体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
新型コロナウイルス感染拡大の出口が見えない中、未来を描けなくなっている経営者の方も多いと思います。
企業が右肩上がりで成長していた時代は、経済的な合理性を追求することが、社会的な価値の向上にもつながっていました。
つまり、消費者のモノやサービスに対する需要を満たせ、また従業員の給料も安定して増やして行けたわけです。
しかし、低成長の時代になると、売り上げだけを追求してもなかなか成果が出ず、一方で、環境や格差の是正といった経済的な価値以外を重視する消費者も現れて、人々の価値観は多様化してきています。
特に最近は、地球環境の変化を誰もが実感しはじめ、地球環境の保持こそが、経済成長のベースであるということに気づきはじめています。
そのような社会の変化を背景に、今企業は「自社は何のために存在しているのか」を定義したパーパスを示し、共感する人が集まる状態をつくることが重要になってきています。
モノが溢れる時代だからこそ、消費者は自分たちの価値観に合う企業から商品を選ぶようになってきています。
また、優秀な人材を登用するうえでもパーパスは重要です。特に、今の若い世代は社会的な価値に共感する人が増えてきているので、その企業の社会的存在意義を定義することは非常に重要になってきています。
年齢や国籍、専門性など多様な社員が共有できる価値観があれば組織として大きな力を発揮できるわけです。
さらに、取引先や株主に応援してもらうためにも、共感できるパーパスを掲げることは有効です。
このところ大企業を中心にパーパスを経営の軸に取り入れる企業が増えていますが、パーパスを再定義するためにはお金は一切かかりません。
あなたの会社でも、改めて「自社は何のために存在しているのか」と問うてみましょう。
ファンづくりは、共感してもらえるパーパスを再定義するところから始まります。
●パーパスを原動力に11万人の社員のベクトルを合わせるソニー
ソニーは4月に社名を「ソニーグループ」に変更しました。そして、吉田憲一郎会長兼社長は「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」とソニーを再定義し、存在意義(パーパス)として「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」としました。
11万人という巨大な社員がベクトルを合わせて事業を動かしていくためには、社会的存在意義を定義することが重要という考え方のもと、策定後も経営トップ自ら繰り返しパーパスについてのメッセージを発信し、社員の共感と納得感を高めてきたといいます。
ところで、ソニーのパーパスのキーワード「感動」の主体は「人」です。
そのための経営の方向性は「人に近づくこと」。この考え方は、喜び創造経営の基本的な考え方と全く同じですね。
そして「人」を核にした事業ドメインを次の3つに規定しています。一つは人の心を動かす事業 そして、人と人をつなぐ事業 3つ目が人を支える事業なんですね。
ソニーという巨大企業が「人」に焦点を当て、事業活動しているということに私はとても驚きました。しかし、小さくても大きくても、人間であるお客様を喜ばせる、感動してもらうという目的に変わりはありません。
あなたの会社も、お客様を感動で満たして、たくさんのファンを増やしていきましょう。