体験消費時代のマーケティングヒント

2020-09-09 09:41:00
もうかる事業をしっかり見定めて、事業ポートフォリオの比重をシフトしよう。

 

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

今日202099日の日本経済新聞朝刊に、「日本の主要企業で事業セグメント別の営業利益を10年前と比較したところ、2割の企業で「稼ぎ頭」が交代した。」という記事が掲載されていました。

 

日経500種平均株価の採用企業のうち事業セグメント別の営業利益を継続比較できるなどの一定条件を満たす約300社を対象に、日本経済新聞が2019年度と10年前の09年度を比較したところ、稼ぎ頭が交代したのは70社だったそうです。

 

例えばイオンは、本業の総合小売からクレジットカードなどを扱う「総合金融」に代わりました。顧客情報の活用や運営の一元化のため、グループの金融事業を13年に立ち上げたイオンフィナンシャルサービスに統合。電子マネー「WAON」でのポイント加算を集客力につなげる好循環も生み出し、連結営業利益(202月期)の3割超を稼ぐまでに成長しています。

WAON.png

また、小所帯家族の増加による「個食」の浸透などを追い風に、冷凍食品などを強化してきたニチレイでは「加工食品」が稼ぎ頭になりました。同事業の営業利益は10年前に比べ6.4倍に拡大。10年前の稼ぎ頭は旧社名の「日本冷蔵」が示す通り冷蔵倉庫での保管・配送を手掛ける「低温物流事業」でしたが、好調な加工食品が16年度から上回ッテいます。

 

おかずが中心だった冷食は、時代とともにチャーハンなど主食でも競争が激化。ニチレイは商品改良と販促で加工食品事業を強化してき増した。新型コロナウイルス下でも冷食需要は根強く、213月期の連結営業利益は過去最高の315億円を見込見ます。同社は今後も、中長期な視点で新市場への展開を迅速に進めていく計画です。

ニチレイ.png

他には、TDKはスマートフォンなどに使うリチウムイオン電池を伸ばしてきた結果、稼ぎ頭が「エナジー応用製品」になりました。サッポロホールディングスはビール以外の柱として東京・恵比寿を軸とする不動産事業を育ててきました。ネット広告が軸だったサイバーエージェントは、今ではスマホ向けが強い「ゲーム」が最も稼ぐ姿となっています。

 

今回調査で稼ぎ頭が交代した企業の純利益の合計は10年前と比べ5.6倍に拡大、交代していない企業全体(2.4倍)を大きく上回ったそうです。

 

コロナ禍の長期化も懸念されるなか、次の10年を勝ち残る経営者の選別眼が一段と求められています。そのためには、中長期的視点に立った時流を見極めることが重要です。