女性客の心をつかむヒント

2024/02/05

女性客の心をつかむキーワード①「お試し」体験で購入前の不安を取り除く。

女性客の心をつかむキーワード①「お試し」体験で購入前の不安を取り除く。

みなさんこんにちは、和田康彦です。

 

女性消費者は、今や消費の8割の主導権を握っていると言われています。

 

彼女たちは、ふだんは節約しながらも、自分たちが感じる楽しさや豊かさを享受できるものには積極的にお金を使う、メリハリ消費が得意です。単に安いだけでは買ってくれません。女性の好奇心を刺激して「ワクワク・ドキドキ」してもらうことこそが、女性客を増やしていくための鉄則です。

 

 

1.「お試し」体験で、購入前の不安を取り除こう。

 

●ひとは「得」よりも「損」を大きく感じる

みなさんは、「損失回避の心理」ということばを聞いたことがありますか。

 

損失回避の心理というのは、人間は損と得を同じ天秤にかけるのではなく、同じ金額なら利得よりも損失を大きく感じてしまうという現代消費者の心の傾向を表したことばです。

 

例えば同じ1万円でも、1万円をもらったときの喜びや満足感よりも、1万円を失ったときの苦痛や不満足のほうを大きく感じてしまう、という心理傾向のことをいいます。

 

そこで、人間は損失を回避しようと考え、行動するようになる。これを行動経済学では損失回避性と呼んでいます。

 

先行きが不透明で不確実な時代には、これまで以上にお客様は「今もっているものを失いたくない」「損をしたくない」という損失回避の心理が広がっていくのではないでしょうか。

 

●女性は特に「買い物で失敗したくない」という思いが強い

古くから家計を預かっている女性にとって、「買い物で失敗して家計に損失を与える」ことは直接自分の身に振りかかかってくることから、買い物にはとても慎重です。「ムダなお金を使ったらどうしよう」「良くない商品だったらどうしよう」「美味しくなかったらどうしよう」…このような「買い物では決して失敗したくない」という女性の気持ちは、バブル崩壊以降、給料が増えない失われた30年の間にますます強まっているといえます。

 

そのため、スマートフォンが普及した昨今では、レビューやクチコミを頼りに商品やサービスの評判を確認しながら最終決断を下すことが当たり前の購買行動として定着してきました。

 

つまり、女性客の心を動かすためには、購入時の不安を解消してあげることがとても重要になります。

 

●「試食」「試着」といった「お試し体験」が女性客の心を動かす

一方で、女性は攻撃的に売り込まれることをとても警戒しています。営業や接客販売でも、いきなり売り込まれると一気に引いてしまいます。

 

つまり、女性のお客様にはどんな時も「安心感」を与えることがとても重要です。

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例えば、デパートやスーパーでの試食や試飲は、女性客の好奇心をちょっと刺激して安心して買ってもらうための入り口になります。お客様との会話が生まれ、商品の感想を聞くこともできます。

 

また女性は、試食や試飲をすると「買わないと何となく気が引ける」という気持ちになる傾向があり、結果としてついつい買っていただけることにつながります。

 

決して新しい手法ではありませんが、試食や試飲サービスであなたの商品にまず興味を持ってもらいましょう。お客様の舌で美味しさを確認してもらうことができれば、女性客は安心して財布のひもを緩めてくれるでしょう。

 

その他にも、たとえばブティックなどでは試着をしやすくしてあげるとか、試着室を広く、居心地がいいようにすると売上も増える傾向があります。

 

あなたのお店でも「お試し」サービスを上手に取り入れて、女性客に安心して買ってもらえる仕組みをつくっていきましょう。

 

●「無料お試しセット」の草分け、ドモホルンリンクルの93%はリピート客

毎日のように見聞きする再春館製薬のドモホルンリンクルのCM、あなたもきっと見たことがあると思います。今では、健康食品や化粧品通販では「無料お試しセット」や「送料無料」等は新規顧客開拓のための常套手段となっていますが、再春館製薬所のドモホルンリンクルは「無料お試しセット」の草分け的存在といえます。

 

このサービスは、ドモホルンリンクル全8点を3日間分たっぷり使用することができて、自分自身の肌で実感してから購入できるという内容で、通信販売が抱える新規購入の不安リスクを払拭。今では93%の顧客が3回以上のリピート客になっています。

 

売上も順調で2023年3月期は272億円。熊本県に本社を置く再春館製薬所は、県内の優良企業として就活生にも人気が高く、女性社員が8割を占めています。まさに、女性従業員自らが、一人一人の女性顧客の気持ちに寄り添い、満足と感動を届けながら、末永いお付き合いをしている企業の代表例です。

 

●化粧品やグルメを無料体験できる専門店が人気

202211月、東京原宿に体験型美容テーマパーク「Tierland」がオープンしました。このお店は、10代後半から20代のZ世代が対象。韓国・台湾・中国の約30社・100種類の商品の中から好みの商品を体験することができ、アンケート回答やSNSに商品レビューを書き込むと、無料でネイルやセルフエステ、肌診断などが受けられるというものです。

 

消費者にとっては最新の商品をお試しできる場として、企業は顧客のリアルな声を収集してマーケティングにつなげる場として活用しており、20236月には大宮にも2号店がオープンしています。

 

一方、全国の食品メーカー約100種類の商品を無料で味わえるのは、東京目黒区に20232月にオープンした試食の専門店「試食屋」です。

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味やこだわりで勝負する全国の食品・飲料の小売り業者による消費者体験型ショップで、販売する場所ではなく「体験する場所」をコンセプトにした、インターネット時代の新たな取り組みとして注目を集めています。

 

あなたのお店でもお客様が気軽にお試し体験出来る企画を考えてみよう!

全国の20-30代の働く独身女性に聞いた「商品のお試しに関する調査/eBayJapan合同会社調べ」では、お試しのメリットとして「納得して購入できる」をあげた人が7割以上、またお試しがきっかけで「購入するつもりはなかったが購入した経験がある人」も7割を超える結果となりました。

 

あなたのお店でも、新メニューが出来たら事前に試食してもらいお客様の意見を聞いてみる、新商品発売時には小分けした商品を試してもらう、気軽にお試し出来るテスターを商品の傍に置いておく、お得にお試し出来る特別セットを提供する、お試しクーポンをプレゼントする等々、購入前にお客様に安心していただけるお試し体験企画を考えてみてください。新規顧客の開拓に役立ち、お客様とのコミュニケーションも深まっていくでしょう。