体験消費時代のマーケティングヒント

みなさんこんにちは。和田康彦です。
「ブランディング」というと、「費用がかかる」「難しそう」「すぐに結果が出ない」という声があちこちから聞こえてきます。また、規模の小さい会社の経営者ほど、「ブランディング」は大企業が行うもので、儲けにつながらない」と考えている人が多いように思います。
果たして、ブランドは大手企業のもので、小さな会社には関係ないものなのでしょうか。
みなさんは「BOTANIST(ボタニスト)」というヘアケアブランドをご存知でしょか。これは、I-ne(アイエヌイー)という会社がつくった商品です。
「BOTANIST(ボタニスト)」は、P&G、ユニリーバ、花王といった競合がひしめくヘアケアカテゴリーにおいて、小さな会社ながらとんがりを出すことで大成功したブランドです。
2015年のノンシリコンシャンプーのブームが一巡した後、ボタニカル(植物由来の)をコンセプトに、従来のシャンプーより高価格でありながら、サロンのシャンプーと比較すると低価格に位置する1500円前後の中価格帯で勝負し成功しました。
リピートしてもらうために品質に徹底的にこだわったことや、大手メーカーが店頭で目立つようにカラフルなデザインを採用する中、あえて白と黒をベースに文字だけというシンプルなデザインで、他の商品と差別化したことも成功要因の一つです。ほかにもマス広告は使わず、SNSを駆使したコミュニケーションの工夫など、大手にはできないとんがりを出したことが成功の要因と言われています。その結果、大手がひしめくヘアケア市場で、業界第3位のシェアを獲得する大ヒットとなりました。
◆小さな会社の方がとんがりを出しやすい
「BOTANIST(ボタニスト)」の成功からも見えてくるように、小さな会社の方がブランディングしやすい理由の一つは、大手と比較すると、「小さい会社の方がブランドにとんがりを出しやすい」ということです。
とんがりを出すとは、より特徴を出しやすいいということ。際立った特徴を出すとターゲット層が絞り込まれるので、ターゲット顧客のイメージがより具体化されます。これによって、こだわり層など特定層への訴求がしやすくなります。
特定層(ニッチ層)は、大手企業にとっては旨味のある領域ではありません。大手企業は、売上規模を求められるため、あまりとんがりすぎると売れなくなってしまうというジレンマがあります。
つまりナショナルブランドともなると、多くの国民を相手にしなければいけないので、とんがりのあるブランドをつくるのは難しくなるわけです。
◆小さな会社は意思決定が早い
もちろん、大手企業でもとんがりのある商品をつくりヒットさせたいという思いはありますが、商品開発やブランドづくりに関係する人数がとても多く、上層部や関連部署を通っていく中で、どんどんとんがりが削られて丸くなっていきます。
また、大手企業は、会議の多さ、決裁者も多くいることから、経営判断に時間がかかります。それに比較すると、小さい会社は社長の決断ですぐ決まることが多く、大手より迅速に物事を進めることができるという強みがあります。
デジタル時代に突入し、目まぐるしく変化する市場の中で、お客様の要望に応えていくためには、意思決定の早い小さな会社の方が断然有利ということがいえるわけです。
さあ、あなたの会社もブランドづくりで、たくさんのファンをつくっていきましょう。