体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
2021年12月8日付日経MJ紙に、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんのインタビュー記事が掲載されていました。
今日はその中から、中小企業の経営にも役立つ内容を抜粋してお届けします。
・ファーストリテイリングの経営理念の冒頭に謳っている「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」は、ドラッカーも提唱する商売の原点である。
・消費者の価値観が多様化し、ヒット商品が生まれにくい時代は、ゼロベースで全部をやり替えることが重要である。
・ヒット商品を生み出すことを考える前に、顧客が何を求めているかを探すことが先だ。
・毎日の商売のコミュニケーションの中から、お客様の本音を聞き、商品を作ることが大切である。
・自分たちの強みは何かを把握し、それを生かすことが大事だ。多くの企業は、本質をつかまずに、表面の化粧部分だけを見ている。
・デジタル化やグローバル化が進む中、小売業や製造業、国や地域といった垣根はなくなり、業態を超えることが当たり前になる。
・付加価値を生み出す最後は、人間の力だ。
・ファッションはもともと情報産業であるが、本質ではない表面的な情報はもっと整理しなければならない。
・小売業の勝負はこれから。中小企業にこそチャンスがある。
・中小企業も、日本に閉じずに世界にどんどん出ていくべき。海外に出たほうが簡単に成功できるかもしれない。それには、「日本一」といえる何かと、大成功したいという強い思い、思い切ってやる勇気と誠実さが重要だ。
いかがでしたか。
今や、2兆円を超える売上げで世界第3位のアパレル企業に君臨するファーストリテイリングも、1949年山口県宇部の商店街で紳士服販売業を始めたときは個人商店でした。
その後、1984年に広島市内にユニクロ1号店を開業。広島随一の繁華街に出店し、若者の集客を図ります。1989年には、社名をファーストリテイリングに変更。当時、日本国内にSPAを標榜するアパレルメーカーはなく、ファーストリテイリングが国内企業としては最先発となりました。
そして1994年にはユニクロ国内100店舗を達成し、同年、業容の拡大によって広島証券取引所へ株式を上場。その後も全国のロードサイドへの出店攻勢を続けます。
1998年には、東京原宿に出店し、都心進出を図ります。当時目玉商品として位置づけたフリース商品は「安くて品質が良い」という評判を生み、ファーストリテイリングの業績を底上げしました。この結果、2000年には売上高2289億円、営業利益606億円、営業利益率26%を達成し、アパレル業界では驚異的な水準を記録。この成功により、ユニクロは日本を代表するアパレルブランドとして認知され、ファーストリテイリングの採用するSPAというビジネスモデルも市民権を得たました。
その後は、2001年ロンドン進出、2006年ニューヨークに旗艦店を新設するなど、2010年代を通じてグローバル展開を積極化させ、同社の売上高の伸びを海外事業が牽引する形となりました。
その後も成長を続け、2021年8月期決算では、売上収益は前期比6.2%増の2兆1,329億円、、営業利益は同66.7%増の2,490億円とコロナ禍の中でも大躍進を遂げています。
その間、柳井氏は、「店は客のためにあり、店員とともに栄える」を座右の銘に、一貫してお客様の立場に立った経営を続けてきました。
今回ご紹介したインタビュー内容からも、「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」「顧客が何を求めているかを探すことが先」「お客様の本音を聞き、商品を作ることが大切」など、ぶれない姿勢が伝わってきました。
あなたのお店や会社も、「店は客のためにあり、店員とともに栄える」を信じて「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」を続けていけば、きっと日本一、いや世界一の企業になれる日がやってきます。