体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは、和田康彦です。
ネット通販の競争力は配達までの時間が左右するといわれる中、食品や日用品を30分など「分単位」で届けることをうたう「クイックコマース(Qコマース)」が注目されています。
クイックコマースは欧米で生まれた言葉で、注文から数十分での配達をうたう食品宅配のことを指しています。
Zホールディングスでは、最短15分で食料品や日用品を配達するサービスをスタートすることを発表しました。2022年度中に数十店の配達専用店舗を展開。東京23区全域で利用できるようにする考えです。
同社は2021年7月から都内の一部地域で実証実験をしていましたが、本格的に「Yahoo!マート by ASUKUL」と名付けて事業化します。
レトルト食品やトイレットペーパーなどZホールディングス傘下のASUKULが扱う1500種類の商品を対象に、同傘下の料理宅配大手の出前館の配達網を活用。利用者は出前館のアプリから注文。注文を受けた商品を配達専用店舗で袋詰めし、出前館の配達員が届ける仕組みです。
コンビニ業界でも宅配サービスに注力しており、ローソンは「ウーバーイーツ」などと提携し2021年度中に3000店舗、セブン-イレブン・ジャパンも全国2万店規模に広げる計画です。
米アマゾン・ドット・コムも有料会員向けサービスとして、「ライフ」や「バロー」など食品スーパーと組んで、生鮮品、日用品を最短2時間で届けるサービスや生鮮食品などを当日配送する「アマゾンフレッシュ」を展開しています。
家電業界でも、ヤマダデンキは「ヤマダ高速便 プレミアム配送」というサービスを2021年6月に福島県の一部地域で開始。ECサイトで注文した商品を最短90分以内に届けます。
ヨドバシカメラは東京都23区全域などの都市部や、一部の政令指定都市で最短2時間半以内で届ける「ヨドバシエクストリーム」を展開。プリンターのインクなどオフィス向けの商品や文房具といった消耗品需要を取り込みつつあります。
宅配便全体の市場は伸びており、国土交通省の調べでは、2020年の宅配便取扱個数(トラック)は、47億8400万個で前年度から12%増加。
「今すぐ欲しい」という需要も潜在的に大きく、配送の早さを競う「クイックコマース」市場は今後も大きく伸びていくことが予想されます。
小さな小売店や飲食店も手をこまねいているのではなく、昔からの御用聞きの発想でお客様に自ら近づいていくことが重要です。