体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。女性を笑顔にするマーケティング研究会の和田康彦です。
前回は、ブランディング事業を手掛ける米インターブランドが2020年10月20日に発表した、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2020」の概要をお伝えしました。今回はその第二弾として、2020年の調査でランキングが大きく躍進した企業の取組みを見ていきたいと思います。
【Amazon】:2位、2,007億ドル(前年比+60%)
2020年、Amazonは設立25周年を迎えました。2020年初め、米国ビジネス誌『FAST COMPANY 』は、「2020年はAmazonが止まらない年になるであろう」と記載しており、驚異のブランド価値60%成長は、まさにこの成功の証です。2002年に80位でランクイン以降上昇し続け、今年初めて2位となりました。この成功の主な理由は、”Customer Obssesion”というAmazonの顧客中心主義にあります。Amazonは、Covid-19の感染拡大に際し、非常に迅速に反応しています。175,000人を新たに雇用しオンラインビジネスを強化、不安を抱える消費者がオンラインでの購入にシフトしたことにしっかりと対応し、より大きな利益を獲得しています。
【Microsoft】:3位、1,660億ドル(+53%)
クラウドサービス、リモートワークの接続を支援するツールや製品に注力したMicrosoftの戦略は、大きな利益を生んでいます。特に、Microsoft Teamsのようなソリューションは、分散型労働を強いられる時代において、多くの企業にとっての生命線となりました。また、GitHubの買収は実を結び、現在利用者は4,000万人となっています。Microsoftは、生産性とビジネスのプロセスを再考し、Intelligent EdgeとIntelligent Cloud Platformを構築し、パーソナルコンピューティングを推進しています。
【Spotify】:70位、84億ドル(+52%)
Spotifyは、事業領域を拡張し、Podcastを使い、音楽を聴くプラットホームから、広範囲なオーディオ・エンターテインメント体験にシフトしました。Podcastカタログのコンテンツは、3月の70万余りから、4月には100万を超えました。また、クリエイターツール、Podcastサービス、Podcastのためになるオリジナルコンテンツやメディアスタジオに何度も投資を行うなど、Spotifyは、Covid-19の影響からいち早く脱却し、以前の全世界消費時間まで回復しています。広告収入は減少しましたが、総売上の10%であるため、ビジネスへの影響は最小限に抑えられています。
【Netflix】:41位、127億ドル(+41%)
Netflixは、2020年に初めて、27か国のTV、ラジオ、野外広告で、グローバルブランドキャンペーンを行い、2020年の第1、第2四半期で、2,500万以上の加入者を獲得しています。この数字は2019年のおよそ一年分(2,800万人)に相当し、加入者の最大市場は、アメリカ、ブラジル、イギリスとなっています。Netflixは、「今日のTOP10リスト」機能を加え、全体の操作を簡単にすることで、UI/UXを改善しました。Netflix Originalの早い制作スピードはブランドの最大の特徴となっており、Peacock (NBCUniversal)やHBO Max (WarnerMedia)のような他のストリーマーは、コロナ禍によりプログラミングの遅れに直面している一方、Netflixは膨大な数の新しいタイトルを世に出すことを実現しています。
【Adobe】:27位、182億ドル(+41%)
2020年初頭、Adobeは、見た目をフレッシュに保ちつつ、消費者が操作や理解しやすいブランドとして継続するために、ブランドアイデンティティーを何度か更新しています。ロゴは赤の単色にし、より温かくより現代的にアップデートし、Creative Cloudのロゴも一新、その製品全てに新しいコーポレートカラーの赤を使用しています。また、これらデジタルメディア分野のサブスクリプションのセールスによってこの3年間で売上は53億ドルに達しており、製品のポートフォリオをサブスクリプション・モデルに移行したことが成功に寄与しています。特にこのモデルは、景気後退の中でも安定したキャッシュフローを生み出し、マーケティングや新しい顧客を開拓する費用を抑えることに貢献しています。Adobeは、ブランドをより使いやすい体験に進化させ、消費者とスクリーンで長時間を共にすることに成功しています。