体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは、和田康彦です。
オイシックス・ラ・大地株式会社は、「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の国内主要ブランドを通じ、安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの定期宅配サービスを提供しています。子会社の買い物難民向け移動スーパー「とくし丸」や、米国でヴィーガンミールキットを展開する「Purple Carrot」も含め、食のサブスクリプションサービスを広げています。
また同社は、「サステナブルリテール」(持続可能型小売業)として、サブスクリプションモデルによる受注予測や、ふぞろい品の積極活用、家庭での食品廃棄が削減できるミールキットなどを通じ、畑から食卓まで、サプライチェーン全体で食品ロスゼロを目指しています。
ユニークな社会貢献型の株主優待を実施
「サステナブルリテール」(持続可能型小売業)を目指す同社は、株主優待でもユニークな取り組みを行っています。今年は、株主がサスティナブルな社会を推進する「寄付」か「商品」のどちらかを選べる仕組みを採用ししました。
「寄付」については、新型コロナ感染症患者の治療にあたる医療従事者と、コロナ禍で深刻化する子どものいる困窮家庭への食品の物資支援を行うプラットフォーム「WeSupport」への寄付が可能となっています。
また「商品」については、本年7月にスタートした、地球と身体にやさしく、新しい食の楽しみ方を広げるフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」から、加工食品の製造過程で発生する食材の廃棄部分を再加工した、オリジナルのアップサイクル商品(これまで捨てられていたものに付加価値をつけて、アップグレードした商品のこと)をもらうことができます。

なお寄付先の「WeSupport」は、オイシックス・ラ・大地が、一般社団法人RCF、ココネット株式会社と共同で、2020年4月に立ち上げた食品の物資支援を行うプラットフォーム。急激に拡大した新型コロナ感染症の治療にあたった医療機関の危機的な状況を目の当たりにし、食品支援を通じて医療体制の継続の一助となればとの思いで始めた活動は、延べ支援人数は約70万人、寄付金額では7億円以上(2021年9月10日時点)の支援に繋がっています。
さらに危機の中で立ち上げたこのプラットフォームは、他の社会課題の解決のためにも活用できると考え、ひとり親世帯を中心とした子どものいる家庭に向けた食支援のプロジェクト「WeSupport Family」の2021年内の活動開始を目指し、活動の幅を広げて支援を継続していく予定です。
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先(企業等)を選別するESG投資が広がる中、株主をも巻き込んだサスティナブルな取り組みは今後の潮流になりそうです。