体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
日経リサーチ社は、コンシューマー(消費者)とビジネスパーソンの2つの視点から各業界を代表する600社の企業ブランドを多角的に評価・分析した「ブランド戦略サーベイ2022」を発表しました。
▪ブランド価値を高めるための5つの指数とは。
ブランド総合評価ランキングのベースとなる総合知覚指数(PQ)はコンシューマー、ビジネスパーソン各5つの評価項目で構成されています。調査ではまず、コンシューマーとビジネスパーソンそれぞれの評価5項目のスコアを測定し、それに基づいてコンシューマーのPQとビジネスパーソンのPQを算出。これを統合して総合PQのスコアを導き出しています。
コンシューマー、ビジネスパーソンに聞いた5つの評価項目は以下の通りです。
コンシューマー評価項目
① 自分必要度:自分にとってどの程度必要と感じるか。
② 独自性:他の企業とは違う独自性を感じるか。
③ 愛着度:その企業にどの程度愛着を感じるか。
④ プレミアム(ブランド/価格):どの程度他の企業と価格の差があってもその企業の製品・サービスを購入したいか。
⑤ 推奨意向:どの程度「ほかの人に薦めたい」と思うか。
ビジネスパーソン評価項目
① ビジネス有用度:仕事にどの程度役立つか。
② 独自性:他の企業とは違う独自性を感じるか。
③ 企業魅力度:その企業で働きたいと思うか。
④ プレミアム(ブランド/価格):どの程度、他の企業と価格の差があってもその企業の製品サービスを購入したいか。
⑤ 推奨意向:その程度「ほかの人に薦めたい」と思うか。
自分必要度(ビジネス有用度)、独自性、愛着度(企業魅力度)、プレミアム、推奨意向の5つの指標は、どれも顧客視点に立った、とてもわかりやすい項目です。
あなたの会社でも、ブランド価値を高めていくための社内の共通言語として、ぜひ有効活用していくことをおすすめします。
▪消費者評価の首位は「キューピー」
「ブランド戦略サーベイ2022」消費者からの評価では、キューピーが2年ぶりの首位となりました。その他、味の素、カゴメ、キッコーマン、ミツカン、ハウス食品、サントリーなど食品・飲食ブランドが順位を上げました。
出典:日本経済新聞2022年9月26日付朝刊
背景には、新型コロナ禍での健康志向や内食志向で、食品や飲食系ブランドが一段と身近になっていることがあります。
今回の調査では、消費者評価ランキング30社中19社が食品・飲食系ブランドが占め、19年調査の16社を上回る結果となっています。
首位のキューピーは、消費者の健康意識の高まりに呼応し、「BMIが高めの方へ」「血圧が高めの方へ」などと打ち出した機能性表示のドレッシングや惣菜の開発に注力。顧客視点に立った商品開発力が消費者に支持されています。
また「愛着度」でも、キューピー、味の素、カゴメがトップ3を占め、多くの顧客から愛されていることが分かります。
昨年の33位から19位と大きく順位を上げたヤクルトは、独自性の評価で急伸。21年に発売した乳酸菌飲料「Y1000」が、ストレスの緩和や睡眠の質向上に効果的と話題になり、スーパーや自販機で売り切れが続くほどの人気を集めました。
このように長引くコロナ禍が、企業ブランドの勢力図に大きな影響を与えていることが分かります。「健康」や「巣ごもり」「家充」が消費のキーワードになり、消費者ニーズを充たした企業がブランド価値を高めているわけです。
今年に入り、値上げが相次ぐ中、知名度が高く、ファンが多い優れたブランドの製品は、競合品よりも高い価格設定が可能で高収益を得やすいという強みがあります。
つまり、ブランド価値を高めていくことは、将来に渡って企業に利益をもたらす資産となります。
ブランド価値を高めていくためには、顧客の幸せを第一に考える「顧客中心マーケティング」が欠かせません。
顧客にとっての必要度、他の企業とは違う独自性、顧客が感じる愛着度、価格に対する許容度、人にも薦めたくなるクチコミ醸成力、この5つの指標を常に高める取り組みを社内に浸透させていきましょう。