体験消費時代のマーケティングヒント

そこで新たな戦略を模索するため、島忠は18年8月にTSUTAYA(現・蔦屋書店)とフランチャイズチェーン(FC)契約を締結。中期経営計画の中でも掲げている「お客様の生活に寄り添ったライフスタイルの提案」を目指し、家具売り場と相乗効果を生む新業態の開発に社運をかけることにしました。
「ホームズ尼崎店」の店舗は2層で約1万400平方メートル。オープンから20年が経ち、建物の老朽化が進んでいたこととお客様の生活に寄り添ったライフスタイル提案を強化するために、全面リニューアルされました。
さて、蔦屋書店と協業した2号店「TSUTAYA BOOKSTORE ホームズ尼崎店」は2階フロアに位置し、店舗面積は約6600平方メートル。家具とホームファッション売り場が約5300平方メートル、雑貨・文具とアウトドア、キッズスペースも含めたブック&カフェ売り場が約1300平方メートルで、蔦屋書店のフランチャイジーとして島忠が運営しています。
●雨天でも遊べる大型遊具とアウトドアコーナーも
例えば、カフェスペースのテーブルや椅子は、すべて島忠で販売している商品を使用。コーヒーを飲みながら“書斎での読書”を体験できるようになっています。座ってみて気に入った家具があれば購入も可能。驚くのは家具売り場のソファやダイニングテーブルでも、ドリンクを片手にそこで読書ができるという点です。フロア全体がカフェのような居心地のいい空間になっており、温かみのある照明も落ち着いた気分にさせてくれます。
さらに家具売り場には、テーマに沿って家具と本、雑貨を融合したコーナーがあり、見ているだけでも楽しい構成になっています。他にもキッチン雑貨の横に料理本、収納用品売り場には収納のノウハウ本など、本と関連性のある商品を軸にした売り場は、提案力があふれています。
ネット通販が浸透し、商品の品揃えや品質、接客だけでは店舗の優位性を保てなくなった今、リアル店舗での差別化はますます困難になってきています。