体験消費時代のマーケティングヒント
先日の日本経済新聞に「居酒屋は負けない(2)「地元の社交場」古豪の流儀 養老乃瀧、常連と作る新たな接客という記事が掲載されていました。
その中から、小さな会社にも役立つブランディングのコツを整理して紹介します。
・養老の滝は、1980年代のバブル景気とともに居酒屋業界をけん引し、「御三家」とも呼ばれた居酒屋老舗である。
・店舗数はピークの90年代前半に約1800店まで達したものの、バブル崩壊後は400店舗にまで縮小。現在は、規模こそ縮小したものの地元の常連客が集う社交場の役割を果たし続けている。
・取材した「養老乃瀧千歳烏山南口店」(東京・世田谷)は、養老乃瀧のフランチャイズチェーン(FC)店として81年に開業し、客全体の9割を常連が占めている。午後7時で大部分の客はすでに「できあがった」様子で、店内は多くの客でにぎわっている。
・養老の滝は、高度経済成長期の脱サラブームをきっかけに店数を増やした名残からFC店が全体の7割を占める。FC店オーナーと常連との付き合いは濃い。根底には「地元に愛される店でなければ生き残れない」という創業以来受け継がれてきた考え方がある。
・千歳烏山南口店を切り盛りする高塩洋店長(51)はアットホームな空間づくりを心がける。養老乃瀧の定番料理はほとんど置かず、マグロ納豆などの独自メニューを並べ、店内では常連客のお気に入りの演歌を流す。
・高塩店長は17歳のときに居酒屋でアルバイトをしたのをきっかけにこの世界に入った。数十年にわたって客とのコミュニケーションを欠かさず、信頼関係を築くことを常に心がけた。「足を見ればどの客かすぐにわかり、注文前にいつもの料理を準備する。こんな関係を大事にしたい」(高塩店長)
・客の一人も「みんなすぐ仲良くなれる。親戚の家にいるようなもの」と店への愛情もにじみ出る。
いかがでしたか。「地元に愛される店でなければ生き残れない」という創業以来受け継がれてきた考え方をベースに、数十年にわたって客とのコミュニケーションを欠かさず、信頼関係を築くことを常に心がけてきた高塩店長。
アットホームな空間づくり。独自メニュー作り。BGMは常連客のお気に入りの演歌など一貫して顧客から愛されるお店作りに取り組んできました。その結果、「親戚の家にいるようなもの」という言葉が出るくらい、お客様から愛されていることがわかります。
常連客=ファンが9割。企業とお客様に相思相愛関係を築いている養老の滝には、新型コロナウイルス危機をしぶとく生き抜くヒントや小さな会社が学べるブランディングのコツが隠されています。