体験消費時代のマーケティングヒント

2021-01-11 10:49:00
これからの人材教育は、「OJT(職場内訓練)」から「リスキング(再教育)」へ

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

日本生産性本部によると、日本の就業者が1時間あたりに生む付加価値は、米国の約6割だそうです。この低生産性こそが、日本に長時間労働が根付いてしまった要因かもしれません。

 

いま日本の企業にとって必要なことは、仕事に必要な、あるいはこれから必要になる能力を身につける再教育(リスキング)です。そして仕事を続けながら付加価値を生むための力をつけることが何よりも重要といえます。

 

幸いといってもいいかもしれませんが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、デジタルシフトが一気に進み、自宅にいながらでも、オンラインによる知識や情報のやり取りが簡単にできるようになりました。つまり、場所や時間を問わずに学習でき、スキル(技能)を磨ける環境が整ってきたわけです。

 

そんな環境変化を追い風にして、オンラインによる人材教育に取り組む動きが、いま世界の潮流になってきています。

 

例えば、損保ジャパンは20202月から「損保ジャパン大学」を開設。これまでの研修コンテンツの一元化やデジタル技術を活用して少人数で議論ができる場を設けています。これによって、地方勤務者も均等に、全社員がオンラインで学べるようになりました。

 

また、NEC202010月から、ビジネスSNS、米リンクトインが展開する動画学習プラットフォームを社員教育に活用しています。このようなプラットフォームを活用すれば、自前でコンテンツをつくる必要もなくなります。

 

米国では、アマゾン・ドットコムが10万人の社員の再教育を進めています。2025年までに日本円がひとり70万円を投じて、人口知能(AI)の基礎知識などを学ばせる計画です。

 

デジタル化によって、いま企業の事業構造は急変化しています。経営者は、これから「どの事業を伸ばすのか、それによってどのような仕事が増えて、社員はどんなスキルが必要になるのか」、という成長戦略のストーリーを明確に示すことが重要になってきます。

 

これまでの日本企業の定番だったOJT(日常業務のなかで仕事のしかたを覚える職場内訓練)から、今後必要になる能力を身につけるリスキング(再教育)へ。今後の成長戦略を考える上では、人材育成の非連続な改革が最も重要です。