体験消費時代のマーケティングヒント

2024-05-13 10:52:00
女性客の心をつかむパッケージデザインとは。

みなさんこんにちは、和田康彦です。

 

5月といえば新茶の季節ですね。

子供のころ「夏も近づく八十八夜♪」という歌をよく口ずさんでいたことを思い出します。

 

八十八夜とは、立春から数えて、88日目にあたる日のこと。「夏も近づく八十八夜」と歌われるように、ちょうど新茶が出回る季節です。初物(はつもの)のお茶を飲むと、1年間無病息災で過ごせるとの言い伝えもあるそうです。

 

ところで、緑茶をはじめ、ほうじ茶や麦茶などの無糖茶カテゴリーの2023年出荷数は前年と同等で横ばいだったそうです。コンビニエンスストアやスーパーでも価格の安いプライベートブランドを販売するようになり、市場はコモディティ化していることがわかります。

 

いまやどのメーカーやブランドの商品も美味しく、機能的な価値は充実しており、差別化することが難しい状況にあるといえます。

 

そのような市場環境に中でお客様に手に取ってもらうためには、美味しさという機能的な価値だけでなく、新しい価値をつくることが重要です。

 

キリンビバレッジは、緑茶飲料「キリン生茶」の味わいもパッケージも刷新して202449日に新発売しました。

 

パッケージを見ると、生茶ロゴのサイズを小さくし、余白を多めにとった中にデザインされた雫形のモチーフが印象的です。

 生茶.jpg

キリンビバレッジの担当者によると、「持っているだけでなんかちょっとうれしい気持ちになる。そんな感覚的なデザインにすることで生茶を好きになってもらい、また飲みたいと思うリピーターを増やしていきたい」との願いから今回の新パッケージが誕生したそうです。

 

個性や自分らしさを大切にする消費生活者が増えている今だからこそ、緑茶を「持ち物=携帯するもの」と捉えて感覚的な価値を高めていくことがリニューアルの背景にあります。

 

発売前に新しいキリン生茶をもってコンビニや量販店に商品説明に行くと、特に女性から「これなら買いたい」という声が多く上がり、手ごたえも十分あったようです。

生茶2.jpg

 

機能的な価値だけで差別化できないコモディティ化の時代。特に女性客の心をつかむためには「可愛い!」「おしゃれ!」「センスがいい!」と感じてもらい、「好き」になってもらうための感覚的=情緒的な価値を創造していくことが重要になってきます。

 

参考文献:日経デザイン 20244月号