体験消費時代のマーケティングヒント

3回来てもらって初めて”おなじみさん”
私はサラリーマン時代、たまに大阪キタ新地のクラブに飲みに連れて行ってもらうことがありました。その時、お店のクラブ嬢から聞いた言葉が今も印象に残っています。
「うちらのお客さんはな、3回来てもらって初めておなじみさんやねん」
私はなるほど、と納得しながらも、「へぇー、なんで3回なん?」と聞き返しました。
すると彼女は困った顔をして「何でって、いつもママがそう言うてはるから」と答えてくれました。
さすが、大阪キタ新地で長年お店を開いて、たくさんの常連さんを抱えている繁盛店のママさんです。
「お客さんは3回来てもらって初めておなじみさん」
この言葉の中には、彼女が自分の体験から得た、お店が繁盛して儲かるしくみの真実が隠されていると思いました。
みなさんこんにちは。女性を惹きつけるマーケティング研究所の和田康彦です。
私は関西在住なので、お取引先に伺うといつもあいさつ代わりに「儲かってまっか」と声をかけるのが習慣のようになっています。すると相手からは、いつも「ぼちぼちでんな」という声が返ってきます。
このように、関西では儲かっていても儲かっていなくても「ぼちぼちでんな」が常套句になっていますが、商売をしている人ならだれもが心の底で「儲けたい」と思っているに違いありません。
では儲かっている店と儲かっていない店を左右しているのは何なんでしょうか。
売れてる商品があるから、立地の良いところに店があるから、比較的値段の高いものが売れているから、広告やチラシの作り方がうまいから・・・・・・どの答えも決して間違ってはいません。
でも本当のところ、「儲かっていない」店に共通するのは、新地のママが言っている「おなじみさん」ができないこと。あるいはできてもその数がすぐに減っていくことにあるんですね、
あなたのお店に、初めてのお客さんが来てくれて商品を買ってくれました。これってとてもうれしいですよね。でもいくら商品を買ってくれたとしても、そのお客さんがリピートしてくれないと、なかなか儲かってはいきません。
なぜ儲からないのか、それはお客さんがもう一度来てくれない、あるいは今まで来てくれていたお客さんが知らない間に来なくなってしまう。つまり、お客さんと思っていた人が、気が付くと、どんどん減ってしまっているからなんです。
お客は7段階でファンに進化する
こちらの図表を見て下さい。
この図は、「お客さんは7段階でファンに進化していく」という考え方を表したものなんですが、
お客さんというのは、
①まだあなたの店の存在を知らない人
②お店の存在を知ってくれてお客になってくれそうな見込み客
③一度購入してくれたお試し客
④もう一度買ってくれた再お試し客
⑤その後も買ってくれるリピート客
⑥年に何度も買ってくれる上得意客
⑦一生付き合ってくれるファン
の7段階に分かれるんですね。
「見込み客」というのは、まだあなたのお店で商品を買ったことはないけど、お店の存在は知っている人のことです。
この見込み客のうち、一人が初めて来店して買ってくれた。この人のことを「お試し客」と呼びます。
例えば、あなたの家や職場の近くに新しくラーメン屋ができたとしましょう。駅からの帰り道、その新しくできたラーメン屋の存在を知ったあなたは、そのラーメン屋の見込み客です。そして、ラーメン好きなあなたは、「ほんまに旨いのかな」という好奇心から、ある日、お店に入って一杯の醤油ラーメンを注文しました。
つまりあなたの気持ちからすると、本当に旨いのかわからないけれど、ちょっと試してみようかなという気持ちで店を訪れているわけです。ですからこの段階ではあなたは「お試し客」なんです。
そして、醤油ラーメンを食べたところ、期待以上に旨かったので、次は味噌ラーメンにトライしようと思って、1週間後再度お店を訪れました。ここでのあなたは再お試し客の段階になります。
実は、お試し客が2回目も購入・利用してくれる割合は約4割~5割といわれています。つまり、100人の人がお試しにその店のラーメンを食べてくれたとしても、もう一度来てくれる人は40人~50人に減ってしまっているわけです。
そして、2回目の味噌ラーメンを食べて、またまた予想以上に旨いと感じたあなたは、また1週間後、このお店を訪れました。お店側からすると、あなたは、今日の冒頭でお話しした「お客は3回来てくれて初めておなじみさん」のおなじみさんになるわけです。この図ではリピート客と呼んでいます。
2回利用してくれたお客さんが次も利用してくれる割合もほぼ4割から5割といわれているので、3回利用してくれるリピート客は20人~25人ほどに減ってしまっています。つまり、100人のお客さんがお試しに来てくれたと喜んでいても実は75人ものお客さんがお客さんでなくなっているわけです。
幸い、あなたは、この店の味や大将と時たま交わす会話が気に入って、月に何度か利用するようになりました。つまりあなたは、お店にとって大切な上得意客になっているわけです。
そしてあなたは、この店の味を友達や知人にも知ってもらいたくて、ツイッターやインスタグラムに投稿したり、実際に友人や知人を連れてこの店を訪れることが日常茶飯事となりました。この段階では、あなたはこのお店の立派なファンになっているわけですね。
ここまで見てきたように、一度お試しできてもらったお客さんが3回リピートしてくれる割合は、ほぼ2割くらいに減ってしまうというのが、一般的な現状なんです。この減ってしまったお客さんのことを「お客が流出している」という表現をするのですが、あなたのお店のお客さんの流出率は大体何%くらいか把握していますか?
実は、自分の店のお客さんの流出率が何%か、初めて利用してくれたお客さんが平均いくらくらい使って去っていくのか、いつどれくらいの客が去っていくのかということがわかっていない経営者が案外多いんです。
でも、このお客さんの流出というのは、みなさんの気が付かないところで起こっている重大な危機と言えます。しかもその流出率は、お試し客から2回目購入客に進化する段階で平均して50%から60%、2回目購入客からリピート客になる段階でまた50%から60%ですから、一年の間に莫大な数のお客さんがあなたの気が付かないうちにいなくなっているわけです。なんだか背筋がぞっとしますよね。
これは私の知っているお店の実話なんですが、そのお店は実際に1年間で5000人のお試し客を獲得できていました。実は、そのお店は比較的業績もよかったので、安心していたのです。ただ、数年前からポイントカードを導入して、顧客データを蓄積していたので、お客さんの流出について調べてみました。するとなんと1年間に80%も流出しているということがわかりました。
そのお店で買い続けているお客さんは一年間で平均1万円使ってくれていたので、3年間なら3万円になります。仮に一人も流出しなかったとしたら、1万円×5000人×3年ですから、3年間で1億5000万円の売り上げになっていたはずです。しかしながら、8割が流出してしまっているので、現在のお客さんはわずか1000人。仮にこの1000人が3年間流出せずに、毎年1万円使ってくれたとしても、1万円×1000人×3年で3000万円の売り上げとなってしまいます。お客さんの流出がゼロの場合に比べると、なんと1億2000万円もが消えてなくなっていることがわかります。このように、顧客の流出に何の手も打たないのは、現金に火をつけて燃やしているのと同じくらい怖いことなんですね。
確かに自然減をゼロにすることは難しいかもしれません。ただ、せっかく利用してくれたお試し客を流出させないための手は打てるわけです。何も手を打たずに現金に火をつけて燃やし続けるのか、何らかの手を打って、燃やす現金を少しでも減らすのか。あなたならどちらを選びますか。
さぁ、あなたの会社やお店やブランドもファンづくりのマーケティングで儲かる仕組みをつくっていきましょう。
あなたのマーケティングパートナー和田康彦が全力でサポートします。
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