体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
無印良品を展開する株式会社良品計画は、住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン(のモール&スパ1階~3階に、「無印良品 東京有明」を2020年12月3日(木)にオープンする。
関東地方で最大面積を誇る売場には、無印良品のほぼ全ての商品を揃えたうえで、【暮らしのサポート】【家づくり】【街づくり】の3つをテーマにおいた様々な新商品・サービスを開発。百貨店を超える"百八貨店"として、永く地域の方々のくらしに役立つ存在を目指している。
今回は、ニューノーマル時代の店舗づくりの最先端事例として、紹介する。
◆関東最大の売場面積に、暮らしの全部が揃う"百八貨店"
新型コロナウイルス感染症の拡大により生活様式や価値観が大きく変わる中でオープンする東京有明は、お米や新鮮な野菜などの食品、スプーンや靴下など日々の生活を満たす道具から、部屋のリフォーム、戸建販売、そして街の活性化まで、暮らしの全てに関わり、店舗周辺に住む方々の「感じ良いくらし」の具現化をお手伝いする店舗を目指す。
関東地方で最大面積を誇る売場には、無印良品のほぼ全ての商品を揃えたうえで、【暮らしのサポート】【家づくり】【街づくり】の3つをテーマにおいた8つの新商品・サービスを開発。百貨店を超える"百八貨店"として、永く地域の方々のくらしに役立つ存在になりたいと考えている。
(1)【暮らしのサポート】 くらしのなんでも相談所
2階に設置する相談カウンター「くらしのなんでも相談所」では、ひとりひとりの困りごとに寄り添い、暮らしを整える、様々なサービスを新たに展開。これらのサービスは、近隣住民への住まいに関するアンケートや座談会を1年前から開催し集めてきた、有明エリアをはじめとする湾岸地区で生活する方々が実際に感じている「暮らしのお悩み」に基づいて開発した。
共働きかつ子育てとの両立で時間がない、時間はあるけれど心地よい暮らしの作り方がわからない、自分の暮らしは自分で整え自立した生活を送りたい、高齢化により自分だけで暮らしを充実させるのが難しい人など、たくさんの困りごとに対応する商品・サービスを揃えているのが特徴だ。
◆お片付けサポート
お片付けサポートは、必要以上のものを持たず暮らしをシンプルに整えるために、無印良品のスタッフが顧客宅に訪問して、暮らしに本当に必要な持ち物を整理しお部屋の収納を改善するサービスだ。
【収納相談】
収納専門スタッフが顧客宅に伺い、使い方に合わせた収納選び、採寸から最適な収納プランまでを提案する。
【不用品引取り】
不要となったものを引き取り、地域企業や協力会社と連携し、次の方へ譲ったり、補修やアップサイクル後に再販するリユース活動につなげていく予定。
【預かり】
普段使わないものを一時的に1箱単位からお預かりするサービス。家の中だけでなく家の外まで活用できる空間を広げ、今の生活様式にあった収納方法を提案。
【掃除】
掃除の専門資格を取得したスタッフが掃除のお手伝いやアドバイス。また、店頭では、掃除セミナーのワークショップなどイベントを開催したり、日常に根差した暮らしの道具の使い方やご自宅での掃除アドバイスを紹介する。
◆インテリアの相談
暮らし方や間取りに合わせ、家具選びやオーダー家具、オーダーラグ/カーテンのほか、部屋の照明計画、収納の施工などについて店頭、オンライン、出張にて相談を受けるサービス。
◆観葉植物の月額定額サービス
グリーンのある豊かな暮らしを提供することを目的に、大型のものを含む観葉植物の販売と月額定額サービスをスタート。店頭で販売する高さ100~200㎝の幅広い種類の植物と鉢を3か月/6か月/1年単位で利用できるプランを用意。暮らしに応じたグリーンを紹介するほか、品種特性に応じた育成のコツを分かりやすく提供する。
◆暮らしを彩る限定商品
家具の価値やインテリアの価値を改めて見直すために、使い込むほどに風合いのよくなる素材やずっと使いたくなる道具や家具として、黒家具シリーズ・北欧ビンテージ家具、IDÉEのアートやグリーンなど、東京有明限定の家具やインテリアアイテムを提供する。
(2)【暮らしのサポート】食と農
衣・食・住の暮らしの営みはそれぞれ密接に関連しており、中でも「食」はその中心となるもの。東京有明では、地域住民のの暮らしの拠りどころとなることを目指して、食に関する商品とサービスを1階フロアに集積して展開する。
◆食の量り売り
「ひとりひとりのちょうどいい」に応えるために、食品の量り売りを開始。食の基本となる雑穀や乾物を中心に、コーヒーやナッツやドライフルーツなどの50種類以上の食品を、20グラム以上から1グラム単位で、1個ずつ、一人分ずつの最小単位で販売し、必要以上にものを持たない「食のコンパクトライフ」を提案する。
◆Café&Meal MUJI、ベーカリー、ジューススタンド
素材そのものの味を生かしたからだにやさしい「素の食」、シンプルでどの食材とも合うロールパン・食パン・クロワッサンなど素材にこだわり店内で焼き上げた「パン」、旬の野菜や果物を使った「フレッシュジュース」など、3つの飲食スペースで無印良品の食の世界が楽しめる。
◆青果販売
生産者と直接つながり、新鮮な青果を無印良品ならではの品揃えで展開。フードロス削減につながるよう保存方法や最後まで食べきるコツを伝えたり、地域と共生して生産者と食卓をつなげるほか、青果売場に併設したキッチンカウンターでは、朝食や夕食メニューを「今日のこんだて」として健康をサポートするレシピ提案を行う。
