体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは、和田康彦です。
10月7日に関東地区を襲った最大震度5強の地震をきっかけに、アキレスの「20キロ歩けるパンプス」に注文が殺到。売り上げが40倍に伸びていると話題になっています。
このパンプスが発売されたのは2013年。きっかけは2011年の東日本大震災でした。当時、首都圏では電車が止まり多くの人が歩いて帰宅しました。
アキレスシューズの女性社員も、会社から家まで実際に20キロを歩いて帰った際、足を痛めてしまい、20キロ歩いてもそんなに足が痛くならないパンプスがないかな、というのが開発の始まりだったそうです。
開発は、順天堂大学 スポーツ健康科学部バイオメカニクス研究室との産学協同プロジェクトでスタート。20キロ歩く試験を繰り返し、その実験データをもとに、歩行メカニズムを徹底分析して生まれたそうです。
その秘密はインソールにあります。全面にフワフワでへたりにくい高反発素材、踵に低反発素材を使用し歩行をスムーズにアシスト。柔らかなクッションが足裏全面をサポートし、歩行時の衝撃と負担を軽くします。3つのやわらかなクッションが足裏全面をサポート。歩く時の衝撃や負担を軽くし、スニーカーのような履き心地のパンプスが実現しました。
ブランド名は「ALL DAY Walk」ですが、「20キロ歩ける」という体験価値やベネフィットがわかりやすく、口コミで拡散。現在では同社の主力ブランドに成長しています。
歩きやすいパンプスはこれまでにも各社から発売されていますが、ほとんどがその機能性を製法からアピールするばかりで、女性には良さが伝わっていないことが多かったように感じます。
「20キロ歩けるパンプス」は、「えー」という驚きと、その一言ではきやすさ、歩きやすさも伝わってきます。
今回の売上40倍のニュースを聞いて、やはりお客様は「わかりやすいベネフィット」と「幸せになる体験」を求めているのだな、と痛感しました。
「商品やサービスではなく、幸せを売れ!」あなたの会社の商品やサービスも打ち出し方を変えるだけで大ヒットする可能性を秘めています。