体験消費時代のマーケティングヒント

2020-08-24 07:15:00

みなさんこんにちは。和田康彦です。

カミソリやグルーミング製品などを展開する貝印が2020817日から開始した、コミュニケーション広告が話題になっています。バーチャルモデルのMEMEがワキの毛を堂々と見せるビジュアルと、「ムダかどうかは、自分で決める。」というキャッチコピー、#剃るに自由を」というハッシュタグがインパクトを与える広告になっています。また、SNSには本来は剃毛を促進したいはずの貝印が、体毛処理の多様性を伝えるメッセージを発信したことに驚き賞賛する声が多く上がっています。

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同社の話によると、2019年ごろからSNSに「女性のワキはツルツルじゃないとダメなんておかしくない?」「会社に行くからヒゲを剃らなきゃいけないというのは変」などの声が届き始め、体毛を剃ることに対する世間で言われる常識と、生の声に乖離があるのではないかと感じ始めていたそうです。

また同社が行った調査でも、「ファッションや髪型のように、体毛を剃ることは自分自身で自由に決めたい」という声が90.2%「気分によって毛を剃っても剃らなくても良い」という声が80.5%あることも明らかに。

海外ではワキ毛に対する価値観も多様で、以前からジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)がレッドカーペットでワキ毛を見せたりといったこともあり、さまざまな価値観に寄り添うことができればという思いからこのような広告企画が生まれたそうです。

ビジュアルにはバーチャルモデルを起用するというはじめての試みにもチャレンジ。ビジュアルもメッセージも先進的で、多くの反響が生まれています。

今だ収束の兆しが見えない今回の新型コロナウイルスの感染拡大。コロナ禍の中では、これまで常識と思っていたことや普通と思っていたことが、ある日突然、覆されるという経験を誰もが目の当たりにしました。

つまり、新型コロナウイルスの感染拡大から学ぶべきことは「これまでの常識や当たり前を疑え!」ということではないでしょうか。商品開発の方法、売り方、働き方、改めてすべての仕事の仕方に目を向けてこれまでの常識を疑うことがニューノーマル時代の生き残り戦略です。