体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
2021年12月8日付日経MJ紙に、セブン&アイホールディングス名誉顧問 鈴木敏文さんのインタビュー記事が掲載されていました。
今日はその中から、中小企業の経営にも役立つ内容を抜粋してお届けします。
・セブン―イレブン・ジャパンが日本に根付いた理由は、「常に変化し続けたこと」。人間にはどうしても飽きが来る。だから人間を飽きさせないことが何よりも重要。誰もが同じことを続けてしまうが、同じことを繰り返してはいけない。
・「他人が反対することに価値がある。」78年に発売したおにぎりも、当時は『おにぎりは買うものではなく、家庭でつくるもの』と言われて社内で反対された。
・かつては消費者の多くが安さに価値を見いだしていた。しかし現在は質の時代に入っている。もちろん安さも必要だが、新しい商品が重要だ。価格が同じであれば、質を追求しなければお客様に手に取ってもらえない。価格の時代から、質の時代に入った転換をプライベートブランドのセブンプレミアムがつくった。
・価値を高めることを追求する考え方にほんのちょっと変えるだけで全然違ってくる。見方を変えることをしなければいけない。
・安さの追求から質の追求になっても、常に新しいことに挑戦し続けなければならない。セブンイレブンは、原料と製法にこだわった『セブンゴールド 金の食パン』を2013年に発売した。モノが豊富な時代か、モノが不足している時代かで考えなければいけない。(おにぎりや食パンといった)伝統的な商品も新しく生まれ変わらせることはできる。
・セブン-イレブンは、メーカーがどうとか、競合がどうとかは考えなかった。お客様に焦点を絞って常に考えてきた。多くの小売りは価格や同業他社を考えながら競争してきたがそうした考え方の時代ではない。
・コンビニなどお店で大事なのは、安心感。商品についてちょっと聞きたいときに店員がいることは心強い。商売は人を相手にするからこそ、人の心理をつかまなければいけない。消費は心理学。やっぱり人間相手の商売だから、人間の心理を追求することが重要だ。
・無人コンビニの売り上げは落ちるのではないだろうか。人件費は下がっても、それ以上に売り上げが下がるとみている。
いかがでしたか。
イトーヨーカ堂の子会社として、1974年5月、セブン-イレブンの第1号店が東京都江東区豊洲にオープンしてから47年。2020年2月期のチェーン全店売上は5兆102億円、経常利益2622億円、店舗数は21,167と日本のコンビニエンスストア業界をリードする存在に成長してきました。
その大躍進をけん引してきた鈴木名誉顧問の一言一言には、説得力があります。鈴木氏は一貫して「小売業は変化対応業」「消費は心理学」と言い続けてきました。
今回のインタビュー内容からも、鈴木氏のブレない思想が伝わってきました。「お客様に焦点を絞って常に考えること」「価値を高めることを追求すること」「常に新しいことに挑戦し続けること」の3点は、時代が変化しても、小売業が繁盛していくための普遍的な原理原則です。
さらに、セブン-イレブンでは、「品揃え」「鮮度管理」「クリンリネス」「フレンドリーサービス」をお店の基本4原則に定めています。
商品をつねに新鮮な状態に保つこと、お客さまが欲しい商品を欲しいときに揃えること、店内をいつも清潔な状態に保つこと、お客さまに気持ちを込めて接客すること。これらの4原則を忠実に実行し、つねにお客さまの期待に応えられるお店を目指しています。
また接客については、新しい商品やサービスのご案内など、お客さまへの積極的なコミュニケーションを行い、地域のお客さまに愛されるお店づくりを目指しています。
さあ、あなたのお店も、基本的なことを徹底しつつ、常にお客様の立場に立って新しいことを提案し、お客様の期待に応えていきましょう!