女性客の心をつかむヒント

2024/02/07

女性客の心をつかむキーワード②「発見」の場を提供して、ワクワク体験を楽しんでもらう。

女性客の心をつかむキーワード②「発見」の場を提供して、ワクワク体験を楽しんでもらう。

みなさんこんにちは、和田康彦です。

 

女性消費者は、今や消費の8割の主導権を握っていると言われています。

 

彼女たちは、ふだんは節約しながらも、自分たちが感じる楽しさや豊かさを享受できるものには積極的にお金を使う、メリハリ消費が得意です。単に安いだけでは買ってくれません。女性の好奇心を刺激して「ワクワク・ドキドキ」してもらうことこそが、女性客を増やしていくための鉄則です。

 

 

②「発見」の場を提供して、ワクワク体験を楽しんでもらおう。

 

●女性はショッピングのプロセスを楽しむことが上手!

女性と一緒に買い物に出かけると、あっちをウロウロ、こっちをウロウロ。買う目的もないのに、コスメショップを覗いたり、雑貨のお店を物色したり、100円ショップを隅々まで偵察したり、ウインドウディスプレイに目を奪われて試着したりと、本来の目的の売り場にはなかなかたどりつきません。

 

一方男性の多くは、買いたいものが決まっていればすぐに売り場に直行して、できるだけ時間をかけずに目的のものを手に入れたいと考える人が多いようです。

 

つまり女性の方が、ショッピングの楽しみ方が上手であり、ショッピングのプロセスを楽しみたいと考える人が多いといえます。つまり女性にとってのショッピングはレジャーのひとつなんですね。

 

海外旅行に行っても、近くでマルシェが開催されていると聞けばすぐに直行。時間を忘れて、ご当地で栽培された果物や野菜に見入ったり、新鮮な魚介類にワクワクしたり、美味しそうなクロワッサンとカフェラテを片手に、現地の人とコミュニケーションしたりと、ショッピングを楽しんでいる女性たちの光景を良く目にします。

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●女性は直感的に面白いものを見つけることが上手!

女性の多くが雑貨屋さんが大好きなのも、商店街をぶらぶら歩くのが好きなのも、裏町の古い喫茶店を探すのが好きなのも、そこには「雑」な魅力があるからです。

 

雑は言葉を換えれば「異質なギャザリングス」であり、だから雑は面白くて楽しいのだと思います。雑の中からいろいろな気づきや発見があり、その瞬間瞬間が、とても楽しくてワクワクする時間に生まれ変わるのです。

 

いつも新たな発見がある売り場づくりで、女性客にワクワク体験を楽しんでもらおう!

いつ行っても品ぞろえに変化がなく、驚きや感動の無いお店はお客様に飽きられてしまいます。一方で、いつ行っても、新しい発見や感動や驚きがあるお店には、たくさんの女性客が訪れて好業績をキープしているところが目立ちます。

 

●独自の品揃えと活気あるお店の雰囲気が女性客に人気「カルディコーヒーファーム」

 

「コーヒー豆や世界各国の珍しい食材、日本の隠れた名品などを所狭しと品揃えしている「カルディコーヒーファーム」。

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MD NEXT2022年に行った調査で、直近半年以内にカルディで買い物経験がある1419人に「カルディの好きなところ」を尋ねると、「独自商品が多い」67.9%)がどの年代も最も多く、「買い物が楽しい」63.6%)がそれに続き、「色々な国のお菓子や食品が売っていて見ているだけで楽しい。値段が高いので、少し贅沢をしたい時に購入している(40代女性)」「スーパーだと必要な物を買うが、カルディならあまり使わなそうだけど面白い、珍しいと感じたら買ってしまう。余計な買い物が楽しみ(30代女性)」といった、独自性がある商品や、活気があふれるお店の雰囲気が、女性の支持を集めていることが明らかになっています。

 

このように「カルディ」は、独自性やトレンドを押さえた商品を取り扱い、他のスーパーでは手に入らない、輸入食材やお菓子などが手軽に手に入るお店として、多くの女性に広く認知され支持されています。

 

また、味に対する評価はもちろん、店内で買い物をする楽しさや、驚きや発見をもたらし、「カルディに行くと面白い商品に出会える」と、期待しながら買い物をしている人が多く、独自のポジションを確立して、女性客の心をぎゅっとつかんでいることが見えてきます。

 

●五感を刺激するアミューズメント売り場で女性客を惹きつける「ドン・キホーテ」

一方で、日用品から高級ブランドまで顧客の要望に応えた豊富な品ぞろえと安さを武器に圧倒陳列という独自の手法で提案する「ドン・キホーテ」

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同社が発行する独自の電子マネー「majica」のアプリ会員数は1100万人を超え、全体で客の39%が、クレジットカードや「PayPay」などのコード決済ではなく、majicaで支払っています。