◆給水サービス
飲料水をきっかけに、顧客と一緒に環境や健康について考えて行くことを目的に、店内3か所に給水機を設置。マイボトル持参で誰でも無料でご利用できる。
(3)【暮らしのサポート】環境に配慮した商品・サービス
無印良品は1980年の創業から、「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」の3つをベースに環境や社会に配慮した商品を開発し続けている。東京有明でもこの視点から生み出した新たな商品、サービスを開発している。
◆洗剤の量り売り
肌にやさしく環境に配慮した無印良品の洗剤4種(衣類用洗濯洗剤・バス用洗剤・トイレ用洗剤・食器用洗剤)とアルカリ電解水クリーナーを100ML単位で量って販売する。
◆包装の簡略化
東京有明では新たに包装容器のプラスチックを約20%削減したエイジングケア化粧水シリーズを先行販売する。
(4)【家づくり】部分リフォーム/全面リノベーション
新型コロナウイルス感染症の拡大により大きく変化した生活様式に対応するため、自分にとっての心地よさや個性を生かした「これでいい」という居住空間、永く使うための汎用性や機能としての合理性などをお客様と一緒に考え、生活の変化に合わせた家づくりをもっと身近に自由に行うためのサービスを展開する。
◆部分リフォーム
暮らしを変えるきっかけをつくりたい、本格的に暮らしを変えたいという声に応え、気軽に部分的なリフォームの相談できる窓口を設置。
◆DIYサポート / MUJI INFILL +
顧客参加型の部屋づくりのサポートサービス。DIY経験者だけでなく、DIY初心者も最初の一歩を踏み出せるように、セミナーやワークショップなどのイベントを通じてDIYの基礎知識や壁の塗装などを体験できる。また、売場には自在に内装を編集できる暮らしのパーツ「INFILL+」コーナーや家づくり関連の書籍も用意している。
◆全面リノベーション MUJI INFILL 0
本当に必要なものだけを残して、暮らしの「0(原点)」をつくり、自分らしく住まいを編集するフルリノベーションの相談もできる。より身近に、より具体的にリフォーム後の完成形をイメージできるよう、店頭では東京有明が初となる、マンションを想定した部屋まるごと原寸大の「INFILL 0」のモデルルームを設置。
(5)【家づくり】戸建「陽の家」原寸大モデルハウス
新型コロナウイルスの影響などにより働き方が大きく変化している中で、住まい方の見直しを検討されている人や、2拠点居住や田舎暮らしを検討中の人などに、戸建「陽の家」や「無印良品の小屋」を店頭で紹介。店内に首都圏初となる原寸大のモデルハウスを設置し、無印良品の家具や雑貨などを実際の住空間で体感席る。また、無印良品が考える暮らしの形をテーマに、クリエーターとともにトークイベントを毎月開催する予定。家や別荘ほど大げさでなく、気に入った場所でくらす道具として、「無印良品の小屋」も販売。
(6)【街づくり】 街全体を"自分の住まう空間"と捉えた空間づくり
無印良品としてこれまで地域共創を軸にした空間づくりを行ってきた経験を活かし、街全体を"自分たちの住まう空間"ととらえて「家」「オフィス」「商業施設」「公共」の4つの分野において、企画から考える空間づくりのサービスを開始。この店舗に設置する法人カウンターでオンラインも活用し、全国から相談を受ける。
コロナ禍によりさらに加速する空き家や過疎化などの地域課題や暮らし方の変化に対し、無印良品やIDÉEのコンテンツを元にした場の活用を目的とする空間企画と合わせて、自然素材を活かした内装や什器、地域ならではの特注家具やアートの設計、サイン・チラシのツールデザインなどのトータルプランを、場の交流と地域活性化をテーマに依頼主の方と共に共創する。
◆家
賃貸住宅の老朽化や過疎化、生活スタイルの急激な変化により増加する空き室に対し、リフォームを中心にした場の価値を高める空間活用方法を考える。
◆オフィス
テレワークや在宅ワークに合わせたオフィス拡縮、オフィスの在り方や働き方を根本から見直したい人に向け、オフィスリノベーションを提供する。
◆商業施設
商業施設をより居心地が良い環境に改善したいという法人に向けて、人々が集い、憩いたくなるイートインなどの共用スペースや店舗デザインを行う。
◆公共
駅や廃校、社宅や集合住宅共用部など自治体や法人が所有する公共の遊休スペースを活用し、地域住民が日々の暮らしで使うことができる、その地域の特性を活かした開かれたコミュニティスペースを考える。
(7)【街づくり】「つながる市」の開催
地元で活躍しているさまざまなジャンルの人と連携し、マルシェ販売やイベントを開催。グランドオープン後の12月は、トークイベントや雑巾つくり、しめ縄作りなどのワークショップなどを開催する予定。
(8)【街づくり】 江東区との取り組み
江東区は、古着、食品ロス削減、脱プラ、ごみの分別、リサイクルなど、環境に関する取り組みを積極的に行っている。東京有明は、同地域に出店する店舗として何ができるかを考え、江東区ともに廃棄物の削減、資源循環型の社会を目指す。第一弾として、購入店舗に関わらずご不要になった服を店頭で預り、リユース・リサイクルルートによって国内外で再利用したり、工業用雑巾(ウエス)の加工や綿やフェルトの原料にする取り組みをはじめる。