体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは、和田康彦です。
日本企業の管理職に占める女性比率(20年)は13.3%、アメリカの41.1%、フランス35.5%に比べると驚くほど低い数字になっています。
また、177の国籍の駐在員に聞いた、外国人が住みやすい、働きやすい国2022調査結果を見ると、日本は52ヵ国、地域中47位。女性に限ると36ヵ国中最下位という結果になっています。
多様性を受け入れ、推進していくことが日本の成長に欠かせないといわれている中、まだまだ男性中心社会を抜け出せない理由は、日本企業や私たち一人ひとりが持っている様々なアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)にあるといわれています。
内閣府男女共同参画局が性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)について昨年に実施した調査では、20代男性でも4割強が「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」と考えています。
▪多様性を身につけたZ世代
とはいえ、Z世代といわれる現代の若者は、昭和に生きてきた私たち世代よりもずっと多様性を受け入れる考え方が身についてきていることは、喜ばしい限りです。
例えば、「家事・育児は女性がすべきだ」と考えている60代男性は34.4%、同女性は40.4%に対して、20代男性は15.9%、同女性は24.1%とぐんと少なくなっています。
また、「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先すべき」と考えている60代男性は27.2%、同女性は33.9%に対して、20代男性は13.8%、同女性は13.7%と、こちらの結果からも20代の若者の柔軟な考え方が見て取れます。
他にも「職場では、女性は男性のサポートにまわるべき」と考える60代男性は13.6%、同女性は31.6%に対して、20代男性は13.5%、同女性は14.4%と、20代は男性も女性も平等であるという意識が浸透してきていることがわかります。
このように、現代の若者は多様性の推進を妨げる無意識の偏見を持つ人の割合が少なく、自分たちが良いと思ったことは素直に柔軟に受け入れていく価値観が備わっているといえます。
▪レディース服を着こなす若い男性が増えている。
例えば、このところレディース服を着こなす若い男性が増えていることをご存じでしょうか。女性がメンズ服を取り入れたコーディネートを楽しむ傾向は以前からありましたが、男性が女性服を選ぶという現象はここ最近の動きです。
理由は至ってシンプルで、メンズにはないデザインや色が豊富にあり、着てみたいと思うからだそうです。特にGUなどのファストファッションでは、売場にメンズ、レディースが同居しているため手軽に選びやすく、また価格も安いため挑戦しやすいという点もジェンダーレスファッションが広がってきている背景にあるようです。
また、韓国の人気アイドルグループ「BTS」のメンバーが、ピンクやフリルなどの洋服を着こなしていることにも影響されているようです。
楽天ラクマが調べたところ、レディースファッションアイテムカテゴリーの購入者に占める10代、20代の男性の割合が年々伸びていることがわかりました。今年10月単月は9.5%で2017年11月の3.9%に比べると、この5年で2倍以上となっています。
このような変化を受け、GUでは幅広いサイズを展開したり、同世代の男性スタッフがアプリでレディースのアイテムを着こなしたコーディネートを積極的に発信したりするなど、ジェンダーレスなファッションを求める新たな需要を掘り起こしています。
男だから、女だからという無意識の偏見は、今のZ世代といわれる若者からは薄れてきており、今後は男女の垣根を越えた新たな市場が生まれていくことが予想されます。
これから消費の主役のなるといわれているZ世代の心をつかむためには、私たちの心に潜んでいる無意識の偏見を取り除いていくことが大切です。