体験消費時代のマーケティングヒント

2021-02-11 10:34:00
コロナ禍で急増、客席のないゴーストレストランとは。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で外食することがむずかしくなる中、人々の美味しいを求める気持ちは強くなっているのではないでしょうか。

 

世界最多の感染者数を記録している米国では、感染拡大防止のため、飲食店の厳しい営業規制がひかれ宅配需要が急増。これを受けて、厨房はあるものの客席やホールスタッフを持たず、宅配に特化して食事を提供する「ゴーストレストラン」という新しい飲食店のカタチが広がっています。

 

一方日本でも、デリバリーやテイクアウトの特化した飲食店「ゴーストレストラン」が増えています。

 

20196月に開業した東京・目黒の「kichenBASE中目黒」は、中華、タコス、ニューヨーク風の屋台飯などをそれぞれの店舗が提供するシェア型のゴーストレストランです。

 

また、丸亀製麺を展開するトリドールホールディングスなどが出資するゴーストレストラン研究所は、シェア型ではなく自社ブランドを中心に展開しています。

 

西麻布の実店舗を持たないフードデリバリー専門店「Ghost Kitchens」を拠点に、麻婆豆腐、スンドゥブ専門店など14のブランドを展開。地域の台所として日常の食事をアップデートするというコンセプトでメニューを自前開発。多くのブランドを1店で提供するマルチブランド戦略をとっています。

 ゴーストキッチン.jpg

ゴーストレストランは、少ない投資で複数のメニューやブランドを生み出し、売上高などを見ながら打ち手を変えたり、食のトレンドにスピーディに対応できるという強みがあります。また、フランチャイズ方式によって店舗数を拡大しやすいという要素も持っています。

 

英国の調査会社ユーロモニターは、世界のゴーストレストラン市場は、2030年にも1兆ドル規模に膨らむ可能性があると試算。

 

初期投資が安くて身軽、展開力や拡散力に優れたゴーストレストランは、新たな外食産業のビジネスモデルを生み出す潜在力を秘めているといえます。

 

しかしながら、SNSでクチコミが一気に広がる時代、顧客の想像を超える美味しさを提供できなければ、瞬く間に淘汰されることになります。

 

コロナ禍で本格的に広がるゴーストレストランは始まったばかりの業態であり、メニュー、宣伝方法、配達コストなど、いずれも課題があります。身軽さを武器に、現状では想像が付かないビジネスモデルを生み出せれば、外食業界にも明るい兆しが見えてきます。