体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
日本の女性の半数以上が50歳以上になった今、50-60代女性が消費の主役としての存在を高めています。
彼女たちが青春を過ごした60年代や70年代は、ビートルズの来日やミニスカブーム、『anan』『non-no』などの女性誌が創刊されるなど、カルチャーやおしゃれ文化が花開いた時代です。
まさに、今の若者文化をけん引してきた世代であり、いつまでも「センスのいいもの」を探し求め、アンテナを張っています。
つまり、これまでのシニア世代とは異なるライフスタイルや感性を持つ新50-60代女性は、これからの日本の消費をリードしていく可能性に満ち溢れた世代です。
●新しい60代女性市場をリードするファッション雑誌「素敵なあの人」
これからの消費の主役として注目されている60代女性。いち早く目を付けたのが、付録付き雑誌で女性誌市場をリードしている宝島社です。
同社は、2010年以降、30~60代の大人世代に向けて「リンネル」「GLOW」「大人のおしゃれ手帖」「otona MUSE」「&ROSY」「mono Master」の6誌を発行。
読者ターゲットの年齢を上げ、ファッション雑誌の「大人化」を図り、大人市場に参入してきました。
2017年12月には、60歳以上をターゲットにした「素敵なあの人の大人服」をファッションムックとして発売したところ、3日で重版し累計5万部を売り上げるヒット雑誌になりました。
また「グレーヘア」などの社会現象も起こし、その後に発行した4冊も好調に推移したことから、2019年9月から、月刊誌として新たに「素敵なあの人」を創刊。さらなる大人市場の拡大・開拓を狙ってきました。
●新60代女性を笑顔にするヒント
働いている人は定年を迎え、主婦は子育てを終え、会社やママ友社会に属さなくなることで、自分の好きな洋服を選べるようになります。友達との社交も増えるので、もう一度装うことを楽しみたい60代はおしゃれの再燃期です。どんな服がおしゃれに見えるか、トレンドにも興味津々です。
このところアパレル各社からも、50-60代女性を狙ったブランドが相次いで誕生しています。では、この世代を惹きつけるためには、どうすればいいのでしょうか。
①脱ミセスファッション!カジュアルな日常着にシフト
従来のシニアファッションは、きちんと感やよそ行き感のある、コンサバ色が強いものが主流でしたが、世の中のファッションがどんどんカジュアルになるにつれ、60代以上もラフな普段着が好みになっています。
②若作りには興味ナシ!「グレーヘア」や「自然体」がキーワード
カジュアルな感覚の装いを楽しみたいけど、若作りして見えるのはイヤ!自分の今の年齢を楽しむような、より自然体なおしゃれに興味あります。
③外せないおしゃれのポイントは「肌触りがいい」「軽さ」「動きやすい」「着やせ」
更年期を経て、肌がどんどん乾燥して敏感になってくると、コットンやリネン、ウール、カシミヤなどの上質素材を求めるようになります。また、軽さや動きやすさも絶対条件。特に土踏まずのアーチが潰れて足幅が広くなり、外反母趾や魚の目などのトラブルを抱えがちなこの世代は、おしゃれな楽ちん靴がマストアイテムです。
④おしゃれも美容も健康のうえに成り立つ
巷で話題の健康食やエクササイズをすぐに取り入れるのがこの世代。お料理も、手軽に作れるけど、ダイエットや健康維持に役立つレシピに興味津々です。
⑤60代以上の美容はガラパゴス化状態
新しい美容トピックに疎い大人世代は、昔の知識でスキンケアやメイクを行っている人が多いもの。より進化したスキンケアアイテムのシンプルな使い方、ビフォーアフターで違いがしっかりわかるテクニックいらずのメイク法などに関心があります。
⑥料理、旅行、街歩き、住まいのことなど、ライフスタイルも充実させたい
お金と時間に余裕のある60代は好きなことで贅沢もしたい。今でこそ、テレビや雑誌でも人気のコンテンツ「街歩き」は今の60代がけん引してきたもの。友人や娘、お嫁さんと共有したい情報が盛りだくさんです。
日本の女性の半数以上が50代の時代。あなたの会社でもこのおとな世代を豊かにする商品やサービスの開発に着手しましょう。