの商品が小売店の棚を奪い合っており、淘汰が進んでいることが明らかになりました。

 

総務省の家計調査を見ると、消費支出(2人以上の世帯)は家での食事が増えた食料ですら回復がにぶいことがわかります。先行き不透明感で節約志向が続き、メーカーや小売店は商品数を増やしにくい環境です。もともと食品・日用品は消費者の関心を引こうと頻繁に新商品を投入し、商品数が多すぎ、短期間で消えていく商品が多いのも現実です。環境問題や持続可能な社会づくりが叫ばれる中、感染拡大が沈静化しても、商品の淘汰が続く可能性が考えられます。

 

つまり、ニューノーマル時代に企業が成長を続けるためには、生活者になじみのある強いブランドを育てていくことが重要な課題となるのです。