 

そのうち6割以上を女性客が占めており、女性に支持されていることがよくわかります。

 

ドン・キホーテを運営する、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、1989年のドン・キホーテ1号店(府中店)出店以来、34期連続の増収営業増益を達成。ドン・キホーテが目指すのは、ワクワク・ドキドキしながら買い物を楽しむ「非日常的エンターテインメント型店舗」です。

 

そのビジョンを実現するために、

    日用品や食品、家電製品から高級ブランド品まで扱う豊富な品揃えと、多様な立地での店舗展開・長時間営業という「コンビニエンス(便利さ)」、

    近隣他店に対して競争優位性が高い価格設定を行い、お客さまが思わず笑顔になる「驚きの価格」を実現する「ディスカウント(安さ)、

    圧縮陳列や手描きPOPなど、五感が刺激されるような空間演出で「お買い物の楽しさ」を提供する「アミューズメント(面白さ)

3つのコンセプトに取り組んでいます。

 

ドン・キホーテと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ジャングルのような非効率な売り場づくりではないでしょうか。メーカーから廃番品などを安く仕入れた“訳あり品”を店頭に並べ、掘り出し物や新しい発見がある「宝探し」感を演出。安さを強調した手書きの「POP洪水」で衝動買いも促しています。また天井に届きそうな位置まで商品を陳列する「圧縮陳列」もワクワク感を醸成しています。

 

また経営破綻した長崎屋を2007年に買収したことが転機となり、精肉や鮮魚の販売ノウハウを吸収。雑貨や日用品に加えて生鮮食品も扱う「MEGAドン・キホーテ」の展開をスタートすることで、家族連れなどの顧客がしだいに増加。かつては男性客が6割を占めていましたが、今は7割が女性客と男女比率が逆転しています。

 

また、最近の好調な業績を支える屋台骨として欠かせない存在になりつつあるのが、「ド」という大きなロゴを冠したプライベートブランド(PB)「情熱価格」の商品群です。

 

誕生したのは09年ですが、212月に全面刷新を敢行。単にコストパフォーマンスの高さを売りにするのではなく、手に取った瞬間にワクワクしたりドキドキしたり、驚きを感じるブランドとしての位置づけを強めました。

 

PBを、顧客と一緒に創り上げるピープルブランドとして再定義して、独創的な商品だけを世に送り出す開発体制へと改めた結果、ラインアップは、乾電池といった小さいものから、電動自転車のような大型なものまで実に200近いジャンルに及びます。1年間で店頭に投下する商品数は、食品だけで300アイテム以上もあるというから驚きです。

 

リニューアル後の情熱価格が女性客の心をわしづかみしている背景には、常識破りの商品パッケージデザインがあります。どの商品にも特徴を説明する印象的な長文コピーがあしらわれていて、読んでいるだけでもワクワクする気持ちにさせてくれます。

 

例えば、22年の年間売り上げトップの「素煎り ミックスナッツDX(デラックス)」の場合、半分近いスペースを割いて「ナッツを愛しすぎた担当者が独断と偏見で決めたアーモンド・カシューナッツ・くるみの黄金の究極比率 食塩・油を使わないこだわり」とでかでかと書かれています。

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このように商品知識がなくても、ぱっと見た瞬間に心に刺さるようなメッセージをあしらい、通常なら大きく配置する商品名を脇役にしてしまうのがドンキ流なんですね。

 

ドン・キホーテが情熱価格で次々にヒットを生み出している背景には、その商品は何が売りなのかを『What3カ条』で、そしてどう顧客に伝えるのかを『How3カ条』で開発関係者と共有していることがあります。

 

具体的にはWhat3カ条は、(1)しっかりターゲットを見定められているか、(2)顧客のメリットに還元されているか、(3)世の中の当たり前ではなく独自性があるかどうか。

 

そしてHow3カ条は(1)顧客のメリットを表現できているか、(2)アイキャッチ力があるか、(3)ストーリーに納得感があるか──。これらの6カ条こそが、PBでヒットを生み出す源泉になっているのです。

 

また開発担当者は、きっとなにか面白い商品に出合えるに違いないと考え、驚きを求めてドンキに来店してくれる客にさえ受ければ良いと割り切っています。必ずしも万人受けする必要はなく、とがる、刺さる、突き抜けるの3拍子がそろった商品をひねり出すことを常に考えているそうです。

 

まさに、いつも新たな発見がある売り場づくりで、女性客にワクワク体験を楽しんでもらおう!という姿勢が、34期連続増収営業増益を達成する源泉となっているといえます。

 

マンネリこそ、お店を衰退させる大きな要因です。あなたのお店でも、常に新しい発見がある売り場づくりに取り組みましょう。