体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
顧客中心マーケティングを推進していくためには、顧客のニーズを汲み取り、素早く問題解決していくことが重要です。
全国の地域生協が加入する日本生活協同組合連合会(日生協)の会員数は合算で2336万人。新型コロナ禍の巣ごもり消費の追い風で宅配販売高は、2019年比で15%増加の2兆1148億円。食品分野の宅配では最大級の売上を誇っています。
一見順風満帆のようにみえますが、深刻な課題も抱えています。
日生協に加盟する組合員の平均年齢は59歳と年々上昇。30代以下の組合員は10.5%で若い世代を取り込めておらずこのままでは先細りを免れません。
そこで、若い共働き世帯の組合員に日頃の悩みや行動を聞いてみると「毎日いちばん面倒だと考えているのは献立つくりで、通勤時や休み時間にスマホで注文している人が多い」ことが分かりました。
これらの声をもとに日生協では、約1500種類の料理を収め、レシピに必要な材料を簡単な操作で週1回宅配する「コープシェフ」と名付けたレシピサイトを開設しました。
現在は、東北から中四国まで全国23の地域生協が導入。家事時間を少しでも省力化したい女性に人気のサービスになっています。
生協といえば、かつては近所の組合員が一緒に商品を受け取る共同購入が主流で、そこでの井戸端会議が情報交換の場となり、コミュニティづくりや生協への愛着にもつながっていました。
しかしながら、現在は宅配が7割以上を占め、かつてのコミュニティも消滅。日生協では、コミュニティを復活させるため、組合員限定のSNS(交流サイト)の開発にも着手。2022年度中に一部の機能を導入する計画です。
例えば、おすすめ商品について語り合うチャット機能や、工場見学やイベント告知などの参加機能、「電球を替えて」「掃除をお願い」といった組合員からの相談の仲介機能も考えているそうです。
一人ひとりのお客様と深く長くお付き合いしていく仕組みづくりこそがファンを増やし、企業が成長していくための鍵になります。
あなたの会社でも、お客様の声を聞く仕組みや対話していくための仕組みを考えていきましょう。