体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
総務省は、2月5日、2020年の家計調査結果を発表しました。概要は以下の通りです。
◆2人以上勤労者世帯の収入(月平均):60万9535円(前年比4.0%増、2001年以降最高)
◆2人以上世帯の消費支出(月平均):27万7926円(物価変動を除いた実質で前年比5.3%減、下げ幅は比較可能な01年以降最大)
◆2人以上勤労世帯の収入から支出にまわさなかった貯蓄額(月平均):17万5000円(比較可能な00年以降最高)
◆2人以上勤労世帯の可処分所得(月平均):49万8639円(前年比4.6%増)、内訳は消費が61.3%(前年比6.6%減)、貯蓄が35.2%(3.8%増)
今回の結果から、1人10万円の特別給付金の支給が収入を押し上げ、外出自粛に伴う消費支出の減少が、貯蓄額を押し上げたことがわかります。
次に消費支出とその内訳を見ていきましょう。
最も支出が増えているのは、家具・家事用品で前年比8.5%増。4年連続で増加しています。また、保険・医療も前年比2.0%増となっています。
一方で、支出が減っているのは、被服及び履物の18.9%減(7年連続)が最も大きく、次いで、教養娯楽費の18.6%減(2年ぶり)、教育費の10.5%減(2年連続)、交通・通信費の8.8%減(4年ぶり)となっています。
消費支出が増加した項目と減少した項目をもう少し詳しく見ていくと、増加した項目では
マスクなどの保険医療用品・器具(前年比19.1%増)
麺類(前年比15.1%増)
テレビ・パソコンなどの教養・娯楽用耐久財(前年比14.5%増)
酒類(前年比12.8%増)
自動車(前年比6.1%増)
など、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う予防関連や巣ごもり生活に関連する消費が大きく伸びていることがわかります。
一方、減少した項目では、
交通費(前年比49.8%減)
宿泊料(43.7%減)
外食(前年比28.2%減)
男子用シャツ・セーター(前年比21.4%減)
交際費(前年比16.5%減)
など、いずれも外出自粛に伴う項目が大きく減少していることがわかります。
このように、家計消費調査からは、社会状況や景気の変化による生活者の消費に対する気持ちを読みとることができます。
とはいえ、調査結果はあくまでも平均像を示しているものであり、消費支出が大幅に減少する衣服・履物の中でも、ユニクロを展開するファーストリテイリングやワークマン、しまむらといった低価格チェーン店はコロナ禍の中でも好調を維持しています。また、外食業界でもマクドナルドホールディングスやスシローは、テイクアウトや宅配などのサービスを強化することで売上を伸ばしています。
一日も早く終息を願いたい新型コロナウイルスの感染拡大ですが、コロナ禍の中でも業績を伸ばしている企業に学び、いち早く変化に対応していきましょう。