体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは、和田康彦です。
ファッション業界全般が苦戦している中、ファッションEC「ゾゾタウン」を展開する株式会社ZOZOが圧倒的な存在感を示しています。
同社の2022年3月期の売上は、前年比12.8%増の1661億9900万円、営業利益は同12.5%増の496億5600万円と過去最高を更新しました。
過去1年間の購入者数は、2022年3月末時点で1041万人と1000万人を突破。ファッションECの中でゾゾタウンの認知度、ブランド力が更に高まっています。
▪「自分が好きなものを、より多くの人に届けたい」
ZOZOといえば、創業者の前澤友作氏の顔を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。現在もファウンダーとして関わる前澤友作氏は、本業のミュージシャンの傍ら、趣味の輸入レコード・CDのカタログ販売を自宅で始めたのをきっかけに、アパレルにも進出し、巨万の富を手にする大成功を納めました。
その原点にあったのが、「自分が好きなものを、より多くの人に届けたい」というファッション商材に対する深い愛情です。
従業員を採用する基準も、たとえプログラマーであっても「ファッションが好きか」ということが第一条件。ファッション好きでなければ、ファッションが好きなお客様のことを理解できないという考え方が背景にあります。
▪ファッション好きな人に「うれしい」を次々に
創業後は、ITを活用してこれまでの常識にとらわれない、奇抜で大胆な施策を次々に打ち出してきました。
例えば、ファッションを楽しむためのボトルネックだった寸法計測を最小化した「ZOZOSUIT」や「ZOZOMAT」、自分の体型に近い人や憧れの人の服装スタイルを真似したいという欲求に応えたコーディネイトアプリ「WEAR」、ファッション好きな人に少しでも負担を少なくファッションを楽しんで欲しいという思いからスタートした値引きやツケ払いサービスなどなど。
上手くいかなかったサービスや出店企業から反発された施策もありますが、すべては、ファッション好きなお客様にうれしいと思ってもらえる商品やサービスを提供していきたいという前澤氏の強い思いがあったのではないでしょうか。
前澤氏の社長退任後、2019年からあとを引き継ぐ澤田社長も前澤氏の遺伝子を継承しつつ、次々にお客様が喜ぶサービスを展開しています。
例えば、肌の色を計測し似合うベースメイクを提案する「ZOZOGLASS」、高度なARとAI技術を駆使して、鏡を見ながら商品を試すような感覚でZOZO アプリ上で 化粧品を試すことができる「ARメイク」など。女性が喜ぶサービスを提供することでコスメ分野でもその存在感を示しつつあり、2022年3月期の取扱高は57億円、今年度は100億円を目指す勢いです。
「ファッション好きな人に、ECモール「ゾゾタウン」でもファッションやコスメを楽しんでもらいたい。そのためにはリアル店舗でお買い物する以上のワクワク感や利便性を付加していかなければいけない。」そのような熱い思いが現在のZOZOの躍進を支えてきました。
「自分たちが提供する商品に深い愛情を持ち、その商品でたくさんのお客様を喜ばせたい」その気持ちが、女性客に好きになってもらうための原点となります。