体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
スマートフォンの普及やSNSの台頭で、生活者と企業の関係はインタラクティブ(双方向)なものに変化しています。
いまや、企業だけでなく、生活者自身が発信者となることで、社会に様々な影響をもたらすようになってきました。
つまり、これからのSNS時代には、発信者である生活者を味方につけるマーケティング施策が重要になってきます。
そのためには、
①生活者と継続的につながり、商品改善やサービス向上に生活者の声を活かすこと
②生活者の体験を口コミとして活用し、広告宣伝につなげること
③生活者参加型のプロモーションにより、より自然にブランドとつながるきっかけをつくること
④生活者のリアルな声をもとに、施策や商品をスピーディーに改善すること
以上の4つの軸をベースにマーケティング施策を見直していくことが必要です。
いま、生活者に影響を与えているのは、その人にとって身近な情報です。
アライドアーキテクツ株式会社が2020年に調査した結果を見ると、インスタグラムユーザーの6割がインスタの情報をきっかけにECで購入したことがあると答えています。
その際参考にした情報を聞いてみると、「企業のアカウント情報」と答えたが28%に対して、「友人や一般の人の投稿」と答えた人が32%で、企業が発信する情報よりも身近な人が発信した情報を参考に商品を購入している人が多いという結果となっています。
いまSNSの普及を背景に、一般消費者によるインスタなどへの投稿内容を商品の販促や商品開発に活用する企業が増加しています。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼ばれる一般消費者による投稿コンテンツは、企業の直接的な宣伝を嫌う消費者をつかむ新しい概念として認識されるようになってきました。
例えば、このところ女性客の心を惹きつけて、10期連続増収増益を達成したワークマンでは、自社ECサイトに顧客によるインスタ投稿を転載することで購入率を高めています。
転載するインスタ投稿は、どれもみなワークマンの商品を着用しているものばかり。使用する写真はあらかじめ投稿者の許諾を得ており、使用料もかかっていません。
ワークマンでは、投稿されたインスタ画像をクリックすると商品名と価格が表示され、購入ページへ移動できるようにサイトの仕様も変更しています。
このようなユーザー自身が自発的に発信しているコンテンツには、その商品の使用感がわかりやすため、商品情報が伝わりやすく、説得力があるというメリットがあります。
また、2020年10月に横浜にオープンした新業態店「#ワークマン女子」は店名が示す通りUGCを前提にした店舗になっています。お客様に投稿をしてもらいやすいように、店内には写真を撮影できる場所をあらかじめ用意し、インスタグラムへの投稿を促しています。
同社では、UGCを分析することで、販促のほかに商品開発にも役立てるなど、お客様との共創をマーケティングの軸にシフトしています。
ではここで改めて、UGCを活用することのメリットをまとめておきます。
まず企業側のメリットとしては、①企業やブランドが発信する情報に比べ押しつけがましさが低減されること②ユーザー目線での新しいアイデアが得られること③自社で写真やコンテンツを用意する必要がなく、時間と手間とコストが削減できることがあげられます。
また、投稿者には、企業から転載を依頼されることでそのブランドから認められているという優越感や承認欲求を満たされるというメリットがあります。
そして消費者のメリットとしては、等身大ユーザーが実際に使用した情報を得られることで、使用シーンをイメージしやすく購入の失敗を減らせるという点があげられます。
つまり、企業にとっては新規顧客の開拓になるばかりでなく、既存顧客との関係を強化できるというメリットも享受できるわけです。
これまでのマーケティングは、消費者にいかに購入してもらうかということを主眼に置いてきましたが、
SNS時代は消費者にいかに「推奨」してもらうかが重要なポイントになっていきます。
あなたの会社やブランドでも、UGCを活用したマーケティングに取り組んでいきましょう。