体験消費時代のマーケティングヒント

2022-09-27 15:58:00
顧客中心マーケティングの視点。商売は「ひと」を相手にしていることを忘れていませんか。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

▪商売は「ひと」を相手にしているビジネス。

商売をやっていて「儲かる」のも「儲からない」のも道理があります。その道理とは、商売とは「ひと」を相手にしているということです。

 

お客様、すなわち「ひと」が動いて、あなたの店に来て、商品を買ってくれる。だから、売上ができるのですね。

つまり、「ひと」が商いを成立させてくれているわけです。

 

ですから、商いを成立させるためにはまず、「ひと」にフォーカスする必要があります。

 

ひとにフォーカスするとは、「ひとの気持ちをつかむ」、「ひとの感情を動かす」ということです。そのためには、まずは、人間の心を理解することが大切です。

 

▪人間の心の習性を理解しよう。

今日のコラムでは、人間誰もが共通して持っている心の自然な傾向について理解を深めていきましょう。

 

面白くない本を読んでいるとき、何処からともなくとても美しいメロディーが流れてくると、私たちの心は自然にそのメロディーに魅かれていきます。

 

また、美しいバラの花が咲いていれば、自然にそちらに目が向きます。何の努力もすることなく、自然に目が向きますね。

 

このようなことは、常日頃、誰もが体験していることです。

 

つまり、人間の持つ心の自然な傾向とは、もっともっと喜びを見出したい、というものなのです。心は常により魅力のあるものを求めています。そして、より偉大なもの、美しいものに魅かれて動いています。

 

心は、一点に留まることなく、より満足をあたえるもの、エネルギーの大きい状態へと自ら進んでいきます。

 

また、もっともっと拡大したい、成長したい、進歩したいと願うのも、この心の自然な傾向です。

 

人類が文明を進化させてきたのも、「もっともっと」と願う、心の自然な傾向があればこそです。

 

進歩したい、拡大したいと願い、また、より喜びを与えるもの、満足を与えるものへと向かうのが、心の持っている自然の傾向なんですね。

 

一旦進歩し、満足、喜びが得られても、もしその状態に留まってしまうと、心は苦痛を感じます。飽きてしまうのですね。

 

画家は、一枚の作品を完成すると、その時点では満足しますが、しばらくすると、もっと素晴らしい作品に取り組もうとします。

 

どんなに美しいバラでも、それをずっと眺めていると、やがて飽きてしまいます。同じことを繰り返す単純作業では、せいぜい40分程度しか集中できないといわれています。

 

人間の心は、同じものや同じことでは飽きてしまい、もっと心を喜ばせるもの、満足を与えるものを求めて動いています。進歩が阻まれ、同じ状態が続くと心は苦痛を感じてしまうものなのです。

 

つまり、心は常により喜びの増大する方向、より美しいもの、魅力のあるものへと、自然に魅かれるのです。

そしてより一層成長し、拡大する方向へと向かうのです。

 

私たちの商売で考えると、顧客は常に自分のライフスタイルをより豊かにより便利により充実させたい、と願っていることを忘れてはいけません。

 

顧客に提供すべきは単に機能的に優れた商品ではなく、「生活をより充実させる商品」であり「生活をより向上させる商品」つまり、顧客のライフスタイルを充実させて、豊かに楽しく暮らせる商品なのです。

 

しかも、人間の心は同じものや同じことではすぐに飽きてしまいますから、私たち商売人は、常に顧客を喜ばせるものや満足を与えるものやことを提供し続けなければいけません。

 

顧客中心マーケティングの原点は、このような人間の心の習性をしっかり理解して、常に顧客を喜ばせ続けることに挑戦していくことなのです。